- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488467098
感想・レビュー・書評
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友人は選んだ方がいい。
不満を決して、こぼしてはいけない人がいる。悪口に変換してしまうから。
悪人役をつくり、大きなトラブルにしたてあげられ、さも自分が解決したように周囲に見せる。
何が楽しいのかわからないが、それを愉快に思っているようだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
法で裁かれない悪意に追いつめられ、犯罪に手を染めて自分の身を守る人。これを読むと嬉々として噂話をする人や、「内緒の話なんだけど」とか言って話を広めようとする人をさらに嫌いになりそうです。
でも、人の悪意によって心が壊れてしまうのなら、魔作子たちにもそういう壊された時期があったんじゃないかとも思えます。
だから悪くないって事ではないですが。気になる。 -
佐々木丸美作品で同じ方向性の話ならば、個人的には『罪・灯火』のほうが面白い。
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何年越しでずっと気になってた割に実は初佐々木丸美作品。事件を解くというより加害者の心理を解いていく過程が興味深い。加害者と被害者の名前を記号化してるところで意図をはっきりさせているので余計に。事件化する手前の物とか…難しいよね。でも最後の「予言」の話とか。いろんな意味で単純な話ではないかんじ。
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そういえば、読み終わっていた。
丸美文学ともいえる独特な語り口はやはりすごい。
そして、この話の登場人物がひとりを除き全員女性。
ちょっとした言い回しや態度によりうまれる歪み。脅威。殺意。
考えるとゾッとする。
そして、どちらにもなりうるだろう自分。
怖いなぁ。 -
「法は人間に寄り添って解釈・運用されねばならない」ことと、人間心理の妙が繰り返し語られる。法の網目をすりぬける悪意を見破り白日の下に晒す探偵役は精神科医、それも女性を虜にするモテ男。この少女漫画的造形と、彼の同僚の失敗談が、この種の犯罪を暴く困難さを強調しているとも言える。
ここまで極端ではなくとも、小さな悪意は日常に転がっている…のかも。そら恐ろしい話です。 -
佐々木丸美さんの作品は読んでいて時折、ゾクッとする瞬間があります。今回一番感じたのが短編の始まる前に描かれたたった三行の文。それが凄く好き。人の悪意によって歪んだ心が原因で罪を犯した者達への救いの物語。
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ある日突然、友人・魔作子を殺害し、それを天誅と言った正子。
彼女は上流家庭に育ち、絵画の才能を伸ばすための留学を控え、
充実した日々を送っていたはずだった。
何が正子を凶行に駆り立てたのか?
精神分析医・吹原は対話と調査から、彼女の生活と心を撹乱した原因を探ろうと試みる。
日常に潜む無意識の悪意が作る罠と、少女の心に眠る真相とは。
「異常心理」他、全四編を収録。
とにかく・・・自分にとっては固いな!と思った作品だった。
病院系な話なら「空中ブランコ」の方が面白かったかな・・・!
創元推理文庫は面白い作品が多いだけにちょっとガッカリ。
読解力も問題と言われたらそこまでだけどあくまで自分的には
この評価。申し訳ない。 -
罪をおかした正子と、被害者の魔作子(まさこ)
なぜ正子は、魔作子を殺したのか。
短編集です。
*異常心理
*嫉妬
*被害妄想
*予知
「館シリーズ」の吹原のもとを訪れた正子たちが、魔作子たちの悪意をあばいていく。
どの短編も吹原のもとを訪れる女性は正子であり、正世であり、正恵であるのに対して、被害者となる女性は魔作子であり、魔作世であり、魔作恵というかなり意図的なネーミングがされている。でもって、吹原は<正>の女性の話を聞くというか、彼女たちのためにカウンセリングをやっているので、正しいことが書かれているようで、実際のところは曖昧模糊なのだ。
芥川龍之介の「藪の中」のような、不確かさ。それが、名前を正し、吹原が事件を明確していけばいくほど、本当にそれでいいのかという思いが残る。
多分、この短編集で、佐々木丸美は日常の小さな悪意の積み重ねを描きあったのではなく、その奥にある人間の存在の不確かさを描きたかったんじゃないかと思う。