- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488467081
作品紹介・あらすじ
手を下さなければ殺人ではない。私は何もしていない――偶然と悪意が重なる瞬間に“完全犯罪”を成し遂げた、春夏秋冬を名に冠する四人の少女。彼女たちの前にそれぞれの罪を見抜いた男性が現れる時、その心をよぎるものとは。全編を通してプロバビリティの犯罪を扱う幻の傑作ミステリ短編集が初文庫化。「危険区域」他、全四編を収録。
感想・レビュー・書評
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死に結びつく蓋然性が高い、と認識された故意か否か。偶然の上に成立しかける4つの犯罪、鋭く短い文章でリズミカルに語られる物語に引き込まれる。
物語の中の男女の位置付けには今と違う違和感を感じてしまうけど、あっという間に読了。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
収録内容は以下の通り。
本編
新保博久: 解説
全編に亘って蓋然性の犯罪を主題に取る。
女友達4人組の周りで起こる4つの事件。事件はそれぞれ、1人の女子の独白を中心に描かれる。犯意はあったが直接的な行動を取っていない、だから自分は悪くないと考える彼女たち。彼女たちを鋭い視点で洞察する4人の男性。第三者によって心の奥底まで見透かされることを経験し、彼女たちは成長していく。
季節感と風景描写が織りなす色彩豊かな文章。より際立つ衝撃的な光景。
カバーイラストは牧野千穂、カバーデザインは柳川貴代+Fragment。 -
四季の名を持つ四人の少女たちが、それぞれプロバビリティの犯罪を犯すが、知り合ったばかりの青年にだけは見抜かれてしまうというプロットを繰り返す連作集。探偵役の青年が毎回変わるのが意外だったけれど、四人とも著者の別のシリーズでおなじみのキャラクターだそうな。一種のファンサみたいなものか。
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「未必の故意」というやつに近いのかな。因果関係は証明されなくとも、心理状態が問われる状況。少女を裁くのが、法ではなく恋人である点がいかにも佐々木丸美作品。昭菜にしろ飛鳥にしろそうだった。少女たちは、罪の自覚を経て成長する。犯罪と恋愛とが絡まりあって通過儀礼の様相を呈す。
四人の性質や、傲慢→恐怖→合理化→後悔→安心 という心の揺れが巧みに描き分けられているのも面白い。 -
ミステリなのか微妙なところだが…。
ふらっと本屋に行ったらみたことのない佐々木丸美作品が
うっかり購入。
そして、相変わらずの丸美調。
言葉使いがすごい!くらくらするわ。 -
春夏秋冬の名を冠する四人の偶然と悪意によって成り立つ連作短編集。心理学的な要素と宗教が絡むのが少しだけしつこい気もするけど、佐々木さんの文体の雰囲気を十分に満喫しました。お気に入りは最後の秋都の話。全員から垣間見た狂気の印とコミカルな会話のアンバランスさがなんとも言えません。それと、春夏秋と見覚えのある顔が出てきたのですが、一体、三科さんてだれなんだろう?
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四季の名前をもつ少女たちが、それぞれに抱えた「完全犯罪」
佐々木丸美の連作短編集。
蓋然性(プロバビリティ)の犯罪を扱っている。
って、蓋然性ってなんぞや?
簡単に言ってしまえば「確率」のことなんだそうだ。
彼女たちは直接手を出したわけじゃない。この後どうなるか、予測していただけだ。
そして、彼女たちはその悪意を否定しない。
かといって、悪人のなりきれない彼女たちの前には、その謎を解き明かす男性が現れ…。
こういう展開は、佐々木丸美らしいと同時に苦手な部分なんだが、今回はこれが効果的だった。
大人になるということは、自分の思い通りにならないことを、知り、受け入れることなのだろう。それは、あきらめでも我慢でもない。ただ、それは自分の人生とは重ならないという、それだけのことであると。
創元推理文庫、順調に出してくれていてうれしいです。
完走まで、がんばってくれ。 -
悪意による一言が殺意になり、悪意により黙ることが
殺意になる。それを指摘され自分の罪に気がつく。
純粋すぎて、ひねた大人になってしまった私にはちょっと
重い。 -
「手を下さなければ殺人ではない。私は何もしていない」
主人公の4人の少女はみんな百人浜に行くのかな…。 -
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