雪の断章 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 1618
感想 : 194
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488467043

作品紹介・あらすじ

迷子になった五歳の孤児・飛鳥は親切な青年に救われる。二年後、引き取られた家での虐めに耐えかね逃げ出した飛鳥に手を伸べ、手元に引き取ったのも、かの青年・滝杷祐也だった。飛鳥の頑なな心は、祐也や周囲の人々との交流を経て徐々に変化してゆくが…。ある毒殺事件を巡り交錯する人々の思いと、孤独な少女と青年の心の葛藤を、雪の結晶の如き繊細な筆致で描く著者の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 孤児という理由で、引き取られた先の本岡家で虐めに遭っていた少女・倉折飛鳥。その窮地を救ってくれたのは、彼女が孤児院で暮らす頃から偶然の出会いを重ねてきた青年・滝杷祐也だった。祐也、家政婦のトキ、祐也の友人・近端史郎、同じアパートに暮らす森谷厚子たちと交流を重ねるうちに、本岡家での辛い日々が解れてゆく。しかし飛鳥と本岡家の縁は切れていなかった。本岡家次女・奈津子と高校で再会し、長女・聖子が同じアパートへ越してきた時に彼女はそう確信したのだった──。佐々木丸美さんのデビュー作、25年※の時を越えここに復刊。
    (※補足)
    1975年刊行の単行本(講談社)を大幅に改訂した、1983年刊行の文庫(講談社)から数えての年数です。
    (感想)2014年12月10日の日経新聞夕刊書評に紹介され、再び注目を浴びていることを知り再読。やっぱり何度読んでも本作が佐々木丸美さんの最高傑作だと思うわ〜。刊行された時代背景から祐也さんが歌う曲、若者の姿勢に対するトキさんの疑問、飛鳥を学生運動家と勘違いすること、孤児に対する世間の扱いなど、古い設定もあります。しかし、飛鳥が自然に敬意を表し、また本岡家に自分なりの指針のもと戦う姿に毎回惹かれ、このような些末なことは気にならなくなる。ようは本作にベタ惚れなんですが(笑)読者の大半は相手役の祐也さんではなく、飛鳥と同じ境遇に立たされて苦悩してきた史郎さんに惚れてしまうようです。一見ふざけた態度を振る舞うものの、仕事となると会社のため誠心誠意働くギャップは確かに良い。そして最後の手紙に一気に虜にさせることも同様。でも私は飛鳥を全面的に応援してしまい入り込むからか、祐也さんにメロメロです(笑)好青年で頭が良く、無駄のない発言や仕草のひとつひとつに飛鳥同様にときめいてしまう〜!でも飛鳥が家出した時に自信を見失い自暴自棄になる場面、周囲の人々が語る祐也さんの様子が特に好きです。「飛鳥あっての俺だ」には何度も悶絶してしまいます。続編となる『忘れな草』他で明らかになる祐也さんと飛鳥の素性を考えると、今後も2人には困難が付きまといますが、幸せな日々を過ごして欲しいと切に願います。

  • 主人公である飛鳥の心情描写がすごく丁寧にされていて読みごたえがあったのと、雪の描写が素敵で何度も読みたくなってしまう❄️

  • 孤児の飛鳥は、施設から本岡家に引き取られます。しかし、そこではお手伝いさんのように働かされ、いじめられます。耐えかねた飛鳥は、家を飛び出します。そこで、祐也さんと出逢います。三度目の出逢いでした。そして、祐也さんのもとに引き取られることになります。

    与えられた運命のなかで、飛鳥は必死に生きていました。一人じゃ生きられなくて、大人に頼るしかない、逃げようのない子どもののほうが、大人よりしんどいのかもしれません。
    飛鳥は自分を、「森は生きている」で真冬にマツユキ草をさがす少女と同じだと考えます。

    強情で図太く見られることもあるけれど、本当は弱くて小さい飛鳥。自分だけでかたくなに信じ込んで、まわりを無視してしまう飛鳥。
    そんな飛鳥が、祐也さんたちと過ごすなかで、どんどん成長していきます。

    “不当な権力にしいたげられる哀しさは、味わった者でなければわからないからだ。平凡な奴、運のいい奴にはとうてい及ばないだろう。(p411)”
    飛鳥の哀しさは、確かに想像することしかできませんが、心に響き、涙を流さずにはいられませんでした。
    こんなに苦しんだのだから、しあわせになってほしいと思いました。

    こんな心動かされる小説ですが、途中で、殺人事件が起こります。解説で、この長編は“メルヘン風ミステリー・ロマン”とありました。“純粋理論小説でありながら、文学にまで高められた作品。そのユートピアを佐々木さんは目標にしているのだ。(p420)”ともありました。佐々木さんはそれを為し得ていて、ものすごい小説だと思いました。

  • 日経で「一気読みできる」とあったので、読んでみた。
    一言で言うなら綺麗なアート作品だなぁという感想。景色や感情を独自の角度から豊富な語彙で描写していく作風には圧倒された。


    ただ、私には腑に落ちる表現ではなかった。
    単純に言葉で遊んでる感じというのか、自らの世界に落ち込んでしまっているというのか、そんな感じ。
    例えば「悩みの輪転機」っていう表現が出てくるが、言いたいことはわかるが、なんか読み手にはストンとこない。こんな箇所が多いと感じました。輪転機って体の外にアウトプットするイメージなんだけどな。

    ストーリーも私には合わなかった。主人公のような性格が苦手っていうのもあるかも。

  • 日本経済新聞社


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    読書日記『雪の断章』 立て続けに推薦、運命感じて 作家 青崎有吾(2)
    2014/12/10付日本経済新聞 夕刊

     先々月、あるミステリ好きの学生さんとお会いした際、「ぜひ読んでください」と一冊の本を薦められた。読んだことのない本だった。佐々木丸美『雪の断章』(創元推理文庫)。







    「面白いです。ちょっと分厚いですけど、絶対一晩で読めます」


     それならば、とお借りしたものの、不精(ぶしょう)な性格がたたってすぐには読まずにいた。


     ところがその数日後。某イベントでビブリオバトル(プレゼン形式で本を薦め合うゲーム)を観戦していたとき、参加者の一人が採り上げた本を見て驚いた。同じ『雪の断章』だったのである。


     僕は手を上げ、「ある人からその本は一晩で読めると断言されたのですが、あなたもそう思いますか」と質問した。「読めます」。その方も自信を持ってうなずかれた。


     ほんの数日の間に二人の人から、同じ本を強く薦められることなどなかなかない。なんだか運命を感じてしまい、とうとう僕も読み始めた。


     結論から言おう。


     彼らの言葉は本当だった。夢中で読めた。紛(まご)うことなき徹夜本だ。僕も人に強く薦めたくなったし、それを今こうして実行している。


     雪の街札幌を舞台に、孤児の少女と彼女を拾った青年の、十二年に渡る葛藤を描いた染み入るような物語。今年の冬は、雪が降るたびこの本のことを思い出しそうです。

  • 再読。かなり以前に読み、その時は凄く感動した記憶があったので、もう一度読んでみた。
    まだ大学を卒業したばかりの青年が縁もゆかりもない孤児の子供を引き取って一緒に生活するという設定は、女性にしてみたら憧れるようなシチュエーションで、光源氏と若紫みたいな昔からあるパターンだけど、子供を育てるお金や家政婦を雇うほどの収入はあるのか?とか余計なことが気になってしまった(笑)
    ヒロインも、こんなに強情で、生意気な子だったけ?
    なんて思ったり。
    若い頃、楽しめたものが楽しめなくなり、逆に前に読んだ時はそれほどでもなかったものを、今は面白いと想ったり、それだけ、自分が年齢を重ねたということなのだろう。
    表現が少し固くて古臭い感じがあるのは、昔の小説だから仕方ないかな。
    雪が降る情景などは美しいと感じた。

  • これ結構前に読んでたはずなのに登録わすれてた。
    読み終わるのがもったいない本だった。
    史郎さん……(´;ω;`)

  • 私が学生だった頃、北海道の若い女性にカリスマ的人気のあった佐々木丸美の代表作。
    仲のいい友達に何回も「雪の断章読んだことある?」と聞かれますが、今回初読みです。
    しかし、映画は観たの。若かりし頃。
    結婚する前の10さんが斉藤由貴が好きで。

    ♪さよならねって言いだしたのは~
     私の方が先だったのに~
     動き出す汽車 最後の握手
     まだほ~どけない~ 離せない~♪ってなシーンは、原作にはありませんでした。
    あの映画は何だったのだろう?

    それはさておき、面白かった。
    現実味は全くないです。
    お手伝いさん代わりに小学校低学年の子を引き取るなんていうことが、実際に行われていたかどうかはわかりません。
    しかし、20代前半の独身男性が、小学校低学年の女の子を引き取って育てるっていうことはさすがに当時としてもありえないでしょう。
    しかも、役所の人たちが全然様子を見に来ないし。

    それでも、二年間本岡家で虐めぬかれた結果、飛鳥の心のなかに頑なに人を立ち入らせない部分ができた事は確かで、その事が飛鳥を幸せから遠ざけてしまう。
    周りの人たちから何度も何度も「素直になれ」と言われても、なかなか治すことのできない心の殻。

    本岡家で過ごした二年間を忘れることができたら、素直に幸せを享受することができたらどんなにいいだろうと、一番強く願っているのは飛鳥。
    そして、私自身にもそんな頑なさとか、プライドの高さとかがあるだけに身につまされる。

    殺人事件は起きるけれど、事件の謎を追うよりも、自分の心を見つめることに主眼を置いたこの作品は、なんとなく三浦綾子の小説のようでもある。
    丁寧に書かれた文章は、ストーリーへの興味というよりもまなざしの繊細さに目が離せず、一気に読み切った。

    あと、『孤児文学』というジャンルがあるそうだけど、「赤毛のアン」「少女ポリアンナ」「あしながおじさん」「家なき娘」など、海外のそれは屈託を抱えている割には主人公が素直で逞しくて明るいのね。
    けれどこの作品とか「氷点」とか、あとマンガだけど「ひとりぼっち流花」とか「キャンディ・キャンディ」とか「はみだしっ子」とか日本のそれは、苦労とか不幸の波状攻撃で、なかなか幸せにたどり着かない気がする。
    文化の違いでしょうか?
    あれ?どれも作者が北海道出身って偶然?
    もう少しよく考えてみます。

  • 自然の描写?がとっても多くて、それが物語の雰囲気を作っていた。いい意味でも悪い意味でも読み進めるのに時間がかかった。
    主人公はあまり好きじゃないなあ。と思った。そして結局可愛ければ物語になるんだなあ、と。別嬪さんならわがままでも心配ばかりかける娘になる。

  • 強情っぱりの主人公。
    こんなに自分の考えに固執していると、いつだって息苦しいだろうと思う。

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