今だけのあの子 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 431
レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488474119

作品紹介・あらすじ

結婚おめでとう。大学時代、新婦とは一番の親友だった。けれど恵には招待状が届いていない。たった六人しかいない同じグループの女子の中で,どうして私だけ。呼ばれてもいない結婚式に向かう恵の運命、そして新婦の真意とは(「届かない招待状」)。進学、就職、結婚、出産、女性はライフステージが変わることで付き合う相手も変わる。「あの子はいつまで友達なんだろう」。心の裡にふと芽生える嫉妬や違和感が積み重なり、友情は不信感へと形を変えた。物語が鮮やかに反転し友情に潜む秘密が明かされたとき、人間の素顔が浮かび上がる。傑作ミステリ短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 新婦とは一番の親友だと思っていたのに。大学のグループの女子で、どうして私だけ結婚式に招かれないの…(「届かない招待状」)。環境が変わると友人関係も変化する。「あの子は私の友達?」心の裡にふと芽生えた嫉妬や違和感が積み重なり、友情は不信感へと変わった。「女の友情」に潜む秘密が明かされたとき、驚くべき真相と人間の素顔が浮かぶ、傑作ミステリ短篇集全五篇。

  • 読書の楽しみ方は人それぞれだ。外国作品の翻訳物が好きな方もいれば、サスペンス物が好きな方もいる。また、新しい知識を得るために新書を読むのが好きな人もいれば、コミックエッセイで楽しみたいという人もいる。「読書」という言葉ひとつをとっても、その形態や楽しみ方は千差万別だ。

    その中でもやはり「好きな小説を読んで楽しむ」という人がかなり多いだろう。私もその一人だ。小説とは言ってもジャンルが幅広くて多岐にわたっているので、例えば時代小説が好きという人もいれば推理小説が好きという人もいて、さらにはジャンルを問わず小説が好きだという人もいるだろう。

    私は「ジャンルを問わず小説が好き」な部類だ。残酷なものや政治・宗教に関するもの以外は、時代小説からラブコメまで面白そうだなと感じたものは手あたり次第に読んでいる。そのため、「面白いと思ったけれども読んでみたらそうでもなかった」という物語もあれば、「何気なく買ったけど読んでみたらとても面白かった」という物語もある。

    とにかく活字好きなので、手元に本がないと落ち着かない。だから書店に行って目についた綺麗なジャケットを見て本を選ぶこともある。いわゆるジャケ買いというやつだが、案外こういう第一印象で買った物語が思いがけず面白いということもある。

    芦沢央さんの書かれた 「今だけのあの子 (創元推理文庫)」も表紙の絵が綺麗な一冊だが、ジャケ買いしたわけではない。芦沢央さんの計算しつくされたような手法が好きで、事件物ではない作品はどのようなストーリー展開なのかに興味があって読んでみたかったのだ。

    読んでみたらなるほど良く考えられたストーリー展開で、一気読みしてしまったぐらいテンポが良くて引き込まれる。この一冊は、「女の友情」をテーマとした5つの短編から構成されていてそれぞれの短編がつながっている連作短編という形態なのだが、読み進めていくうちに「あれっ?」と思うような何気ない仕掛けがなされている。そういった一つ一つの仕掛けがすごい。

    一番の親友だと思っていた大学時代の友達。彼女が結婚をすることになったのに、仲間の中で自分だけ誘われない。どうしてなのか。様々な憶測を胸にしながら、呼ばれていない結婚式に出かけてみるとそこには思いがけない出会いが待っていた。(「届かない招待状」)。お絵かきの好きな幼稚園児の娘。有名な絵画教室に通わせているが、ひょんなことから同じ教室に通うやんちゃな男の子の家に行くことになってしまう。すぐに帰るつもりが少し長引いてしまったが、その間に娘の描いた絵がなくなるというトラブルに見舞われてしまう。しかし、思いがけない結末が待っていた。(「答えない子ども」)

    収録作品は「届かない招待状」「帰らない理由」「答えない子ども」「願わない少女」「正しくない言葉」の5作品。どの短編もおもがけない結末を迎えるものの、読み終わった時に心の中がふわっと暖かくなるものばかりだった。オススメの一冊だ。

  • ・仲良しグループで自分だけ結婚式に呼ばれなかった女性
    ・事故で死んだ女の子の親友と彼氏
    ・完璧な子育てを目指す母とその子供、そのママ友
    ・漫画家を目指す女の子とその子に依存する女の子
    ・老人ホームの隣人のごたごたに首を突っ込むお婆さん

    こんなかんじの人たちのお話。それぞれちょっとしたミステリになってて、途中である程度オチがわかってしまう話もあったけど、それでもとても面白かった。
    中でも「願わない少女」のオチは素晴らしくて、やっぱりこういう終わり方ねと思ったら突然出てくる知らない名前。読書離れしていたせいかもしれないけど、背中がぶわっとなってすごく気持ちがよかった。
    中学、高校、結婚、子育て、老後と女性の一生を追っているような気分になる小説。世界滅亡とともに大切な人と死にたい人生だった。話と話にゆるい繋がりがあるのも面白かった。それに気づかせてくれた大矢博子さんの解説も含めて、この本を手に取って良かったと思った。

  • 会社の方から頂いた一冊。

    短編は苦手で凄く時間がかかってしまったが、内容を振り返ってみると、どれもなかなか面白い。

    展開が私が読んだことがある作家さんとはやや違う部分もあって、なかなか面白かった。
    長編だったら、⭐️✖️4以上全てのお話につけていたかもしれない。

    なかなかストーリーが良かった(*^^*)

  • 人との関係の中で感じる違和感、嫉妬、悪意といった負の感情。どうしてそんなことするの?言うの?ということ。気遣いや優しさを間違って解釈してしまうこと。そこにある本当の意味を見過ごしてしまうこと。そういった負の感情からの反転が鮮やかに気持ちよく決まる。その人の真意が見えた時、後悔とともに救いもある。「今だけの」関係が、その瞬間が綺麗に切り取られている。

  • 芦沢央さん初読。短編集で読みやすかったし面白かった。ヒーリングミステリというジャンルとして自分の中で分類したい。

    ミステリ的な連作の形を取りながら、実は勘違いや言葉のかけ違いで容易に崩れていきそうになる繋がりを言葉を尽くして取り戻す物語だったのかな。全てが「友情って素晴らしい」とかではなく、中にはそのまま消えていく友情もあるんだけど、それによって自分の考え方や世界が広がって、その友情が自分を積み上げていくことに繋がる、みたいな連作なのかな?読む前より読んだ後の方がちょっといい気分になる、という点で、とてもいい本だったと思う。ごちそうさまでした!

    解説
    大矢博子さんの解説には絶大な信頼を寄せている。解説を読んでようやく題名の「今だけの」って言葉の意味を理解できた。なるほど、そういう意味なのか…。

  • アンソロジー本で著者の作品が面白かったのではじめて著者の短編集を読んでみた。女性同士の感情のもつれについて書かれた本。でもラストはわだかまりが溶けホッとできる作品がほとんど。でもインパクトに欠けるかな。印象に残った作品はなかったな。著者はまだ30代前半なんですね。若い人向け作品かもしれない。

  • 女の友情をテーマにした短編集なのだけど、読み終わってからあとがきを読むまでそのことを忘れるくらい、それぞれのストーリーに幅があり、全編ともドロドロ展開のように思える冒頭なのだけど、最後はどこか救いのある終わり方で、読んでて気持ちいい。

  • 今だけと言わず女同士が永遠に良好な関係を保つには秘密を抱えていちゃあ駄目で正直に打ち明ける事が大事だとつくづく感じさせてくれた芦沢央さんの意外な仕掛けがたっぷりの「ない」尽くしの短編集著作3冊目。『届かない招待状』疎遠だった人と和解出来たら良いね。『帰らない理由』噂に惑わされずに信じられるのが真の親友。『答えない子ども』溺愛も期待し過ぎも駄目。神経質でなく大らかになれ。『願わない少女』マンガ大好き少女二人のまさかの意外な未来。『正しくない言葉』老母と娘・嫁姑が諍い遠慮なしに互いを尊重して平和であれと願う。

  • 女の友情の短編集ということで構えて読み始めましたが、裏切られました。よかった。「届かない招待状」のインパクトが大きかったけど、「願わない少女」のラストも胸打たれた。解説でタイトルの意味に気づきました。

    「届かない招待状」
    「帰らない理由」
    「答えない子ども」
    「願わない少女」
    「正しくない言葉」

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ よう)
1984年生まれの作家。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。『罪の余白』は2015年に映画化された。その他代表作に、2016年版「週刊文春ミステリーベスト10」第7位、「このミステリーがすごい!」2017年版第5位、第38回吉川英治文学新人賞候補『許されようとは思いません』、そして第32回山本周五郎賞候補および本屋大賞ノミネート作となった『火のないところに煙は』など。2019年8月28日、『カインは言わなかった』を刊行。

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