サイン会はいかが? 成風堂書店事件メモ (創元推理文庫) (創元推理文庫 M お 5-3 成風堂書店事件メモ)

著者 :
  • 東京創元社
3.67
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488487034

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。
    書店員は力仕事が多い。
    書店のアルバイトは驚くほど時給が安い。
    そして書店員は意外に忙しい。
    本が好きでなければなかなか続かない仕事かもしれない。
    殺人事件が起きるわけでもなく、書店にまつわるちょっとした謎を解く物語。
    短編集なので、気軽に少しの時間でも読みきれる。
    杏子や多絵が本好きなのも、書店に来てくれるお客さんを大切に思っていることも、何だかうれしくなってくる物語だ。
    読みながら「あるよなー」と思うことも多かった。
    帯が破れている本は進んで買おうとは思わない。
    作家名を読み間違えてとんでもない場所に陳列されているとガッカリする。
    ドラマ放映中なのに原作本の在庫が切れていて「いま売らないでいつ売るの!」と思う。
    このシリーズ、たまたま手に取って読んでみたら面白い。
    第3弾から読んでしまったけれど、きちんと順番通りに読めばよかったと少し後悔している。
    5編の短編が収録されているけれど、「君と語る永遠」が一番心に残った。
    余命いくばくもない父親が我が子に伝えたかった思い。
    切なくてあたたかくて、それでて優しい物語だった。

  • '17.4.9読了

  • 【積読から】成風堂書店事件メモの2作目。(シリーズ第3弾になるのだが、第2弾の出張編を読んでいないので。) 本屋の謎解きは面白い!だけど、“バイト金森くんの告白” は、本屋の仕事の忙しさに読んでいて疲れた(笑)

  • 物騒なことにはならない。とりあえず、本屋が好きなんだ。まぁ勿論電子書籍じゃなく紙の本が好きなんだな、それぞれ。
    最近は大型書店に行く気力もないのがダメだなーとぼんやり思いつつ読了。
    表題作を読みつつ、波瀬の痛みが解りすぎてなんだか少し凹んでしまったわ。誰かに解ってほしいなんて望みはとうに捨てきっているつもりだったから。まったく欲しがりな生き物だよな、わたしたちは。でもまぁのらりくらりと理解されぬまま生き抜きたいわ。

  •  5つの短編が収録されているけれど、それなりにおもしろいのと、わけ分かんなくてつまらなかったのと、いろいろ。

     前作でも思ったけれど、この方の作品は、読んでると、誰のセリフなのか、誰の取った行動なのかが分かりづらくて、セリフや行動が迷子になる。
     1話目の出だしも、杏子さんが驚いている表現の後に、黒酢特集の雑誌の話が挟まって、それが関係しているのかと思いきや、特に関係もなく。この話のテーマである「取り次ぎ」を印象付けたかったんだろうけど、読み手には優しくない書き方だなぁ、と。

     あと、小学生て「児童」て言うんじゃないの? 「生徒」て表記してたけど。

     それと相変わらずあらすじで、杏子さんをしっかり者と言っているんだけれど、だから何でなんだって! 全然しっかりしてないよ。
     話の中で、「しっかりしてください」てはっきり言われてるし。

     というか、多絵ちゃんが探偵役で、正直杏子さんは何もしていないのに、なぜ彼女が主役で書かれてるのかがよく分かんない…。
     探偵の助手てことで店長から指名されるのも内藤さんて人だし。
     彼女の存在、必要?

     あと今回、店長の出番が多くて、何かデリカシーのない嫌な感じの人だったから、結構イライラした。
     この人の下で働きたくないなぁ、て思う。
     てか、この本屋にそんなに行ってみたいと思わない。

  • シリーズ3作目。

  • あぁ、この二人はホッコリ系の方が似合ってる。
    しっくりくる。
    こんな本屋さんで買い物してみたい(*´艸`)


    ☆取り寄せトラップ
    ☆君と語る永遠
    ☆バイト金森くんの告白
    ☆サイン会はいかが?
    ☆ヤギさんの忘れもの

  • 《終わらない職務に憧れのイベント。次々訪れる変わったお客と謎たちー。とかくに、本屋は忙しい》

    成風堂書店事件メモシリーズ第3弾。
    表題作「サイン会はいかが?」は、暗号解読がメインかと思いきや、サイン会が始まってからのハラハラドキドキが主役。
    「取り寄せトラップ」で怖さと不気味さを匂わせ、「君と語る永遠」の、永遠なのに儚いという矛盾の美しさを感じとる。
    「バイト金森くんの告白」の、本屋で起こる、誰もが(?)夢見る出会い。
    「ヤギさんの忘れもの」のような蔵元さんのようなかた、いたなぁ。

    『本の数だけトラブルの芽が潜んでいる。そして、ありがとうの笑顔も待っている。』(本文より)
    まさに本屋は、これ。

    多絵ちゃん、どんどん変人化が進んでない?笑

  • 読み始め…12.7.8
    読み終わり…12.7.21

    「配達あかずきん」に次ぐ第二弾の「晩夏に捧ぐ」から更に次ぐ 第三弾です。

    駅ビルの書店で働く書店員と、アルバイトの女子大生のコンビが書店に持ち込まれる様々な謎に立ち向かうミステリストーリー。第二弾では職場を離れ、夏のバカンスに訪れた旅の地で事件を解決していくという番外長編でしたが 第三弾では再びいつもの日常に戻って職場内での謎に取り組む連作短編集。

    表題にもなっている「サイン会はいかが?」では途中、もしかして...??と犯人というか先がなんとなく推理できてしまって、結局だいたい思ったとおりの結末で終わってくれました。だけど後味の悪さはまったくありません。むしろ ふふっと微笑ましくて 嬉しくて♪

    書店員サイドから見た書店の世界観。楽しめます。

  • シリーズ3作目。2作目の長編「晩夏に捧ぐ」は未読。日常の謎系ミステリで,登場キャラが立っているので,さらっと読める。表題作の「サイン会はいかが?」は,謎と真相のバランスがよく,シリーズ全体の白眉。そのほかの作品は,謎が魅力的な作品は真相がイマイチな話,謎そのものがあまり魅力的でない話などがある。「サイン会はいかが?」が面白かったので,評価は★4としたい。

    各作品の所感は以下のとおり

    ○ 取り寄せトラップ
     同じ本を取り寄せた4人のお客にお断りの電話をすると,4人がいずれも「そんな取り寄せの注文はしていない」と答えられる事件が起こった。同じ事件が続く。取り寄せを頼まれた本は1冊目は「現代日本美術全集 2」,2冊目は「転落の歴史に名にを見るか」という本。いったい何が起こっているのか?事情を知るという女性が成風堂を訪れるが…。
     →岡本詩織という女性の祖父が,事故死をしており,掛け軸の行方が分からなくなっているという。事故死をした際に一緒にいた4人が,今回,注文の電話に巻き込まれたお客と同じ4人だった。真相は,事故の瞬間を目撃していた人が,ほかの3人に揺さぶりを掛けるために電話をした。そのことに気付いた多絵は,3冊目として「もう一つの覚え書」という本で,同じことを行い,揺さぶりを掛ける。もともと,電話を掛けていた人は,有価証券を預かっており,存在しない「もう一つの覚え書」を探すために,岡本詩織の家に忍び込んでいるところを逮捕される。
     いい話系ではなく,ミステリっぽい作品に仕上がっている。謎は魅力的だが真相がイマイチ。凡作か。

    ○ 君と語る永遠
     社会見学で本屋に訪れた小学生の一人,チバヒロキが,広辞苑を取ろうとして落とし,杏子の頭に直撃するという事件が発生した。チバヒロキは,その後もたびたび成風堂を訪れる。そして,チバヒロキは書置きを残して家を出てしまう。チバヒロキは,最近発生している小学生の連れ去り事件の犯人なのか?
    →チバヒロキは,死別した父が,生前,昔バイトしていた本屋さんの話を聞いていた。チバヒロキは,成風堂でいろいろ質問をして,本屋についての知識を増やし,昔父がバイトしていた本屋を見つけ,訪れていた。いい話系の話だがとりとめがない。ミステリとしては凡作。狙いすぎかな。

    ○ バイト金森君の告白
     成風堂の飲み会で,バイトの金森君が,1年前に成風堂で出会った女の子についての思い出を語る。偶然出会い,何度か出会っていたが,最後は,雑誌の付録を渡される。その雑誌の特集を調べると「ストーカーの心理」。これはいやがらせなのか?
    →「ストーカーの心理」は,その雑誌の特集だったが,付録がついていた号の特集ではなかった。その女の子は,金森君が,写真家のファンだと思って付録をプレゼントしていた可能性が高い。その女の子は今でも成風堂に来ているようであり,金森君は,その女の子の姿を見て,隠れていた。バイトの福沢さんいわく,「金森は怪しい男ではなく,鈍い男なんだ」とのこと。コミカル系のちょっといい話。ミステリ的な要素は皆無だが,キャラが立っているのでそこそこ楽しめる。

    ○ サイン会はいかが?
     新鋭ミステリ作家影平紀真のサイン会を成風堂で実施することになった。サイン会をする条件として,影平を苦しめている「レッドリーフ」という名のファンを見つけ出すというもの。影平は,既に興信所で調査をしており,その調査結果などから多絵は犯人の目星をつける。サイン会に訪れるはずの「レッドリーフ」を見つけ出すことができるのか。
    →「レッドリーフ」の正体は,影平の親友であるハゼだった。ハゼは,昔,影平の推理で,マネキン損壊事件の犯人にされたことを根にもっていたのだ。最後は,影平とハゼが仲直りする道を残す形で終わる。謎,真相のバランスがよく,ミステリとして秀逸。シリーズ全体でも白眉。

    ○ ヤギさんの忘れもの
     常連客,蔵本さんが持ってきた思い出の写真が入った袋が成風堂でなくなってしまう。どこに行ってしまったのか?
    →子供が,白い封筒を「あるべき場所」に戻そうと思い,絵本の中に挟み込んでしまったというもの。たわいもない話

     

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著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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