高城高全集(4) 風の岬 (創元推理文庫)

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  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488474041

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  • 20121028 自分が生まれた頃の時代の話。何と無く展開が荒く感じた。

  • “幻の作家”高城高。
    全集第4巻となる本書では、活動休止前の10年に書かれた14編を収録。

    麻薬密売にからむ轢死事件を追う捜査官が見た人間模様とは「踏切」。
    ある強盗傷害事件を追う新聞記者は、
    スクープを狙って仮説を立てるが――「ある誤報」。
    小さな企みについて描いた掌編「ホクロの女」。
    溺死体となって発見された男は三輪に、
    かつて反共産主義の組織の一員として活動していたことを話していた。
    その死について三輪は調査を進める「風への墓碑銘」。
    無実の罪で投獄された男は、十年前の事件の復讐のため
    かつての仲間の前に姿を現すが――「札幌に来た二人」。
    雑貨店を営む老女の死の意外な真相「気の毒な死体」。
    嵐の中、襟裳岬へ向かう奇妙な二人連れの男。
    彼らを待ち受ける結末は――「風の岬」。
    ゲイバーのマダムが殺された。
    調べを進めるに従い明らかになる人間模様と、
    昨年の夏の事故と今回の事件のつながりとは――「飛べない天使」。
    ある会社の給料を盗み出すことを計画した弘志ら四人。
    しかし、弘志は誰かの裏切りに会い負傷する「ネオンの曠野」。
    “星の岬”を目指して車を走らせる夫婦。
    夫は秘密を告白するが、妻はそれを受け入れる、が――「星の岬」。
    電波基地建設に反対する地元住民。
    その裏で暗躍する謎の老人の正体は「上品な老人」。
    一年前、ナオミを追ってきた芸能記者は階段から転落して死んだ。
    人気にかげりの見えてきたナオミは再びホテルを訪れる「穴無し熊」。
    偽造小切手を追っていた上司の失踪を調べるべく北海道に来た朝比奈。
    彼を待ち受けていた罠とは――「北の罠」。
    佐川のもとにかかってきた殿村輝子からの電話。
    以前、失踪した彼女を佐川は探し出したことがあったのだ。
    函館に向かった佐川は、消えた輝子の行方を調べるが
    きな臭い企みが浮かび上がってきて――「死ぬ時は硬い笑いを」。

    これで全集も最後?

    おそらく、「凍った太陽」「暗い海 深い霧」のときと
    ほとんど同じことを語ることになってしまうので、
    今回はできるだけ短めにいこうと思う。

    文体と雰囲気は、当然のことではあるが、
    これまでに読んだ作品と変わらない。
    すでに高城高の文章に魅せられている人間にとっては
    それは読んでいるだけで相応の満足感が得られるものである。

    似通っているようで多様なプロットの妙もやはり味わい深く、
    さらっと読めて刺激的な作品が多い。
    いわゆる本格ミステリではないので伏線どうこうというものではないが
    だしぬけに真相を明かす手口はいつも切れ味が鋭いし、
    それによって人間関係の闇や影が浮かび上がってきて
    キレが良くて、なかなかに強い余韻を残してくれる。

    今回のお気に入りは、ミステリ好きとしては
    この手のプロットにはどうしても反応してしまう「気の毒な死体」、
    どこか夢物語のようなロマンチックさを漂わせておいて
    衝撃的なラストに持ち込む「星の岬」、
    カタストロフが印象的な「死ぬ時は硬い笑いを」あたりか。
    もちろんどの作品もそれぞれに魅力があるのだが。

    高城高の過去の作品を追うのはこれで終わり。
    このあとは、文庫化もされた「函館水上警察」を読みます。

  • (収録作品)踏切/ある誤報/ホクロの女/風への墓碑銘/札幌に来た二人/気の毒な死体/風の岬/飛べない天使/ネオンの曠野/星の岬/上品な老人/穴無し熊/北の罠/死ぬ時は硬い笑いを

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著者プロフィール

1931年1月17日、北海道生まれ。本名・乳井洋一。幼少時に宮城県仙台市へ移住し、以降は宮城県在住。進駐軍や米軍人、英語教師だった父から入手したペーパーバックで海外小説を読み漁り、特にハードボイルド小説を愛読した。東北大学文学部英文科在学中に執筆した「X橋附近」は江戸川乱歩に絶賛され、55年に『増刊宝石』へ掲載されている。57年に北海道新聞社へ入社してからも兼業作家として短編を書き続け、70年で断筆するが、2007年から再び創作活動を再開した。主な著書に『微かなる弔鐘』(光文社)、『墓標なき墓場』 (光風社)、『函館水上警察』(東京創元社)、『眠りなき夜明け』(寿郎社)など。

「2022年 『フェンシング・マエストロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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