少女には向かない職業 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M さ 5-1)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 502
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488472016

作品紹介・あらすじ

あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した…あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから-。これは、ふたりの少女の凄絶な"闘い"の記録。『赤朽葉家の伝説』の俊英が、過酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いて話題を呼んだ傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人をふたり殺した。
    夏休みにひとり。それと、冬休みにもうひとり。
    武器はひとつめのときは悪意で、もうひとつのときはバトルアックスだった。
    それであたしが思ったのは、殺人者というのはつくづく、少女には向かない職業だということだ。
    ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

    衝撃的な文章で始まるこの作品。
    終始ざわざわしながらも、一気読みだった。

    うまく言えないけど、良かった〜っていうんじゃなく、言葉のチョイスだとか、物語を読んでて感じる閉塞感だったりが感覚的にめちゃくちゃ好きだった。

    桜庭さんの小説を読むのは「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」以来、2作目。
    どちらも思春期の少女たちを描いた作品で、内容的にも通ずるとこがあったなと思う。
    心に傷を負った少女の心の葛藤や、行き場のない閉塞感や絶望感がひしひしと伝わってくる。
    ただこの作品の方が、主人公の葵に共感するところもあってか、よりリアルに感じられて好きだった。

    これ、もうラストがたまらなかった(T^T)
    頭の中で、殺人者は「少女には向かない職業」ってタイトルのテロップが流れたよ。。


    追記
    山羊はボコボコにしたらあかん

    • 1Q84O1さん
      mihiroさん、こんにちは~♪
      ほんと、衝撃的な文章で始まりますね…
      桜庭さんはまだよんだことないですが、この作品気になります
      「砂糖菓子...
      mihiroさん、こんにちは~♪
      ほんと、衝撃的な文章で始まりますね…
      桜庭さんはまだよんだことないですが、この作品気になります
      「砂糖菓子〜」も読もうと思いながら図書館でずっと貸出中だったの読めてないままです(^.^;
      2023/04/06
    • mihiroさん
      1Qさ〜ん♬こんばんは(^^)
      なかなか衝撃的な文章で始まるでしょ〜
      あ、ちなみに「砂糖菓子〜」もかなり衝撃的な一文で始まります笑
      桜庭さん...
      1Qさ〜ん♬こんばんは(^^)
      なかなか衝撃的な文章で始まるでしょ〜
      あ、ちなみに「砂糖菓子〜」もかなり衝撃的な一文で始まります笑
      桜庭さん、好き嫌い分かれると思います
      これもそうですが、思春期の少女が主人公の話が多いみたいで、そのへんがラノベっぽく感じる方もいるみたいです
      私は桜庭さんのワードセンスがめちゃくちゃ好きでハマってしまいました〜\♡︎/
      もっとたくさん読んでみたい♡
      機会がありましたら、いつかぜひ٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶ °
      2023/04/06
    • 1Q84O1さん
      おっさんが読んでも大丈夫かなw
      mihiroさんは桜庭さんのワードセンスに見事に撃ち抜かれたのですね!
      ちょっと気になりますね♪
      機会があれ...
      おっさんが読んでも大丈夫かなw
      mihiroさんは桜庭さんのワードセンスに見事に撃ち抜かれたのですね!
      ちょっと気になりますね♪
      機会があれば手にとってみたいと思います(^^)
      ありがとうございま〜す♫
      2023/04/06
  • ページをめくる手が止まらず、一気読み。

    しかし、なんて切実で、
    美しく痛い小説なんだろ。

    やはり桜庭さんの小説は
    自分の琴線に触れまくる(>_<)


    島に閉じ込められた少女たちの
    ジリジリとした焦燥感と苦悩、
    大人たちへの嫌悪、
    ガラスみたいな音を立ててパリンと割れる少女の心、
    追い詰められた者たちの咆哮が
    文章の隙間から聞こえてくる。


    山口県の小さな島に暮らす
    中学二年の主人公、
    大西 葵は
    育児放棄した美人のママに疎ましく思われ、
    お酒を飲んでばかりの義父を
    殺してやりたい衝動に駆られる。

    ある日、葵は
    学校では地味な図書委員だが、
    私服ではゴスロリファッションに身を包む
    宮乃下 静香という不思議な少女と出会い、
    やがて殺人の共犯者となっていく…。



    言わなきゃいけないことを
    いつも言えずに、

    アル中の義父に
    虐待を受けながらも
    強くて優しい大人になりたいと願う葵と、

    大人になるまで目立つことなく
    息を殺して生きなきゃいけないと願う静香が
    本当に切ない。


    大人たちからの理不尽な制圧から
    なんとか生きて抜け出すために
    殺人を犯していく
    愚かで悲しき少女たち。


    同級生への淡い恋心と併せて
    思春期特有の残酷性や
    葵の心の揺れなどを
    克明に描写したリアルさは、
    少女を書かせれば
    右に出る者はいない
    桜庭さんの真骨頂だし、

    貴志祐介の「青の炎」やサガンの「悲しみよこんにちは」との共通点や、
    「わらの女」や「悪魔のような女」など
    様々なミステリー小説のオマージュが散りばめられたストーリーも
    読書好きにはたまらない魅力でしょう。


    大人たちに弄ばれる弱者の
    反逆とあがき。

    お互いを救うために
    絶望的な闘いへとひた走る少女たち。


    いい歳をしたオッサンが
    静香が葵のことを誇らしげに話す
    物語終盤の言葉に
    不覚にも胸が熱くなってしまった…



    大人は判ってくれない。

    血にまみれた絆であっても
    生き抜くために
    固く固く繋がる二人を
    誰が笑えるだろう。


    誰もがみんな13歳だった。

    少女たちは大人たちと
    どう闘い
    どう散っていったのか。

    エモーショナルに胸を撃ち抜く
    ラストシーンを
    いつまでもいつまでも
    忘れることはないだろうと思う。

  • 初めて桜庭一樹さん読みましたが、良かった!
    すごく読みやすくて、スピード感もあって、面白かったです。

    2人の少女の境遇や、中学生ならではの友達や大人に対する感情・悩みに懐かしく思ったり、ハッとさせられたり。
    たった10年前なのに、その頃「なんでわかってくれないんだろう?」と思っていたような、大人になり始めているかもしれない、とドキッとしました。

    ストーリーはもちろん、小さな島の美しい光景が目に浮かぶような丁寧な描写も素敵でした。

    2人の女の子の未来に少しでも光がありますように、と願わずには居られません。

  • 島の夏を、美しい、とふいにあたしは思う―強くなりたいな。強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな。中学2年生の1年間で、あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した-。これは、ふたりの少女の、血の噴き出すような闘いの記録。痛切なストーリーが胸を抉る衝撃作。
    田舎町や表面だけの学校の友達そしてアル中の義父に嫌気がさしていた大西葵は、ゴスファッションの優等生・宮乃下静香に導かれて、残酷な遊戯に手を出し始める。絶望的な状況に完全犯罪を武器に戦う青春ミステリー小説。
    葵の「強くなりたい」と願う閉塞感と葛藤、同志愛的な友情に共感しました。天才的な静香が葵に完全犯罪のトリックに必要なものとして用意させるのが、すりこぎや菜種油や冷凍マグロだというおまぬけさが、ゆるいユーモアを醸し出し、ユニークな青春ミステリー小説に仕上がっています。

  • 葵のさらりとした、中学生らしい明るさ、そんな彼女に共感されたことで、葵を特別な存在とみなす静香。
    二人の少女の辛い現実と、そこから逃避しようとする妄想。
    所詮中学生の考える策略。
    夏の海辺の町の描写も、冬の静かな雪の表情も素晴らしく心に残る。

  • 一行目から衝撃的なオープニング。
    中身は重たいはずなのに、中学生の語り口調でテンポよく話が進んでいくので、深刻な気持ちになれないまま軽い感じでサクサクと読み終えてしまった。
    修学旅行のお土産で買ったものに思わず笑う。
    閉塞感のある舞台設定がうまい。よりどころの無い者が短絡的に誰かに洗脳されてしまうときというのは、こんな感じなのかなと思った。

  • こう終わるのか…。って思った

    救いがない、いやこれは逆に救われたと言うのか…?殺人者は少女には向かない職業だった。のタイトルに帰る感じ?
    書き方が読みやすくて良かった。交互だった。あたしはだめ、全然だめ。はぁ。みたいな。笑
    危うい少女2人の、つたない、下手くそな殺人の話。血の繋がっていない父親を憎み、血縁者に殺されるかもしれない恐怖を抱き、学校生活を過ごす2人の女の子。中学校って、平和に生きてても何かトラブルに巻き込まれてめんどくさいのに、さらに家庭でこんなに大きな悩みがあるなんて。まともに生きれない。
    殺人に隠れて、家庭環境の問題がとても苦しい。学校生活が不安定な時に、父にも母にも頼れない子供はどうしたらいいの?
    重荷と思わないで。なるべく軽くなるから。
    悲しすぎる。

    この作品読んで寝たら自分の死んだ父が浮気して家を出て行って新しく子供を産んでて、っていう夢を見た。笑 夢だったけど自分が捨てられたみたいな気持ちになってつらくてつらかった。受け入れれるけど受け入れれないみたいな。職業柄、家庭環境がひどい子供や保護者との関係が悪い子供は身近にたくさんいる。たくさんいるけど、やっぱり自分が経験してみる辛さは全然ちがうなと思った。しかも私は夢だったけど、そういう子たちにとってはそれが現実で事実で本当に受け入れていかなきゃいけなくて。苦しい。なんか軽いノリで書いてるけど、内容はとてもとても苦しかった。

  • 13歳の少女の一年間の物語。
    働かない義父、働くことで娘の育児を放棄したような母。
    学校では面白い子という仮面で自分を守る少女が「人をふたり殺した」。
    家族の愛を求めながらも家族の愛を得られない二人の少女の殺人計画。
    母と娘の愛憎、少女と少女の間に生まれる友情という言葉では表せない何か。短絡的な計画の行きつく先。




  • 凄まじかった…!中学生の繊細な描写が上手すぎる。自分が中学生だった頃を思い出し、あの時の苛立ちや葛藤を久々に体感した。
    共感したりハラハラしたりと、とても忙しなく読み進めてしまい、一息着く間もなく読み終わってしまった作品。面白かったです。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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