- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488464011
作品紹介・あらすじ
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は-たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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引き込まれる展開…うーん読ませる!
やはり、さすが伊坂幸太郎さんですね。
登場する人物それぞれの悲哀が淡々と描かれているのに、その背景がなぜかすごく気にかかる。
物語全体としては哀しい結末とも言えるのだけど
でも妙に納得させられてしまう。 -
現在と過去(2年前)を行ったり来たり!って進み方。
いきなり、辞書(広辞苑)を強盗!
んっ?何やねん?いきなり?訳わかめ?
ってのが色々…
後半、段々と伏線回収。
あっ!そういうことか!
と騙されてる…
まぁ、真実は明らかになるけど、なんか悲しいね…
ブータンで、信じられてるようになって欲しいと切に願う!
これ、動物虐待もあるから辛い…うちも犬飼ってるから、こんなの許せん!
「楽しく生きるには二つのことだけ守ればいいんだから。車のクラクションを鳴らさないことと、細かいことを気にしないこと。それだけ」 -
またまた伊坂幸太郎さんの素敵な作品に出会えて嬉しい。
センスあるセリフが盛りだくさんで伊坂節をたっぷり味わえるので、個人的に好きな作品の上位に浮上!
物語は、大学進学で東京から東北にきた主人公:椎名目線の〔現在〕とペットショップで働く:琴美目線の〔2年前〕に分けて描かれている。
〔現在〕では、椎名がアパートの隣人:河崎のペースに乗せられて関わっていく2人のやり取りが面白く、〔2年前〕では琴美がとある事件に巻き込まれてしまい、ヒヤヒヤしながら読み進めた。
素敵な言葉も物語全体も読み進めていくと見事に伏線回収されて出所がわかり、切ないけれどじわじわと心に響く。
〔2年前〕の物語では、主人公:琴美の同居人としてブータン人のドルジが登場する。ブータンといえば「幸福度が高い国」のイメージしか知らなかったけれど、考え方や穏やかさは読んでいてほっこりした。
「すべての生き物は死んだら生まれ変わる」という考え方はステキだけれど、急に親しかった人と会えなくなって1人になったらやっぱり悲しい。
自分の身に起きた経験を通して前向きに変化できる場合もあれば、どうしていいか分からず立ち止まってしまうこともある。過去に耳を傾けて心の中にはいつまでも思い出を残しながらも前に踏み出すきっかけができるのは良いことだ。 -
「葉桜の季節に君を想うということ」
を読み、叙述トリックって面白い!
ってなって次に読んだ作品。
葉桜のせいで?叙述トリックのハードルが
高まった事実があり、衝撃が少なく感じて
しまったのは否めないかなぁ。 -
人間は死んでも生まれ変わるだけだから、悲しくはない。
でも、大切な人たちに置いていかれたら、ひとりぼっちになってしまったら、やっぱり悲しいよ。
必ずいつか来る人を待つよりも、会いにいけるのがいつになるか分からず取り残される方が寂しいんだと思う。
二年前から立ち止まったままの彼の時間軸に風穴を開けたのは、彼らの物語に何の関係もなかった椎名。動き出した時間は、他人から見たら決して良い方向へ転がりだしたのではなかったけれど、でもひとりぼっちの彼にはやっと訪れた救いになったんだと思う。 -
アパートに引っ越してきて隣人の、初対面の青年に『本屋を襲わないか』と誘われて物語は始まる。
行方不明のペットを探して、ペット殺しの若者たちに出会うところからも、物語が始まる。
以降は2年の時を隔てた、この二つの物語が椎名と琴美によって交互に語られていく。
章を読み進めていくごとに、いつの間にか自然に物語に引き込まれていってしまった。映画化もされているので観てみようと思わされる作品でした。
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2020(R2)11.17-11.19
図書館への返却期限が迫っていたことと、二つの時代のそれぞれの物語がどう進んでいくのか我慢できなかったため、一気読みしてしまった。
あと15分で図書館が閉館!
てな時に最終末にさしかかり、87°くらいの斜め読みで本を返却したので、この物語の醍醐味を充分味わうことができなかったかもしれないが、それでも面白く、やっぱり切なくなった。
何が面白いって、二つの時代の物語のテイストが違っていること。片やミステリーっぽく、片や青春群像劇っぽく。互いが何となく絡まっていることが匂わされ、その絡まり方が気になって仕方なくなる。
そして訪れる二つの物語の終わりに待ち受けている切なさ。
しかもそれは叙情的ではなく淡々としているところに余計切なさを感じる。
これって伊坂幸太郎の得意技なのかな?
「切なさを切なく描かない」というか「恐ろしさを恐ろしく描かない」ことで余計にその感情を際立たせる作風。
図書館の蔵書点検休業に合わせて3冊借りて来たので、この辺りを検証しながら、引き続き伊坂ワールドに浸かってみます。 -
不思議なことに読後感のさわやかな作品だった。
なぜ「不思議なことに」なのかというと、
ハッピーエンドとは言い難いと思うから。
でも、悠久の時を感じさせる風を感じた。
現在と二年前の物語が交互に語られる。
「現在」の語り手は、仙台にやって来た大学新入生の椎名。
独り暮らしを始めたばかりの部屋から予期せぬことが始まる。
「二年前」のストーリーを語るのは、琴美という若い女性。
琴美とその友人たちの間にあった物語は、濃密で切ない。
ひょんなことから、椎名はそこに飛び入り参加して
彼らの物語の終わりに巻き込まれることになる。
伊坂幸太郎さんの作品はこれが三作目。
読んだばかりの「陽気なギャング」でいい味を出していた響野祥子さん。
今回、ちょっとだけ出演。
全く別の作品への 突然の登場で、嬉しくなってしまった。
伊坂さんの作品には、ユーモアあふれる台詞回しが随所に見られ
読んでいて楽しくなる。
コインロッカーのあとの最後のシーン。
琴美さんが見た夢(?)が思い出されて切ない。
それでも、物語はまだまだ続いていくような
未来永劫を感じさせてくれるような、そんな物語だった。 -
「一緒に本屋を襲わないか」から繋がる、過去と現在。
たくさんの伏線も、あれこれ考えながらも、次が知りたくて読み進めた。
終わりは切ないけど大好きな作品。
著者プロフィール
伊坂幸太郎の作品






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