少女には向かない職業 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M さ 5-1)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 503
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488472016

感想・レビュー・書評

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  • 中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人をふたり殺した。
    夏休みにひとり。それと、冬休みにもうひとり。
    武器はひとつめのときは悪意で、もうひとつのときはバトルアックスだった。
    それであたしが思ったのは、殺人者というのはつくづく、少女には向かない職業だということだ。
    ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

    衝撃的な文章で始まるこの作品。
    終始ざわざわしながらも、一気読みだった。

    うまく言えないけど、良かった〜っていうんじゃなく、言葉のチョイスだとか、物語を読んでて感じる閉塞感だったりが感覚的にめちゃくちゃ好きだった。

    桜庭さんの小説を読むのは「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」以来、2作目。
    どちらも思春期の少女たちを描いた作品で、内容的にも通ずるとこがあったなと思う。
    心に傷を負った少女の心の葛藤や、行き場のない閉塞感や絶望感がひしひしと伝わってくる。
    ただこの作品の方が、主人公の葵に共感するところもあってか、よりリアルに感じられて好きだった。

    これ、もうラストがたまらなかった(T^T)
    頭の中で、殺人者は「少女には向かない職業」ってタイトルのテロップが流れたよ。。


    追記
    山羊はボコボコにしたらあかん

    • 1Q84O1さん
      mihiroさん、こんにちは~♪
      ほんと、衝撃的な文章で始まりますね…
      桜庭さんはまだよんだことないですが、この作品気になります
      「砂糖菓子...
      mihiroさん、こんにちは~♪
      ほんと、衝撃的な文章で始まりますね…
      桜庭さんはまだよんだことないですが、この作品気になります
      「砂糖菓子〜」も読もうと思いながら図書館でずっと貸出中だったの読めてないままです(^.^;
      2023/04/06
    • mihiroさん
      1Qさ〜ん♬こんばんは(^^)
      なかなか衝撃的な文章で始まるでしょ〜
      あ、ちなみに「砂糖菓子〜」もかなり衝撃的な一文で始まります笑
      桜庭さん...
      1Qさ〜ん♬こんばんは(^^)
      なかなか衝撃的な文章で始まるでしょ〜
      あ、ちなみに「砂糖菓子〜」もかなり衝撃的な一文で始まります笑
      桜庭さん、好き嫌い分かれると思います
      これもそうですが、思春期の少女が主人公の話が多いみたいで、そのへんがラノベっぽく感じる方もいるみたいです
      私は桜庭さんのワードセンスがめちゃくちゃ好きでハマってしまいました〜\♡︎/
      もっとたくさん読んでみたい♡
      機会がありましたら、いつかぜひ٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶ °
      2023/04/06
    • 1Q84O1さん
      おっさんが読んでも大丈夫かなw
      mihiroさんは桜庭さんのワードセンスに見事に撃ち抜かれたのですね!
      ちょっと気になりますね♪
      機会があれ...
      おっさんが読んでも大丈夫かなw
      mihiroさんは桜庭さんのワードセンスに見事に撃ち抜かれたのですね!
      ちょっと気になりますね♪
      機会があれば手にとってみたいと思います(^^)
      ありがとうございま〜す♫
      2023/04/06
  • ページをめくる手が止まらず、一気読み。

    しかし、なんて切実で、
    美しく痛い小説なんだろ。

    やはり桜庭さんの小説は
    自分の琴線に触れまくる(>_<)


    島に閉じ込められた少女たちの
    ジリジリとした焦燥感と苦悩、
    大人たちへの嫌悪、
    ガラスみたいな音を立ててパリンと割れる少女の心、
    追い詰められた者たちの咆哮が
    文章の隙間から聞こえてくる。


    山口県の小さな島に暮らす
    中学二年の主人公、
    大西 葵は
    育児放棄した美人のママに疎ましく思われ、
    お酒を飲んでばかりの義父を
    殺してやりたい衝動に駆られる。

    ある日、葵は
    学校では地味な図書委員だが、
    私服ではゴスロリファッションに身を包む
    宮乃下 静香という不思議な少女と出会い、
    やがて殺人の共犯者となっていく…。



    言わなきゃいけないことを
    いつも言えずに、

    アル中の義父に
    虐待を受けながらも
    強くて優しい大人になりたいと願う葵と、

    大人になるまで目立つことなく
    息を殺して生きなきゃいけないと願う静香が
    本当に切ない。


    大人たちからの理不尽な制圧から
    なんとか生きて抜け出すために
    殺人を犯していく
    愚かで悲しき少女たち。


    同級生への淡い恋心と併せて
    思春期特有の残酷性や
    葵の心の揺れなどを
    克明に描写したリアルさは、
    少女を書かせれば
    右に出る者はいない
    桜庭さんの真骨頂だし、

    貴志祐介の「青の炎」やサガンの「悲しみよこんにちは」との共通点や、
    「わらの女」や「悪魔のような女」など
    様々なミステリー小説のオマージュが散りばめられたストーリーも
    読書好きにはたまらない魅力でしょう。


    大人たちに弄ばれる弱者の
    反逆とあがき。

    お互いを救うために
    絶望的な闘いへとひた走る少女たち。


    いい歳をしたオッサンが
    静香が葵のことを誇らしげに話す
    物語終盤の言葉に
    不覚にも胸が熱くなってしまった…



    大人は判ってくれない。

    血にまみれた絆であっても
    生き抜くために
    固く固く繋がる二人を
    誰が笑えるだろう。


    誰もがみんな13歳だった。

    少女たちは大人たちと
    どう闘い
    どう散っていったのか。

    エモーショナルに胸を撃ち抜く
    ラストシーンを
    いつまでもいつまでも
    忘れることはないだろうと思う。




  • かなり好き
    辛い切ない
    閉じたコミュニティにいるからこその
    息苦しさと衝動。

  • 『危険からわれわれの身を守るための”悲しみのプログラム”という状態なんだ。悲しみというものは、生き残るための本能なんだよ。だから辛いときにじっとして、なんにも手につかなくなるのは、けして君のせいではない。』

    『いったいぜんたい、頭のどのへんを打ったらこんな服装をしたがるようになるんだろう。側頭部?』

    『用意するものはすりこぎと菜種油です、と静香は言った。』

    『一度超えたら、かんたんにその場所に行けるようになる。きっと、いいものも悪いものも一緒なんだ。一度やれたら、二度目はかんたんになる。』

    『用意するものは冷凍マグロと噂好きのおばさんです、と静香は言った。』

    『あたしはママが一番大事な人を誰か知っている。それは娘でも、死んだ夫でもないし、あの新しい恋人でもない。きっと”若いころの自分”なんだ。』

  • 葵ちゃんを自分だけのものにするために半分は本当の嘘をつく静香ちゃんの絶望的な感じに、胸がときめく。自分だけを見て欲しいから必死に“誰か”になろうと頑張る静香ちゃんに共感できる人は沢山いるはず。
    スパルタの狐みたいなことにならないように適度な息抜きが必要ってことも分かってるんだけど、それが難しいのよねぇ。
    もっと早くSOSを出していれば助かったのかもしれないけれど、それは全然ロマンティックじゃないから、誰も助けてって言えなかったのかな。素敵。

  • 爆萌!

  • ページ数がそこまで多くないのと、続きが気になるのとでささっと読んだ。

    十代の頃ってこんなこと思ったりしてたかも?(朧げな記憶)と思いながら読み進めた。
    この時期の子の友情って大人になった今思うと割とどうでもいいことで壊れてたよなぁとか、サチみたいな子いた気がするなぁとか考えた。

    作者の小説は、砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない に続いて二作目ですが
    小説内に出てくる大人の男が胸くそ悪いのはこの作者ならではなのだろうか。
    少女にはバッサバッサ クズい大人達をバトルアックスで薙ぎ倒していってもらいたい。

  • 義父にゲームのカードを潰されてしまうくだり、ああっとなった。たかがゲームのデータ、なんて言ってしまうことは簡単だ。けれど、あのときの彼女にとってあのドラゴンは確かな拠り所で、逃げ場所だったはずで、それを思うとやりきれない気持ちになった。
    田中颯太をめぐる女の子たちのやりとり、仕方のないことだけれど、やはり美少女に惚れてしまうんか……。主人公がグーで殴りにいったところ、最高だ! 仲が良くて、これまで一緒に遊んでて、なのに向こうが彼女を作った途端、二人で遊ぶことは後ろ指をさされる行為になる。いや、常識としてわかるんだけど、なんだかなぁ感あるね。友人も同情してくれないし。
    後半はどきどきしながら読み進めた。「大西葵はあたしにとって特別な女の子」的なこのセリフも、やはり最高! と思った。ラストの終わり方には、うわーっそこで終わるのォ!と思って読み終えた。このあとどうなるか、予想はできるから文句はなくて、ここで終わることのインパクトがただひらすら胸に響いた。

  • あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。

    読みはじめは静香はただのゴスロリ少女だと思ったけれど、後半すごくすごくキャラクタがよい。

    「用意するものは冷凍マグロと噂好きのおばさんです、と静香は言った」
    第三章のタイトルなんてユーモアが溢れてる!桜庭一樹は、一番乙一ににている作家なのでは?ほかの作品も読みたい。

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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