アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 3111
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488464011

作品紹介・あらすじ

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は-たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 人間は死んでも生まれ変わるだけだから、悲しくはない。
    でも、大切な人たちに置いていかれたら、ひとりぼっちになってしまったら、やっぱり悲しいよ。
    必ずいつか来る人を待つよりも、会いにいけるのがいつになるか分からず取り残される方が寂しいんだと思う。
    二年前から立ち止まったままの彼の時間軸に風穴を開けたのは、彼らの物語に何の関係もなかった椎名。動き出した時間は、他人から見たら決して良い方向へ転がりだしたのではなかったけれど、でもひとりぼっちの彼にはやっと訪れた救いになったんだと思う。

  • 映画のアヒルと鴨のコインロッカーを見た

    最初原作を読んだ時には
    ただただ後味が悪くて
    あまり好きではなかったし
    ふーん、くらいでしか、
    思わなかった

    それを好き好んで読むなんて
    それは映画のおかげだ

    冒頭で流れる「ディランの風に吹かれて」
    そして口ずさむ「ぼく」

    そして、「一緒に本屋を襲わないか?」

    ――おかげで
    ボブディランのベストも買ってしまうし
    なんてミーハーな、と思わず自分を笑ってしまう

    映画の雰囲気が、
    とても飄々としていて
    風みたいで
    不思議と
    爽快だった

    そうして読み返すと
    いつものことだけど
    なんて緻密な、と思う

    淡々とした雰囲気が
    あまり好きではなかったんだな
    と思ったし
    淡々としてないと
    後味が悪いくらいじゃすまなかったかもしれない
    と思ったし
    これは、伊坂氏なりの
    心の繊細な人が
    傷つかないようにした
    一つの優しさで、配慮だったのかもしれないと
    思ったりする

    どうしてか
    伊坂氏の小説を読むと
    人が好きになる

    人間という生き物が
    愛しくなってしまう

    そしてどうしてか
    泣きたくなってしまうのだ

    • まことさん
      私は詩や音楽のことはよく知らないのですが、
      ボブディランが受賞されたときに、真っ先にこの作品のイントロを思い出しました。
      映画も観ればよ...
      私は詩や音楽のことはよく知らないのですが、
      ボブディランが受賞されたときに、真っ先にこの作品のイントロを思い出しました。
      映画も観ればよかったかな。
      2018/10/07
    • 大野弘紀さん
      まことさん

      コメントありがとうございます。
      映画を見ると、たびたび流れる風に吹かれてと相まって、なんだか不思議と、歌と物語がセットに...
      まことさん

      コメントありがとうございます。
      映画を見ると、たびたび流れる風に吹かれてと相まって、なんだか不思議と、歌と物語がセットになって入ってきやすくなると思います。

      私は映画を見てから改めて小説を読んだら、冒頭で風に吹かれてが頭の中で流れました。それだけで、作品の楽しみ方が深まった気がします。
      2018/10/07
  • どのワードも何かありそうで
    全て伏線か?と疑いながら読んでました。

    後半は現在と過去が重なってきて
    早く続きが読みたいけど
    この言葉がどこに繋がるのか
    しっかりじっくり読み込みたい
    という2つの思いに挟まれながら読んでいたので
    気持ちは焦るがなかなか進まないという状態。

    これは…という言葉があれば
    ページを遡ってここに繋がるのかと納得し
    いろいろと話が明らかになってきたら
    では現在の河崎が何をやっているのかと推理し
    とにかくいい意味で疲れる小説でした。

    でもそれだけ楽しめたということかなと。

  • 切ないの一言。人を想う物語でした。人は生まれ変わるなら、この人生に大きく傾倒する必要はないのかもしれない。それでも、だからといって、軽く見ていいものではないのだろう。その考え方は心の支えにするだけなのだろう。人の宗教観や考え方はそんなもので、やっぱり、自分が感じる理不尽に憤ってしまう。そんな物語。かな。
    久々に伊坂さんの作品を読んだけれど、おしゃれー。会話おしゃれー。行動おしゃれー。最高ですよ、
    神様を閉じ込めるところなんて、全身を包み込む心地よさに溺れてしまった。それと、それが話に重要な鍵であるかどうかは無関係に、タイトルを作品内で関連させるのは好き。無意識に感嘆の息をついてしまう。
    ミステリーというわけではないけれど、終盤には驚く展開も待っていて、退屈という文字が読者の辞書から消える。楽しいというよりは、良い小説でした。

  • 伏線回収見事だけど、それ以上に物語全体に漂う雰囲気がなんか好き

  • 読み終わっても、どうにもすっきりしないのは、誰もが胸になにか引っ掛かるものを抱えたままだからだろう。
    特にペットを飼いはじめたから、ペット殺しは許せないし、吐き気がする。そして『ペット殺し』という言葉に対する嫌悪感にも、激しく同意する。

    結局、2年前のメインとなる3人は全員、死んでしまった。
    残された麗子さんや椎名がそれをいつ知って、どう感じるのかは分からないけれど、また新しい引っ掛かりになることは間違いない。 彼らは、そこからまた変わっていくんだろうか。

    これ以上、彼らの周りに不幸な死が訪れませんように。 人間も、動物も。

  • 過去の出来事と現在の出来事が交錯しながらもリンクしていく
    伏線の張り方も見事
    最後の最後にみえてくるもの そして驚愕
    読み終えたあとに残る胸にじんわりとくる思い
    読む人の感性にゆだねられたような物語
    会話が妙
    「一緒に本屋を襲わないか」「神様を閉じ込めに行かないか」などは秀逸だと感じた
    ミステリーであると同時に、田舎から出てきた青年の軌跡を追う青春小説でもある。
    二年前の過去と現在の出来事が交互に語られ、交錯しながらもリンクしていく。
    現在の語り手は、大学に進学したばかりの「僕」。
    そして二年前の語り手は、ペットショップに勤める琴美。
    一度もめぐりあうことのなかった二人は、二年の時を経てまったく同じ舞台に立つことになる。
    一人は舞台の幕を開けた人間として、もう一人は舞台の最終幕を飾る人間として。
    伏線の張り方も見事で、最後の最後にみえてくるものには予期せぬ驚きを感じた。
    どうにもならないことが世の中には確かにある。
    読み終わったあとに、やり切れなさと憤りが胸にずしりと残る。
    もしかしたらこの世の中にも、本当に奇跡はあるのかもしれない。
    哀しい奇跡も残酷な奇跡も、平等に誰にも同じように降りかかってくる・・・。
    けれどきっと同じだけ、嬉しい奇跡も優しい奇跡も待っているような。
    そんな気持ちにさせてくれる物語だった。

  • 図書館で単行本の初版を借り面白かったので文庫を購入。改訂されていて「たまたまなの、悲劇はたまたま起こるから悲劇」と言う様な好きな1文が抜けててがっかり…。なくても面白いんだけど琴線に触れたんだから仕方ない…。 悲劇ってのは、たまたまなんだ…。だから現実では受け流しするんだよ第三者は。

  • 伊坂幸太郎という小説家を知った作品。
    TSUTAYAで映画の方をタイトルが変わっているなて理由で借りて見て面白すぎて衝撃を受けたんですよ。
    で、原作が読みたくてTSUTAYAでに返却した足で図書館で借りて読んで、今まで読んできた作家さんとは全く違う作風に読後、呆然てなりました。
    なので、ウチにとってこの作品は伊坂幸太郎というな名の人物との出会いの記念の作品でさす。

  • 内容は伊坂が得意とする勧善懲悪もの。しかし、そんなことよりも、これまで読んだ伊坂作品の中で、登場人物のセリフが最もウィットに富んでいることが印象に残る。登場人物の振れ回りがいちいちスカッとする場面を描いているのも去ることながら、登場人物同士の対話の中で、お洒落な言い回しや、会話センスの高さがアリアリと表現されている。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業後、SEとして働くきながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。
2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。
上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されてきている。

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