雪の断章 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2008年12月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (430ページ) / ISBN・EAN: 9784488467043

感想・レビュー・書評

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  • この主人公の女の子嫌いです。
    彼女の周りの人達が特に史郎さんが好きでした。
    とにかく面白かったです。
    途中この主人公にイライラしっぱなしでしたけど、
    余韻が残る良い作品。

  • 二年前くらい前から密かに気になっていて、冬真っ只中なので読んでみた。
    今まで読んだことのないような作品だった。
    ジャンルとしては一応ミステリに入るのかなとは思うけど、ここまで文学的要素もりもりのミステリは初めて読みました。
    孤児である飛鳥は本岡家に引き取られたものの、そこで家族から酷い虐めにあい、家出した先で祐也に出会い、そこから二人の共同生活が始まるというストーリー。
    幼い頃から中高大と進む中、祐也に対しての尊敬•温情に恋心が芽生えていく心中が、ここまでかというほど繊細に描かれていて、叶うはずのない思いにとても切ない気持ちになった。
    そして、飛鳥の心情描写と、札の”雪””冬”が、いい感情の時も悪い感情の時も非常にマッチしていて、美しさすら感じました。
    とにかく我が強いことにひたすら苦悩する飛鳥、穏やかで包み込むような優しさの祐也、一歩引いたところから茶々を入れるように飛鳥を見守る史郎、嫉妬心でちょっと意地悪なお手伝いさんのトキ、見た目よりもだいぶ強かな厚子等々、魅力的な登場人物が沢山出てくるのも良かったです。
    純文学ではないが、それに匹敵する文学作品を堪能できました。
    ただ、主人公とは完全には分かり合えないため星四。

  • 帯に書いてあった青崎有吾さんのコメント〝紛うことなき徹夜本〟は本当だった。危うくお昼休みにご飯を食べ損ねたり、バス停を乗り過ごしてしまうところだった…

    ミステリとしてではなく、物語としてとても面白かった。描写が丁寧で美しく、場面が頭の中で映像化されていくのが不思議だった。
    雪の表現が飛び抜けて綺麗で、物語の舞台が地元であることもあり、夢中になって読んだ。今年は大雪で雪には毎日うんざりしていたが、読後は雪がキラキラ輝いているようにさえ感じた。

    飛鳥の天邪鬼と言われる部分がとてもよく理解出来たのは、自分にも似た部分があるからだと思う。
    自分を守る為に、相手には聞けずに…忖度して望んでもいない結論を出す。周りからは考えすぎるとか、面倒くさいと言われるけれど、今だからこそこういった人間も意外と多いのでは?と思う。

  • 迷子になった五歳の孤児・飛鳥は親切な青年に救われる。その二年後、引き取られた本岡(もとおか)家での虐めに耐えかねて逃げ出した飛鳥を引き取ったのも、なんとその青年・滝杷祐也(たきえひろや)だった。飛鳥の頑なな心は祐也たちとの交流を経て変化していく。そんな中、住んでいるアパートで毒殺事件が発生し──。

    毒殺事件を巡るミステリであり、孤独な少女と引き取った青年の交流と成長を描いたドラマでもあり、メルヘンの要素を兼ね備えたラブロマンスでもあるという、とんでもないデビュー作。飛鳥が大人になるまでの時間を、ひたすら削って磨いて宝石の結晶にしていく物語だった。どの登場人物の造形も深く彫り込まれてあって、アパートで一緒に暮らしているかのような気持ちになった。

    冷静で愛情深い祐也のあたたかさ。その親友・近端(おうはた)史郎は、荒っぽいのに面倒見がいいムードメーカーでいいコンビ。隣人の厚子も同じ女性として飛鳥を助けてくれる。学校の友人・順子も公平さを重んじ、言うべきことはハッキリ伝えるところがカッコいい。新しく本岡家へと引き取られた由紀子のタフさも見習いたくなる。みんな気骨があって、飛鳥を甘やかすわけじゃないという部分が物語に説得力を与えている。意見交換やしかるべきところは伝えるという愛情で、凍てついた氷を溶かすのが素敵だった。

    そして、毒殺事件の顛末。人間が受けるべき罪と罰とはどこにあるのか?法律で裁くことができない罪もある。刑罰を与えても反省するかなどわからない。人間が抱く罪悪感とは何なのか?そんな哲学性を感じる作品だった。まるで手の中の雪が溶けないように、その結晶の美しさを留めるために、冷たい手で温かく包み込む。そんな不器用な人々の物語。

    p.11
    不幸はナイフのようなものだという。刃をもてば手が切れるけれど逆手に持てば利用出来る、と。

    p.198
    時期がちがうか形が異なるかであって、哀しみや喜びは公平に順番が回って来るものなのだ。

    p.249
    「打ち明ける勇気と黙って引く勇気は同格だもの」

    p.261
    「これでいいのかな、と考えるのではなく、かならず幸せになるんだ、と信じこむことね。これがお見合いのポイント、わかった?」

    p.375
    「飛鳥、人の運なんてこんなものなんだよ。些細なことが受け取る側に邪推があれば、どんどん毒となって体に回ってしまう。物事はいつも同じ速度と冷たい事実だけなのだ。それを動かす人間によって、右へ左へ、昇るか落ちるかに分かたれてしまう」

  • ビブリア古書堂を読んで知った本でした。

    いろんな方々の感想を読むと主人公が好きになれないという感想が多かったように思いましたが、孤児で誰も頼ることができない、最後は自分一人だと感じて生きることは、ずっと緊張しながら生きることなのではないか、そういう境遇から主人公が作られたのではないかと結構すんなり納得して読めました。
    作中でも、素直じゃないとか、強情すぎると評価されているのですが、そこまでにさせたのは本岡家はじめ周囲の大人たちで、主人公は自分を守ってるだけです。周囲の人達には本当のところの理解ができない、表層的な理解しかできないから、主人公に響かない。素直になれ、という言葉は、真理なんだけど、主人公の心には入っていかないだろうと感じた。

    たくさん心に響く箇所がありました。特に最後の祐也との話し合いの中でハッとする言葉がいくつかありました。

    個人的には史郎さんと暮らしても幸せになれたのでは?と思います。史郎さんの方が好みでした!

  • 主人公である飛鳥の心情描写がすごく丁寧にされていて読みごたえがあったのと、雪の描写が素敵で何度も読みたくなってしまう❄️

  • 孤児という理由で、引き取られた先の本岡家で虐めに遭っていた少女・倉折飛鳥。その窮地を救ってくれたのは、彼女が孤児院で暮らす頃から偶然の出会いを重ねてきた青年・滝杷祐也だった。祐也、家政婦のトキ、祐也の友人・近端史郎、同じアパートに暮らす森谷厚子たちと交流を重ねるうちに、本岡家での辛い日々が解れてゆく。しかし飛鳥と本岡家の縁は切れていなかった。本岡家次女・奈津子と高校で再会し、長女・聖子が同じアパートへ越してきた時に彼女はそう確信したのだった──。佐々木丸美さんのデビュー作、25年※の時を越えここに復刊。
    (※補足)
    1975年刊行の単行本(講談社)を大幅に改訂した、1983年刊行の文庫(講談社)から数えての年数です。
    (感想)2014年12月10日の日経新聞夕刊書評に紹介され、再び注目を浴びていることを知り再読。やっぱり何度読んでも本作が佐々木丸美さんの最高傑作だと思うわ〜。刊行された時代背景から祐也さんが歌う曲、若者の姿勢に対するトキさんの疑問、飛鳥を学生運動家と勘違いすること、孤児に対する世間の扱いなど、古い設定もあります。しかし、飛鳥が自然に敬意を表し、また本岡家に自分なりの指針のもと戦う姿に毎回惹かれ、このような些末なことは気にならなくなる。ようは本作にベタ惚れなんですが(笑)読者の大半は相手役の祐也さんではなく、飛鳥と同じ境遇に立たされて苦悩してきた史郎さんに惚れてしまうようです。一見ふざけた態度を振る舞うものの、仕事となると会社のため誠心誠意働くギャップは確かに良い。そして最後の手紙に一気に虜にさせることも同様。でも私は飛鳥を全面的に応援してしまい入り込むからか、祐也さんにメロメロです(笑)好青年で頭が良く、無駄のない発言や仕草のひとつひとつに飛鳥同様にときめいてしまう〜!でも飛鳥が家出した時に自信を見失い自暴自棄になる場面、周囲の人々が語る祐也さんの様子が特に好きです。「飛鳥あっての俺だ」には何度も悶絶してしまいます。続編となる『忘れな草』他で明らかになる祐也さんと飛鳥の素性を考えると、今後も2人には困難が付きまといますが、幸せな日々を過ごして欲しいと切に願います。

  • 再読。ミステリーだと思って読むと肩透かしかもしれない(警察が無能すぎる)。
    しかし、昔の、生真面目な、ツッコミどころ満載の少女漫画のようだと思って読むと非常に面白いしときめくし楽しめる。
    青崎有吾が帯を書いているのが意外で嬉しい。
    メルヘンを感じる北海道の風景、雪、すれ違う恋模様。ちょっと、宮崎駿が好きそうだな、と思った。

    史郎さん……なぜあんなに楽観的でいられるのか。自分の行動に後悔はなくとも、結婚したら飛鳥も巻き込むことになるに決まってるのに。しかし、殺人犯でなければ史郎さんが一番好きだった。あと管理人のおじさん。厚子さんも素敵。
    飛鳥は飛鳥で、史郎さん自身の気持ちや行く末については考えず、「殺人者を許す自分」というあくまで自分の問題として捉えているのが彼女ならでは。「犯人を知っている」なんて言ってしまうのは、うかつすぎる。
    祐也さんがクリスマスパーティーで「同期の桜」を歌っていたのがおかしかった。あの東京の彼女とは一体どうなっていたのだろう。最後に、「ベーゼ」が印象的だった。


  • 孤児の飛鳥は、施設から本岡家に引き取られます。しかし、そこではお手伝いさんのように働かされ、いじめられます。耐えかねた飛鳥は、家を飛び出します。そこで、祐也さんと出逢います。三度目の出逢いでした。そして、祐也さんのもとに引き取られることになります。

    与えられた運命のなかで、飛鳥は必死に生きていました。一人じゃ生きられなくて、大人に頼るしかない、逃げようのない子どもののほうが、大人よりしんどいのかもしれません。
    飛鳥は自分を、「森は生きている」で真冬にマツユキ草をさがす少女と同じだと考えます。

    強情で図太く見られることもあるけれど、本当は弱くて小さい飛鳥。自分だけでかたくなに信じ込んで、まわりを無視してしまう飛鳥。
    そんな飛鳥が、祐也さんたちと過ごすなかで、どんどん成長していきます。

    “不当な権力にしいたげられる哀しさは、味わった者でなければわからないからだ。平凡な奴、運のいい奴にはとうてい及ばないだろう。(p411)”
    飛鳥の哀しさは、確かに想像することしかできませんが、心に響き、涙を流さずにはいられませんでした。
    こんなに苦しんだのだから、しあわせになってほしいと思いました。

    こんな心動かされる小説ですが、途中で、殺人事件が起こります。解説で、この長編は“メルヘン風ミステリー・ロマン”とありました。“純粋理論小説でありながら、文学にまで高められた作品。そのユートピアを佐々木さんは目標にしているのだ。(p420)”ともありました。佐々木さんはそれを為し得ていて、ものすごい小説だと思いました。

  • 奴隷同然の5歳の少女が、美青年に拾われ育てられることに。。
    こうして、いただいた幸せとぬぐえない過去との間で葛藤しながらも、少しわがままで、少し恩知らずで、かなり強情な、普通の女の子へと成長していく。

    そして美しくなっていく少女にいろんな意味で振り回される周りの大人たち。
    いやー最後は辛かった。

    普通は主人公の気持ちに没頭してしまいそうなものだが、本書に出てくる全キャラクターの心の内を追いたくなる。

  • ロマンチックな物語で詩的な文章がさらにそれを助長していた。語り手は生い立ち故か自分1人でなんでも解釈してしまうという飛鳥1人。しかし、そんな彼女がどうしても一緒になりたかった裕也さんと意思疎通を出来たと感じたのが殺人の件で初めてというのがものすごく切なかった。そして史郎さんの最期も。彼が選んだ最期は必ずしも肯定できるものでは無いが、納得して自死を選ぶ そこにいたるまでの過程は彼の望みと直結していて潔く、読者側としても納得できるものがあった。1つだけ言うならば、あれほどに憎んだ礼子と同じ青酸カリを飲んで死んだというのが、彼なりの贖罪だったのだろうか。そしてこれによって裕也さんと飛鳥には決して消えることの無い深い傷が残り、失くしたものを2人で今後どうにか癒さなければならない。史郎さんの飛鳥への愛はラストに明かされものすごく深く確かに愛だけどそこには闇の部分があるものだった。そして裕也さんと飛鳥の愛には純愛だけど、拾ったもの、拾われたものとしての枷がついていた。ここの一筋縄ではいかない愛の形の違いがまたどこか人間臭くてロマンチストだと感じた。
    私はこの小説で厚子さんの「失っても別のもので埋められるものとそうでないものとの区別をしなくてはなりません」という言葉がものすごく真意だと思い刺さった。

  • 分厚く、文字も小さかったので読み終えるのに時間かかった〜
    異色な家族の関係性を描いていて、最終的にはそいうことになって、難しい感情でした

  • 初丸美。デビュー作ということで、作者の思いが溢れんばかりだが(笑)簡単に言ってしまうと——ある少女のシンデレラ・ストーリィですかね。かなり複雑ではありますが(笑)。タイトルにもあるように「雪」が少女の心や行動姿勢などに効果的に使われ、それプラス『森は生きている』という舞台の(童話のような)台本が上手く絡み合いなんとも言えない作品に仕上がっている。解説を読んでみると——ある少女とは丸美さん自身がベースのようだ。なぜデビュー作は自分自身を主人公としている場合が多いのだろう——"描く"という行為は自分自身を見つめ直すことと同義なのか…。星四つ半。

  • 中学生の時に初めて読んで号泣した思い出。夢中になりすぎて下校中も歩きながら読んでたら警察に注意されたのも思い出。
    久しぶりに読んだら涙は全然出なかったし、どこで泣いたのかさえ思い出せなかったけど、やっぱり感情をガクガク揺さぶられる

  • 孤児だった少女は引き取り先で過酷な労働と虐めにあい、たまりかねて逃げ出す。それを助けた親切で聡明な青年と彼らを取り巻く人々の物語を北海道の季節の移り変わりと絡め繊細な筆致で描く本作、読んで圧倒された。大人の気持ちは二重底だと、偽善的な大人に失望する主人公も大人になる過程で人の心はそのような単純なものでは説明出来ないことも身をもって知ってゆく。

    昔映画で見たきり細かな内容は忘れていたけど最後だけ朧気に覚えていたので知った気になってたが
    今更ですが原作を読んでよかった。
    殺人事件も恋愛模様も絶妙なバランスで、
    奥行きのある重厚な青春ミステリーロマンでした。

  • 私が学生だった頃、北海道の若い女性にカリスマ的人気のあった佐々木丸美の代表作。
    仲のいい友達に何回も「雪の断章読んだことある?」と聞かれますが、今回初読みです。
    しかし、映画は観たの。若かりし頃。
    結婚する前の10さんが斉藤由貴が好きで。

    ♪さよならねって言いだしたのは~
     私の方が先だったのに~
     動き出す汽車 最後の握手
     まだほ~どけない~ 離せない~♪ってなシーンは、原作にはありませんでした。
    あの映画は何だったのだろう?

    それはさておき、面白かった。
    現実味は全くないです。
    お手伝いさん代わりに小学校低学年の子を引き取るなんていうことが、実際に行われていたかどうかはわかりません。
    しかし、20代前半の独身男性が、小学校低学年の女の子を引き取って育てるっていうことはさすがに当時としてもありえないでしょう。
    しかも、役所の人たちが全然様子を見に来ないし。

    それでも、二年間本岡家で虐めぬかれた結果、飛鳥の心のなかに頑なに人を立ち入らせない部分ができた事は確かで、その事が飛鳥を幸せから遠ざけてしまう。
    周りの人たちから何度も何度も「素直になれ」と言われても、なかなか治すことのできない心の殻。

    本岡家で過ごした二年間を忘れることができたら、素直に幸せを享受することができたらどんなにいいだろうと、一番強く願っているのは飛鳥。
    そして、私自身にもそんな頑なさとか、プライドの高さとかがあるだけに身につまされる。

    殺人事件は起きるけれど、事件の謎を追うよりも、自分の心を見つめることに主眼を置いたこの作品は、なんとなく三浦綾子の小説のようでもある。
    丁寧に書かれた文章は、ストーリーへの興味というよりもまなざしの繊細さに目が離せず、一気に読み切った。

    あと、『孤児文学』というジャンルがあるそうだけど、「赤毛のアン」「少女ポリアンナ」「あしながおじさん」「家なき娘」など、海外のそれは屈託を抱えている割には主人公が素直で逞しくて明るいのね。
    けれどこの作品とか「氷点」とか、あとマンガだけど「ひとりぼっち流花」とか「キャンディ・キャンディ」とか「はみだしっ子」とか日本のそれは、苦労とか不幸の波状攻撃で、なかなか幸せにたどり着かない気がする。
    文化の違いでしょうか?
    あれ?どれも作者が北海道出身って偶然?
    もう少しよく考えてみます。

  • 日経で「一気読みできる」とあったので、読んでみた。
    一言で言うなら綺麗なアート作品だなぁという感想。景色や感情を独自の角度から豊富な語彙で描写していく作風には圧倒された。


    ただ、私には腑に落ちる表現ではなかった。
    単純に言葉で遊んでる感じというのか、自らの世界に落ち込んでしまっているというのか、そんな感じ。
    例えば「悩みの輪転機」っていう表現が出てくるが、言いたいことはわかるが、なんか読み手にはストンとこない。こんな箇所が多いと感じました。輪転機って体の外にアウトプットするイメージなんだけどな。

    ストーリーも私には合わなかった。主人公のような性格が苦手っていうのもあるかも。

  • 日本経済新聞社


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    読書日記『雪の断章』 立て続けに推薦、運命感じて 作家 青崎有吾(2)
    2014/12/10付日本経済新聞 夕刊

     先々月、あるミステリ好きの学生さんとお会いした際、「ぜひ読んでください」と一冊の本を薦められた。読んだことのない本だった。佐々木丸美『雪の断章』(創元推理文庫)。







    「面白いです。ちょっと分厚いですけど、絶対一晩で読めます」


     それならば、とお借りしたものの、不精(ぶしょう)な性格がたたってすぐには読まずにいた。


     ところがその数日後。某イベントでビブリオバトル(プレゼン形式で本を薦め合うゲーム)を観戦していたとき、参加者の一人が採り上げた本を見て驚いた。同じ『雪の断章』だったのである。


     僕は手を上げ、「ある人からその本は一晩で読めると断言されたのですが、あなたもそう思いますか」と質問した。「読めます」。その方も自信を持ってうなずかれた。


     ほんの数日の間に二人の人から、同じ本を強く薦められることなどなかなかない。なんだか運命を感じてしまい、とうとう僕も読み始めた。


     結論から言おう。


     彼らの言葉は本当だった。夢中で読めた。紛(まご)うことなき徹夜本だ。僕も人に強く薦めたくなったし、それを今こうして実行している。


     雪の街札幌を舞台に、孤児の少女と彼女を拾った青年の、十二年に渡る葛藤を描いた染み入るような物語。今年の冬は、雪が降るたびこの本のことを思い出しそうです。

  • 再読。かなり以前に読み、その時は凄く感動した記憶があったので、もう一度読んでみた。
    まだ大学を卒業したばかりの青年が縁もゆかりもない孤児の子供を引き取って一緒に生活するという設定は、女性にしてみたら憧れるようなシチュエーションで、光源氏と若紫みたいな昔からあるパターンだけど、子供を育てるお金や家政婦を雇うほどの収入はあるのか?とか余計なことが気になってしまった(笑)
    ヒロインも、こんなに強情で、生意気な子だったけ?
    なんて思ったり。
    若い頃、楽しめたものが楽しめなくなり、逆に前に読んだ時はそれほどでもなかったものを、今は面白いと想ったり、それだけ、自分が年齢を重ねたということなのだろう。
    表現が少し固くて古臭い感じがあるのは、昔の小説だから仕方ないかな。
    雪が降る情景などは美しいと感じた。

  • これ結構前に読んでたはずなのに登録わすれてた。
    読み終わるのがもったいない本だった。
    史郎さん……(´;ω;`)

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