今だけのあの子 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 1216
感想 : 110
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488474119

作品紹介・あらすじ

結婚おめでとう。大学時代、新婦とは一番の親友だった。けれど恵には招待状が届いていない。たった六人しかいない同じグループの女子の中で,どうして私だけ。呼ばれてもいない結婚式に向かう恵の運命、そして新婦の真意とは(「届かない招待状」)。進学、就職、結婚、出産、女性はライフステージが変わることで付き合う相手も変わる。「あの子はいつまで友達なんだろう」。心の裡にふと芽生える嫉妬や違和感が積み重なり、友情は不信感へと形を変えた。物語が鮮やかに反転し友情に潜む秘密が明かされたとき、人間の素顔が浮かび上がる。傑作ミステリ短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 芦沢作品なのでイヤミスだろうと決めてかかって読んでいましたが、イヤミスではなかった。イヤミスとみせかけて結末は温かい気持ちになれるようなもので、後味は悪くないと思います。
    その分インパクトは弱いかなという印象ですが、どの話も好きです。描かれているのは女同士の友情的なものです。『今だけのあの子』というタイトルにあるように友情というものは永遠に続かなかったら偽物かと言うと決してそんなことはなくて、人生の場面場面で出会える何らかの関係って大切なものだなと思う。

  • 今回もひりつくような心理描写の数々にうならされました。同じグループ内なのに一人だけ、結婚式の招待状が届かなかった女性。自分の子に対し過保護になるあまり、ママ友や子どもの友人を値踏みする女性。親友が別のグループと仲良くなっていく女の子等々。

    どこかにありそうな人間関係の微妙なひだが、芦沢央さんの卓越した心理描写で、陰湿ながらも緊張感のはらんだ、読みたくないけど引き込まれる物語に様変わりしていく。芦沢作品を読むたびに、その繊細で仄暗い心理描写に引き付けられてしまいます。

    収録作品は5編。一番印象的だったのは「答えない子ども」
    語り手である直香の心理描写が繊細かつ毒気が強くて、人間の暗部に嫌気がさしながらも、ついつい引き込まれる。ママ友や子どもの友人を値踏みし、深い仲にはならないよう一線を引きつつも、一方でそのママ友の影響力を冷静に考慮し、決定的な対立を避けるため計算高く立ち振る舞う。

    子どものいない男の自分ですらも、直香の心理を理解させ、「ああ、やだやだ」と思いつつもどこか共感させてしまう、圧巻の心理描写でした。そしてストーリーも良かった。直香の子どもの描いた絵をめぐる謎が解けたとき、物語のゆがみは見事に修正され、暖かい気持ちの残る見事な一編。

    もう一つ好きな短編は「正しくない言葉」
    老人ホームで暮らす澄江は、隣室の孝子の息子の嫁である麻美子が、義母への不満を夫にぶつけている場面を目撃し……
    嫁姑間のリアルは不信の描き方、そして孝子がなぜ麻美子の持参したお土産を食べなかったのか、という謎に対しての人間の心理を描いた見事な解決。
    それだけでなく、すでに亡くなった夫や、他の家族に対し複雑な思いを抱いていた澄江がこの事件を通し、その心理がするすると解けていく描写も素晴らしかった。

    ミステリの謎が解き明かされるとともに、登場人物たちの今まで気づけなかったことが現れてくる。単なる謎解きやひりつく心理サスペンスではなく、登場人物の自分自身でも気づいていなかったゆがみが、謎が解けるとともに物語に現れる。その構成といい描写といい、本当によくできた短編集でした。

  • 会社の方から頂いた一冊。

    短編は苦手で凄く時間がかかってしまったが、内容を振り返ってみると、どれもなかなか面白い。

    展開が私が読んだことがある作家さんとはやや違う部分もあって、なかなか面白かった。
    長編だったら、⭐️✖️4以上全てのお話につけていたかもしれない。

    なかなかストーリーが良かった(*^^*)

  • 全話の最後には、どんでん返しによって快感とカタルシスを強化した。OL、中高校生、ママ友、老人ホーム居住者という、バラエティー富んだ年代における「女性の友情」とそこに隠された想いが込められていた。一番興味を持ったのが「届かない招待状」。サークルの同期が結婚するたびに行われるメッセージアルバム作り、しかし自分だけ結婚式招待状が届かない。新婦は自分の過去の父親の事故の延長線上で「呼べなかった」のだ。お互いの想いが諒解した時、友情・同情を遥かに超える信頼関係が構築された。心から「おめでとう」と言えたに違いない。

  • 今ハマっている作家、芦沢央さんの短編集。

    『届かない招待状』
    どうして私ひとりだけ結婚式に呼んでくれないの?

    その真相を知った時、友情の深さに感動した。
    おめでとうって伝えられて良かった。

    『帰らない理由』
    恋人の僕と親友の彼女は主亡き部屋で対峙する。

    自分がミステリ脳になってしまっているんだなと実感した作品。親友である彼女は、ただの…って事実に笑いました。僕は心が貧しい少年だったね。

    『答えない子ども』
    幼い娘が一生懸命描いた絵をきっとあの子が盗ったのだ。

    ソウくんママが凄く良かった。私もこんな人と友達になりたい。素直で、自分が悪者になったとしても自分の気の遣い方を貫いていて。最後の知ってる、って一言も凄くほっこりした。

    『願わない少女』
    漫画家になる、同じ夢で繋がった親友についた私の嘘。

    首藤奈央が悠子と仲良くなる為に、漫画家なりたいと嘘をつく。毎日充実していた二人だけど、悠子の気持ちがどんどん変化していって…。なんだかどちらの女の子も好きになれなかった。

    『正しくない言葉』
    老人ホームでの隣人にはお嫁さんとトラブルがあるようで。

    今が一番幸せだって、だから自分の人生を楽しんでってそう言える人って素敵だな。澄江さんと孝子さんみたいな関係になれる友達が私も欲しい。

  • 新婦とは一番の親友だと思っていたのに。大学のグループの女子で、どうして私だけ結婚式に招かれないの…(「届かない招待状」)。環境が変わると友人関係も変化する。「あの子は私の友達?」心の裡にふと芽生えた嫉妬や違和感が積み重なり、友情は不信感へと変わった。「女の友情」に潜む秘密が明かされたとき、驚くべき真相と人間の素顔が浮かぶ、傑作ミステリ短篇集全五篇。

  • 短編集あるあるの、それぞれの短編が微妙にリンクしている感。良き。
    ストーリーとしても女の友情や、思春期の独特なやり取りを描いていて面白かった。

  • 女の友情というドロドロな印象とは反し、さっぱりした短編集。サクサク読めて、心が軽くなる。

  • "今だけの"女の友情を切り取った短編5編。どの話もリンクしていて、繋がりに気づいた時はっとさせられる。
    大矢博子さんの解説もこの本をより深くさせてくれて良かった。
    一見価値のないものに思える今だけの友情だが、そうではない。今だけの友情の積み重ねがその人を作るのだという言葉に私も救われたような気がする。

  • 女がテーマの短編集。もちろん男も出てくるけれど、同じ女同士としては共感したり、ぐさっときたり。

    この女にしか分からない感じ、あるよね〜と思いながらするする読めました。

    答えない子供が1番好きだったかな。

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ・よう)
1984年東京都生まれ。2012年『罪の余白』で野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。主な著書に『許されようとは思いません』『火のないところに煙は』『僕の神さま』など。最新刊は『汚れた手をそこで拭かない』が第164回直木三十五賞候補作となる。

「2021年 『非日常の謎 ミステリアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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