福家警部補の再訪 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488470067

作品紹介・あらすじ

警備会社社長、脚本家、漫才師、玩具の企画会社社長──完全犯罪を企む犯人に、福家警部補はいかなるアプローチを見せるのか。『福家警部補の挨拶』に続くシリーズ第2集。

感想・レビュー・書評

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  • 福家警部補シリーズ第二弾。豪華客船に紛れ込んでしまい、そのまま事件を解決。拉致監禁の被害者を演じる犯人を暴く。漫才コンビ間で起こった殺人事件を解決。玩具企画会社社長の陰謀を暴く。4編を収録。犯人が悪あがきしないのも、刑事コロンボと同様。

  • 4編収録の倒叙形式本格ミステリー第2巻。どこか頼りない感じがしながら、不思議と人を安心させてしまう福家警部補。今回もパワー全開で、見事に犯人を窮地に追い込みます❗

    彼女のプライベートな部分も垣間見れて、次回作も読みたくなる肩のこらないミステリーです♫

    個人的には、『失われた灯』と『プロジェクトブルー』が好みです♫

  • '21年11月13日、読了。「福家警部補」シリーズの、二作目。

    今回も、楽しんで読みました。前作「挨拶」よりも面白く感じたのは、僕が慣れたから?

    読みながら「ちょっと鬱陶しいなぁ」と感じていた、警部補が警官と認識されるまでの捜査対象とのやり取り(あの、バッジを鞄の中でゴソゴソ探すシーン)も、途中からスッキリ!してて、良かったです(でも、好きな人は、あのコミカルなやり取りが良い、と感じるのかな?)。

    次は、三作目「報告」、読んでみたいです。楽しみ!

  • 小柄な女性刑事・福家警部補のシリーズ第二弾。
    ここまで読んで、福家警部補の下の名前が出てこない。
    下の名前のイメージや色がつくことを避けるためだろうか。

    何日も寝なくて大丈夫だし眠くもならない。
    その仕事量たるや相当のものだと思われるが、疲れも知らない。
    映画やドラマ、演芸にも詳しいようで、頭の中には相当なデータが入っていると思われる。
    酒はいくら飲んでも酔わない。
    サイボーグ?(笑)
    しかし、時折見せる人情あり、聞き込みをされた人はなぜか彼女を気に入ってしまう。
    同時に「警察に恩を売っておきたい人たち」をうまく使って調査をしたりする。
    再登場するキャラクターも出てきて、シリーズものを読む楽しさが加わった。

    『マックス号事件』
    豪華フェリーの中で起きた殺人。
    福家が乗り込んでいた理由が笑えるというか。
    拳銃がそこから出てきた、というの、刑事コロンボであった気がするのも嬉しい。

    『失われた灯火』
    人気脚本家が描いた完全犯罪のシナリオ。
    さすが脚本家だけあって、犯行の流れが淀みなく、アリバイ作りもドラマになっている。
    しかし、被害者たちはシナリオを演じる裏で、私生活を持っている。
    彼ら本人ではないと知らないことも多く、完全犯罪はそういうところから綻びるのだ。

    『相棒』
    一度大ブレイクするも、落ち目となった中年の漫才コンビ。
    部屋に入って、それを見たら、あっ!と思いますよね。
    哀しい余韻の残る犯罪。

    『プロジェクトブルー』
    有名な玩具企画会社の社長は、自身も優れた造形能力を持つ。
    フィギュアに対する愛も並々ならない。
    被害者が数ヶ月かけて調べたことを福家がわずか1日で突き止めたことに戦慄する容疑者だが・・・
    その莫大な調査は犯行の背景や動機を推理し、犯人はこの人物で間違いないと確信させるのだが、本人がしらを切り通す限り、逮捕に至らないのが歯がゆい。
    しかし意外なところから決め手が飛び出す、というのが面白いところ。
    「それは、どういうことです?」と、目をぱちくりさせる福家がかわいい。

  • 人気脚本家の藤堂は
    脅迫者の骨董商を殺害するため
    まずは自分のアリバイを確保するシナリオをえがく。
    それは「ストーカー気味のファンに演技をさせ
    自分が誘拐されたように装う」というもの。
    誘拐犯役を演じた彼を
    脱出時の正当防衛にみせかけて殺し
    骨董商の放火殺人のほうは無関係…になるはずだった。
    その事件の担当である福家警部補が
    藤堂の前に現れるまでは。
    (『失われた灯』)

    1巻が面白かったので続きも買ってみました。

    漫才師コンビの片割れが解消話のもつれで
    相方を殺害した哀しい結末の『相棒』
    玩具メーカーの社長が過去を葬るために
    造形作家を事故に見せかけて殺す
    『プロジェクト・ブルー』など4つの事件が描かれます。

    倒叙ものだから
    犯人と一緒に犯行を体験してるはずなのに
    現場に残したうっかりミスを
    福家警部補に指摘されてびっくり。
    その瞬間は犯人の方に感情移入しますわ(笑)

  • 福家さんの2作目。

    キャラが馴染んできた感じ。

    ただ、多趣味すぎでは?

  •  福家警部補が主人公の倒叙ミステリ第二弾。古畑任三郎や,刑事コロンボの後継的な存在。テレビドラマ化もされており,コロンボファンなどの,玄人筋の評価は高め。
     今回も4作が収録されており,犯人役は,警備会社社長,脚本家,漫才師,玩具の専門会社社長。職業のバラエティはさまざま。今回も,倒叙モノのフォーマットを踏襲しており,冒頭で犯罪が生じ,捜査に当たる福家警部補が,直観で犯人を見極め,追い詰めていくという筋書き。
     第一弾である「福家警部補の挨拶」は,そこそこ楽しめたが,今作はそれほど楽しめなかった。原因は,各短編の最後の一押し,犯人を落とす福家警部補の推理がイマイチ納得できないのである。
     倒叙ものミステリは,完全犯罪を目指す犯人役を,細かいミスなどを指摘してゆすぶり,最後にとどめの大ミスを見せつけて落とすという構成が多い。この最後のとどめの部分が見せ場である。犯人も完全犯罪を成功させたいので,途中のゆすぶりには強い精神力で耐える。その相手を落とすとどめ。ここにインパクトがほしい。
     今回の4作は,いずれも最後のとどめの部分が弱い。「どうしてこれであきらめるの?まだまだ言い逃れできるじゃない?」と思ってしらけてしまった。
    福家警部補の性格も,コロンボや古畑に比べれば個性が弱いような気がする。それでいて,一作目に比べ,だんだんと厚かましくなっており,読後感もそこまでよくなかった。★2かな。

     個々の作品の所感は以下のとおり

    ○ マックス号事件
     船の上で完全犯罪をもくろむ。設定は面白く,福家警部補が捜査をするきっかけもユニーク。ただし,オチがイマイチ。マニキュアに指紋が残っていたというものだが…指紋かぁ。

    ○ 失われた灯
     誘拐モノ。脚本家が,ストーカー的な俳優を,オーディションに見せかけて誘拐犯に仕立て上げるという設定はなかなか面白い。誘拐と殺人のハイブリットなのだが,これこそ,犯人がなぜ諦めたのかわからない。燭台をカップのようなものと言い間違えたと言い張ればいいのに…。よくよく考えれば,古畑任三郎でも,この程度の言い間違いで犯人が犯行を認めたものはあったが,映像で見るのと小説で読むのとではちょっと違うのか。見せ方の差という気もする。イマイチ。

    ○ 相棒
     オチがイマイチ。アルツハイマーかなと思って読んでいたらそのとおりのオチ。オチば見え見えでも,伏線の張り方などが見事なら納得できるが,そもそも伏線が見え見え。アルツハイマーをミスディレクションにしていて,何かほかのオチがあるのかと思ったくらい。イマイチ。

    ○ プロジェクトブルー
     犯人役の職業も地味。ついに設定まで面白くなくなってしまった。…正直つまらない。

  • 2013年7月文庫
    ・マックス号事件
    ・失われた灯
    ・相棒
    ・プロジェクトブルー
    の4つの話
    倒叙形式のミステリー
    福家警部補シリーズ2冊目
    シリーズ2冊目なので
    福家警部補に対する
    信頼感がだいぶ増していて
    余計面白かった
    どの犯人も切れ者で
    その上をいく福家警部補
    追い詰められた犯人全員が
    潔いいところも
    (言い訳したり
     ごねたり襲いかかってきたりしないところ)
    気持ち良くて良かった
    解説に主人公である刑事が
    「何を思い何を感じるのかは
     一切書かない
     視点はその刑事を傍から
     見ている第三者のものにする
    こうして生まれたのが福家警部補です」
    とありここが
    自分が面白いと感じるところだな
    と思った


  • 今作は前作に比べて結末の余韻があっさりしていた気がしました。その分、今作では関係者に話を聞きに行くパートに印象に残るものが多かったです。

    特にレンタルビデオ屋の店主に話を聞きに行くパート、本筋とは全く関係ない部分なのですが、そこで繰り広げられるちょっとしたやり取りを読んだ時に、

    漫画でもよくある「クライマックスに向かう前に、本筋とは全く関係ないけど、胸が熱くなるような展開」を思い出しました。こういう展開好きです。

  • 福家警部補二作目。

    あー、そういえばコロンボ警部でも客船に乗ってた話があったなー。
    福家警部補と違って密航者ではなかったけど。
    奥さんと一緒に乗っていると言っていたから、
    いつか奥さんが登場するのではないかと心待ちにして見ていたのに、
    結局登場しないまま下船していたっけ。

    コロンボ警部と古畑任三郎を同列に語るのは心苦しいが、
    明石家さんまが水差しと花瓶を間違えた弁護士役をやってたなー。

    ちらちらとそんなことが頭をよぎりながら、
    福家警部補にも慣れてきたのか、前作よりちょっと楽しめてきた。
    ところところで、誰かを勇気づけたり、小悪党をやっつけたり。

    それにしても、徹夜で捜査を続けて、
    映画オタクでフィギュア好きで、演芸場にオールナイトで漫才を見に行って、
    いつ寝てるんだろう福家警部補は。

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著者プロフィール

大倉崇裕(おおくら たかひろ)
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年、「三人目の幽霊」で第四回創元推理短編賞佳作を受賞。98年、「ツール&ストール」で第二十回小説推理新人賞を受賞。2001年、『三人目の幽霊』でデビュー。代表作である白戸修シリーズ、福家警部補シリーズ、警視庁いきもの係シリーズは、いずれのシリーズもTVドラマ化されている。

「2022年 『殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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