- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488473068
作品紹介・あらすじ
超研の〈エリア51〉で特集した「市立七不思議」が何かを呼んだのか? 突如そのうち3つの事件が巻き起こり、葉山君はおおわらわ。コミカルな学園ミステリ・シリーズ第5弾。
感想・レビュー・書評
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面白かった!原稿を読んだ担当編集者の方が「これでシリーズ終わりですか?」と尋ねたそうだが、それも無理はないと思う。だって、一作目のアノ件にもきれいに決着をつける形なんだものね。これ、当初から構想されていたんだろうか。そうであるにしろ、違うにしろ、非常に鮮やかに決まっていると思った。
このシリーズは、軽快な青春ミステリという点でも出色だけど、それに哀切な痛みが加えられていて、そこがとても好きだ。それに、今回は(遅ればせの)シリーズファンとしても見逃せない、おおーっという展開もあったし、いや大満足。 -
事件にまきこまれすぎというフィクションにありがちな設定を謎につなげてる。面白かった。
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葉山君シリーズ五作目。
葉山の通う市立高校で、「学校七不思議」になぞらえた事件が次々と校内で起きる。
例によって事件に巻き込まれた葉山と友人たちは共に捜査に乗り出すが、一向に解決の糸口は見えず、卒業生の伊神さんを頼るが、意外な真相が明らかになる―。
細かい事件がいくつかあり、ちょっと要素が多すぎるかなという気はするのですが、手堅くまとまってます。
第一作からの謎が解決されるという怒涛の集大成となった今作はシリーズ一区切りって感じですね。
日常ミステリだけでなく、発展途上な主人公の成長物語というところにも本シリーズの楽しみがあるわけですが、主人公以外の面々の成長も窺えて感慨深いです。
葉山君とミノは事件にも変に慣れちゃってしっかりしてきた気がするし、伊神さんも事件当事者や葉山君に対しての配慮を見せてくれるようになったし。
何より、葉山君がヒロインに対しての思いを今作ではっきりさせてくれたのが親戚の子が成長したような感じで嬉しかったです。
シリーズに区切りがついただけでこれで完結じゃないそうなので、次のステージが楽しみです。 -
どんどんうまくなってる気がする。前半は注に笑わせられ、後半はぞくぞく。悩む探偵(伊神さんじゃなくて葉山君ね)ってのも味があるんだよね。伏線回収しまくったから、そろそろ完結かと思ったけど、まだまだ続きそうでよかった。あと、柳瀬さんがかわいい。(これ毎回言ってるわ)
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“僕は思わず後じさりそうになった。この人の視線には、人を内面ごと刺し貫くような鋭さがあるのだ。その場に踏ん張れたのは僕が強かったからでも、強い意志を持っていたからでもなく、たんに伊神さんが僕を咎める表情でなく、昆虫並みに完全な無表情だったからである。
「どうしても、そこが気になるようだね」
「それは……」
僕は黙って頷いた。
本の山の間に立って、伊神さんと向きあう。どうして自分はここで、伊神さんと対峙しているのだろう、と思った。僕は自力でどうしようもなくなった事件の解決を頼みにきたのだ。伊神さんの言うことに異を唱える理由はないはずだし、そういう立場でもないはずなのに。
だが、伊神さんはちょっと肩をすくめるようにして視線を外した。
「もちろん、いま言ったのは僕の考えだよ。君は僕とは違って、弱い人間に重心を置く」
伊神さんは無表情のまま歩き、僕の横を抜けて居室のドアを開け、そこで言った。「そういうところを悪いとは思わないし、嫌いでもない。それが君なんだろう」”[P.167]
6巻目。
確かにこれで終わりですよーと言われても何の違和感もない感じの締まり。
まだ続くというのは嬉しいけれど次はいつ頃に出るのかなそわりそわり。
柳瀬さんが傘を投げ入れて「傘忘れた!」って言うシーンの可愛さたるや。
葉山くんの気持ちは固まったみたいだけれど、柳瀬さんは、確かにどうにも掴みきれないなぁ。
“そこまで言って、柳瀬さんが何やら探りを入れるような視線をこちらに向けていることに気付いた。
「……どうしました?」
「別に」柳瀬さんは目をそらした。「男の子ってどうしてこう、女に頼られると舞い上がっちゃうのかなって思って。まあ、麻衣ちゃん可愛いもんね」
「うっ。……いえ」これは女の勘だな、と思う。が、よくよく考えればさっきは単に感謝されていただけだ。後ろめたく考えることもないだろう。
「あーあ。私ももっとこう、男にうまく甘えられればもてるのかな」柳瀬さんは溜め息をついて伸びをすると、ぐるん、と肩を回して両拳をぱきぱき鳴らした。「よーし。じゃ今期の私のイメージは『か弱さ』と『はかなさ』ってことでよろしく」
拳を鳴らしながら言われても困る。”[P.108] -
面白かった。
日常の謎系なはずなのに終盤は怖かった。