今だけのあの子 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 755
レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488474119

作品紹介・あらすじ

結婚おめでとう。大学時代、新婦とは一番の親友だった。けれど恵には招待状が届いていない。たった六人しかいない同じグループの女子の中で,どうして私だけ。呼ばれてもいない結婚式に向かう恵の運命、そして新婦の真意とは(「届かない招待状」)。進学、就職、結婚、出産、女性はライフステージが変わることで付き合う相手も変わる。「あの子はいつまで友達なんだろう」。心の裡にふと芽生える嫉妬や違和感が積み重なり、友情は不信感へと形を変えた。物語が鮮やかに反転し友情に潜む秘密が明かされたとき、人間の素顔が浮かび上がる。傑作ミステリ短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 全話の最後には、どんでん返しによって快感とカタルシスを強化した。OL、中高校生、ママ友、老人ホーム居住者という、バラエティー富んだ年代における「女性の友情」とそこに隠された想いが込められていた。一番興味を持ったのが「届かない招待状」。サークルの同期が結婚するたびに行われるメッセージアルバム作り、しかし自分だけ結婚式招待状が届かない。新婦は自分の過去の父親の事故の延長線上で「呼べなかった」のだ。お互いの想いが諒解した時、友情・同情を遥かに超える信頼関係が構築された。心から「おめでとう」と言えたに違いない。

  • 新婦とは一番の親友だと思っていたのに。大学のグループの女子で、どうして私だけ結婚式に招かれないの…(「届かない招待状」)。環境が変わると友人関係も変化する。「あの子は私の友達?」心の裡にふと芽生えた嫉妬や違和感が積み重なり、友情は不信感へと変わった。「女の友情」に潜む秘密が明かされたとき、驚くべき真相と人間の素顔が浮かぶ、傑作ミステリ短篇集全五篇。

  • 短編集あるあるの、それぞれの短編が微妙にリンクしている感。良き。
    ストーリーとしても女の友情や、思春期の独特なやり取りを描いていて面白かった。

  • 今ハマっている作家、芦沢央さんの短編集。

    『届かない招待状』
    どうして私ひとりだけ結婚式に呼んでくれないの?

    その真相を知った時、友情の深さに感動した。
    おめでとうって伝えられて良かった。

    『帰らない理由』
    恋人の僕と親友の彼女は主亡き部屋で対峙する。

    自分がミステリ脳になってしまっているんだなと実感した作品。親友である彼女は、ただの…って事実に笑いました。僕は心が貧しい少年だったね。

    『答えない子ども』
    幼い娘が一生懸命描いた絵をきっとあの子が盗ったのだ。

    ソウくんママが凄く良かった。私もこんな人と友達になりたい。素直で、自分が悪者になったとしても自分の気の遣い方を貫いていて。最後の知ってる、って一言も凄くほっこりした。

    『願わない少女』
    漫画家になる、同じ夢で繋がった親友についた私の嘘。

    首藤奈央が悠子と仲良くなる為に、漫画家なりたいと嘘をつく。毎日充実していた二人だけど、悠子の気持ちがどんどん変化していって…。なんだかどちらの女の子も好きになれなかった。

    『正しくない言葉』
    老人ホームでの隣人にはお嫁さんとトラブルがあるようで。

    今が一番幸せだって、だから自分の人生を楽しんでってそう言える人って素敵だな。澄江さんと孝子さんみたいな関係になれる友達が私も欲しい。

  • 会社の方から頂いた一冊。

    短編は苦手で凄く時間がかかってしまったが、内容を振り返ってみると、どれもなかなか面白い。

    展開が私が読んだことがある作家さんとはやや違う部分もあって、なかなか面白かった。
    長編だったら、⭐️✖️4以上全てのお話につけていたかもしれない。

    なかなかストーリーが良かった(*^^*)

  • 話が少しずつ繋がった短編集。発端は女の子が亡くなった交通事故。
    「願わない少女」は最後の最後で「あーっ」となった。

    ・届かない招待状
    親友の彩音が結婚することになったのに、結婚式に招待されなかった主人公の恵。友人たちの中で招待されなかったのは主人公だけ。
    恵には父親がおらず、自身の結婚式の時はバージンロードを歩けなかった。一方、彩音の父親は母親の再婚相手。
    かつて彩音に「身内がなにか事件を起こしていたらどうする」と聞かれた恵は、彩音が義父のことを話しているのだと思い「血が繋がってなければ気にしないけど血のつながりがあったら子供には話せない」と言うような返答をしていた。
    招待状のことでもやもや敷いてる恵は、自分の夫が彩音とこそこそ連絡を取り合っているのを知ってしまう。
    彩音が不倫していると思った恵は、招待状なしで結婚式に乗り込むが、彩音と共にバージンロードを歩いていたのは、写真でしか知らない自分の父だった。
    この話でははっきり語られないけど、恵の父はかつて事故で女の子をひき殺しており、母親と離婚していた。のちに彩音の義父となったが、彩音は先のやり取りから恵には真実をつたえないほうがいいと思い、招待状を出さなかった。

    ・帰らない理由
    中学生のくるみが亡くなり、彼女の部屋に同級生の「僕」と、部活で切磋琢磨していた桐子が訪れる。桐子はくるみが亡くなる前にひと悶着あり、クルミを恨んでいるようなフシがあった。
    一方の「僕」はくるみと付き合ってた。
    くるみの母親からくるみの日記を見せられ、「僕」と桐子はそれを隠そうとする。果たして二人の目的は…?
    桐子がくるみの日記にし融着しているのは、部活で揉めたことが書いてあるから……とおもわれたが、実際は別の理由。
    そもそも桐子はくるみの部屋に隠されていたBL本をこっそり回収しにきていた。二人は親友同士で同じ趣味を持っており、どちらかが死んだら身内にバレないよう回収してくれと約束していた。
    一方、「僕」にも秘密がある。くるみと付き合っていたというのはキャラ付けのための嘘。くるみの日記を観られたらウソがばれるので執着していた。

    ・答えない子ども
    不妊治療で授かった娘・エリナを大事に育てている主人公の直香。娘が描いた絵などは大事に取ってあったが、ある日絵画教室の問題児・ソウの家を訪れた際、エリナの描いた絵がビリビリに破れた状態で見つかる。
    直香の子育ては一生懸命だけど、息が詰まる。娘のエリナは母親のプレッシャーに耐えられず、ちゃんと描けなかった絵を自ら破いていた。問題児と言われているソウはエリナの気持ちを察して、自分がやったことにしていた。
    一連の事件のあと、直香はソウの母親と友人になる。
    ちなみに、直香の夫は妻想いのいい人だが、これが前の話に出てきた「僕」にあたる。

    ・願わない少女
    冒頭で、天才漫画家。園田ユウがデビューした記事が提示される。この漫画家は先の「帰らない理由」に出てきて奇才ぶりを発揮している。
    場面変わって、受験に失敗した奈央は、渋々通うことになった学校で悠子という少女と仲良くなる。悠子は漫画家を目指しており、すでに小さな賞を受賞するほどの腕前。
    奈央は彼女と話を合わせるため、咄嗟に「自分も漫画を描いている」と嘘を言ってしまい、漫研に入部することになる。
    周りから怪しまれないように必死に絵の練習をする奈央だが、彼女のの描くものは既存の漫画の模写と切り貼り。漫画家を目指すというより、才能のある悠子と一緒に過ごすことに楽しみを見出していた。
    ところが次第に悠子はマンガから離れ、クラスのリア充と付き合うようになり、やがて完全に漫画の道を諦めて普通の大学に進学すると言う。
    それが許せなかった奈央は、悠子を部屋に閉じ込めるが、思い直して開放する。
    そして自身の体験を漫画にしたいと心の底から思うようになる。
    冒頭の記載漫画家の正体は奈央(ペンネームの園田ユウは本名のアナグラム)。
    奇才の漫画家になると思われた悠子だが、彼女の名前は「ゆうこ」ではなく「はるこ」だというのが最後の最後で明らかになる。
    解説にあった通り「小説において本来あるべきものがない」。本来なら「悠子」には「はるこ」と「ルビ」が振られているはずだか、あえてそれをなくし、園田ユウ=悠子とミスリードさせるトリック。
    見事に引っかかりました。

    ・正しくない言葉
    くるみを亡くした母の母、つまり祖母が出てくる。
    主人公の澄江は夫を亡くし、老人ホームで暮らしている。その中で起きたトラブルを解決するうち、彼女は今まで自分が主体性に欠けていたことに気付く。
    夫の言うままに生きてきた澄江。娘はくるみを亡くして新興宗教にハマりかけたが、優しく育ててきた自分ではなく夫の助言を聞いて足を洗っていた。
    澄江は残される者たちに「老いるのは怖いことじゃない」と伝えようと心に決め、自分で考えて物事に取り組むようになる。

    私も「老いは怖くない」「何歳になろうが新しいチャレンジができる」と下の世代に伝えようと思います。

  • "今だけの"女の友情を切り取った短編5編。どの話もリンクしていて、繋がりに気づいた時はっとさせられる。
    大矢博子さんの解説もこの本をより深くさせてくれて良かった。
    一見価値のないものに思える今だけの友情だが、そうではない。今だけの友情の積み重ねがその人を作るのだという言葉に私も救われたような気がする。

  • 女がテーマの短編集。もちろん男も出てくるけれど、同じ女同士としては共感したり、ぐさっときたり。

    この女にしか分からない感じ、あるよね〜と思いながらするする読めました。

    答えない子供が1番好きだったかな。

  • 「届かない招待状」「答えない子ども」
    がよかった。

    全く想像のつかない結末だけど
    気分が悪くならないとこがいい。

  • すらすら読みやすい短編集
    別々のストーリーにおなじ人が別の形で登場するのがおもしろい
    主人公の母親が次の話では主人公の娘みたいな感じで

    特に最後の話すきだった
    一緒に漫画家を目指してた子が途中で漫画への情熱が覚めちゃって動揺する女の子の話
    人の気持ちは変わるってことがわかってないと裏切りって捉えてトラブルになるね

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ よう)
1984年生まれの作家。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。『罪の余白』は2015年に映画化された。その他代表作に、2016年版「週刊文春ミステリーベスト10」第7位、「このミステリーがすごい!」2017年版第5位、第38回吉川英治文学新人賞候補『許されようとは思いません』、そして第32回山本周五郎賞候補および本屋大賞ノミネート作となった『火のないところに煙は』など。2019年8月28日、『カインは言わなかった』を刊行。

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