平台がおまちかね (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.74
  • (63)
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本棚登録 : 1071
レビュー : 128
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488487041

作品紹介・あらすじ

作り手と売り場を結ぶ糸をたくさん鞄に詰め込んで、出版社の新人営業、井辻智紀は今日も本のひしめくフロアへと向かう。-でも、自社本をたくさん売ってくれた書店を訪ねたら何故か冷たくあしらわれ、文学賞の贈呈式では受賞者が会場に現れない!?他社の先輩営業マンたちにいじられつつも、波瀾万丈の日々を奮闘する井辻君の、こころがほっとあたたまるミステリ短編集第一弾。

感想・レビュー・書評

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  • 大崎梢さんの本は初めて読みました。
    タイトルの「平台がおまちかね」を見たとき、「平台」って何?
    もしかして登場人物の名字?なんて思っておりました(^_^;)

    書店でベストセラーや〇〇フェアなんかで本が平積みにされているあの台のことを平台というそうな!
    いや~、初めて知りました。

    明林書房の新人営業マン、井辻智紀。
    かろうじて中くらいと言える出版社である明倫書房の本の営業に励む智紀。
    取引先の書店や新人賞賞贈呈式で繰り広げられるほんわかミステリー。

    読書が大好きな私ですが、その本がどうやって書店に並ぶのかは考えたこともありませんでした。
    この本はそんな舞台裏を垣間見ることができて、楽しませてくれます。

    子どもの頃、近所には小さな書店があったっけ。
    高校生になったころから、本を買うのは紀伊国屋や旭屋といった大型書店になり・・・
    気が付けば、近所の小さな書店は姿を消していて・・・
    最近は海外在住のため、もっぱらインターネットで本を購入することが多いけれど、この本を読んだら、本は本屋さんで買いたい!という気持ちがさらに強くなってきました。
    これからは書店に並ぶ本を手に取るとき、書店員さんの棚づくりのこだわりにちょっと思いをはせるのも愉しいかも・・・

    • hongoh-遊民さん
      最近「書店ガール」「・・・2」とか、お仕事小説にはまっています。この作品も面白そう、さっそく読んでみようと思います。
      最近「書店ガール」「・・・2」とか、お仕事小説にはまっています。この作品も面白そう、さっそく読んでみようと思います。
      2013/12/29
    • hongoh-遊民さん
      やっと、読みました。本好き、本屋好きには、たまらない小説ですね。シリーズものらしいので、続けて次も。
      やっと、読みました。本好き、本屋好きには、たまらない小説ですね。シリーズものらしいので、続けて次も。
      2014/02/09
    • azu-azumyさん
      hongho-遊民さん
      いつも「花丸」をありがとうございます!
      書店を舞台にした小説、面白いですね!
      私も続きが読みたいです。
      「書...
      hongho-遊民さん
      いつも「花丸」をありがとうございます!
      書店を舞台にした小説、面白いですね!
      私も続きが読みたいです。
      「書店ガール」もぜひ、読んでみたいと思っています。
      2014/02/09
  • 本と本屋の好きな読者には、たまらない本。
    出版社の営業がこれほど本屋さんを回っているのかと、この小説で初めて知った。浅はかにも、本の流れは、取次店と本屋さんだけかと思っていた。
    今まで、本屋の本棚を何気なく見ていたが、その裏には営業の熾烈な戦いがあるんだ。勉強になりました。
    そして、町の本屋さんをもっと、応援しないと。

  • この作者の他のシリーズでも本屋の窮状はそれはもう大変なのだと伝わる。が、さすが首都圏の本屋さんは華やかな場面に呼ばれたりするのだなぁと思ってみたり。
    読んでいる間ずっと故郷の小さな本屋の事が思い浮かんでいた。あそこには出版社の営業さんは一体どの位の割合でやってきていたのだろうか?ポップもなく独自のフェアもなく淡々と本が並べてあるだけの本屋。
    そんな本屋が潰れて行くのは人が本を読まなくなっただけなのだろうか?それ以上の理由がある気がしてならない、とこの作者の作品から思ってしまう。

    「絵本の神さま」にうるっと来た。

    あの作品のあのキャラの影がちらり。

  • 以前に図書館で借りて読みましたが、文庫が出ていたので
    買いました。

    やっぱり本好きには、このような本屋さんの話とか
    図書館の話とかが響きますねぇ。

    出版社の営業の人にとっては、本屋さんの平台、というのは
    獲得したい場所なんでしょうね。
    確かに、私も本屋さんに行ったら、まず平積みにされている
    本の表紙をザッと見ていって、気になる表紙やタイトルが
    あったら、手にとるもんなぁ。
    背表紙だけ見えている棚を見るのって、「この人のこの本を買う」
    ってあらかじめ決まっているときだけかも。

    この方の「配達あかずきん」を読んでみたいと思いつつ、
    まだ未読なので、今度はそっちに挑戦!

  • 出版社の新人営業部員が主人公です。
    出版社というと、編集さんがメインだけど、
    本を売るためには営業も大切な仕事。
    さらっと読みました。

  • 出版社の新人営業,井辻智紀が主人公のちょっといい話系のミステリ。ミステリとしての謎,伏線,叙述トリックを駆使した驚きなどは皆無だが,ちょっと心に残るいい話が満載の短編集である。本屋や出版社の裏側が描かれているのもマル。キャラクターも魅力的。あまり好みの作風ではないが,これは結構楽しめた。★4で。

    個々の作品の所感は以下のとおり

    ○ 平台がおまちかね
    「白鳥の岸辺」という5年前に出版された,ややマイナーな本を,見事にディスプレイをし,販売しているワタヌキ書店にまつわる話。その書店は,一時,明林書房の本を引き上げ,取引を辞めていた。主人公井辻智紀がその書店を訪れるが,ディスプレイをしたという店長からは,つれない態度で対応される。ワタヌキ書店と明林書房の間に何があったのか?
    →真相は,井辻の前々任者である吉野が,「ぜったいに大丈夫」と言っていた本の手配をすることができなかったことから,店長が明林書房との取引を辞めたというもの。吉野も反省し,店長も吉野を許そうとしており,吉野は営業から編集に部署を変え,「白鳥の岸辺」の続編である「森に降る雨」の担当になっていた。ミステリ的な謎,真相はなく,ちょっといい話系の話。

    ○ マドンナの憂鬱な棚
    出版社の営業担当者達のマドンナであるハセジマ書店の望月さんが,訪れた謎の男から「…前の方がよかった。がっかり。つまらなくなった」と棚をけなされ落ち込む話。その男は,お世辞にもきれいなディスプレイとは思えない別の書店で「この店の棚は最高。ほれぼれする」と言っていた。いったいなぜ?
    →真相は,謎の男は店舗デザイナー。大型書店のディスプレイの相談を受けていた。謎の男は,棚のディスプレイではなく,棚の材質を褒めていたのだった。これも,ミステリ的な謎はないが,読後感のよい,ちょっといい話系の話。

    ○ 贈呈式で会いましょう
    明林書房の主催する宝力宝賞の贈呈式で,長編部門の大賞を受賞した塩原健夫が会場に姿を現さない。井辻は,謎の老紳士から,「君もずいぶん大胆な手を使うようになったじゃないか」という伝言を,塩原に伝えてほしいと依頼される。その後,謎の老紳士がミステリ作家の津波沢陵であることが分かり,塩原は,津波沢のカルチャースクールでの教え子であったことが分かり,塩原の受賞作が津波沢のトリックを盗作したものではないかという疑惑が持ち上がる。果たして,塩原は本当に,津波沢のトリックを盗作したのか?
    →真相は,トリックそのものは盗作していなかったが,ばかばかしいトリックで,塩原は,津波沢から「そのトリックいらないなら私がもらうよ」と言われ,「さしあげますよ」と言ってしまっていたのだ。津波沢は,ちょっとした嫌味のつもりで伝言を依頼したが,津波沢の教え子の一人だった山本という男が,このことを歪曲して塩原に伝えていたというもの。すんでのところで誤解は解け,授賞式は無事に終わる。
    これもミステリとしては見せ方が弱い。ミステリ的にもっと面白い仕上げにはできたと思う。ただし,小説としては,軽くて,ちょっとほっこりするいい話に仕上がっている。

    ○ 絵本の神さま
    井辻が,地図を頼りに地方(東北)のユキムラ書店を訪れたところ,同書店は閉店していた。ユキムラ書店には,ほかにも東京から訪れてきた人がいたという。その後,地方の大型店舗で子どもに絵を描いた男の話が持ち上がる。その絵が,ユキムラ書店の看板にそっくりな絵だった。男の正体は?そして,ユキムラ書店が店を辞めた本当の理由は?
    →真相は,ユキムラ書店の主人には甥がいて,その甥は人気の絵本作家「snow」だった。ユキムラ書店の主人が店を辞めた本当の理由は持病だったが,甥との仲直りをしたいと考えていた。ユキムラ書店の主人は,甥が書いた絵本を書店に並べることができ,目的を達したと考え,店を閉めたという話。真相の見せ方を工夫すれば,ミステリらしい仕上げになりそうだが,そうしないで,いい話として仕上げている。そういう作風なのだろう。

    ○ ときめきのポップスター
    ある書店の支店のフロアマネージャーが,ポップ販促コンテストを行う。条件は,自社の本以外の本を宣伝すること。一番売り上げを伸ばした本を宣伝した出版社には,1か月分の平積みを商品として出すという。井辻は,「幻の特装本」を取り上げる。そこで,ライバル社の佐伯書房の真柴の宣伝した「ななつのこ」にまつわる,ちょっと不思議な出来事が起こる。誰がいたずらをしかけたのか?いたずらの意図は?
    →真相は,書店の女性アルバイトがいたずらの犯人というもの。その女性アルバイトは,昔,書店でバイトしていた真柴から「ななつのこ」を勧められ,真柴に恋をしていたのだ。真柴は,その女性アルバイトのことを覚えているのかどうか分からない。そこで,いたずらをしかけたのだった。これもせっかくの謎をいかしておらず,ミステリとしては平凡。しかし,小説としてはなかなかのデキ。

  • ◇五篇
    「平台がおまちかね」
    「マドンナの憂鬱な棚」
    「贈呈式で会いましょう」
    「絵本の神様」
    「ときめきのポップスター」

    ◇幕間
    「新人営業マン・井辻智紀の一日」(1~5)

    解説:杉江由次「出版営業マンに愛を!」

  • ◆作り手と売り場を結ぶ糸をたくさん鞄に詰め込んで、出版社の新人営業、井辻智紀は今日も本のひしめくフロアへと向かう。
    ――でも、自社本をたくさん売ってくれた書店を訪ねたら何故か冷たくあしらわれ、文学賞の贈呈式では受賞者が会場に現れない!?
    他社の先輩営業マンたちにいじられつつも、波瀾万丈の日々を奮闘する井辻君の、こころがほっとあたたまるミステリー短編集第一弾。


    職場の先輩に借りて読みました~!

    出版社の営業をしている井辻こと『ひつじくん』が主人公。
    中堅の文芸に強い出版社ってことで、自分の仕事場と様々な点が、類似していてすごく楽しく読みました(*^^*)!

    書店員あがりの作家さんらしいけどテンポが良くて読みやすかったし、文章もしっかりしてた!

    小さい出版社って、やっぱり仕事の線引きが難しくて‥営業でも受賞パーティーのスタッフしたり、帯文考えたり、ポップや広告作ったり‥。
    1年目から大きな仕事いくつも任されて、慌てふためきながらも必死にこなしていく『ひつじくん』にとっても親近感湧いた(^^)♪

    内容はミステリー短編集ってことだったけど、ミステリーとまではいかないかな?
    仕事の先々で起きるドタバタを解決しながら、『ひつじくん』が成長していく話って感じ。
    これドラマにしたらなかなか面白いと思うんだけど!

    ひつじくんは、
    小池徹平くんがいいな(´ω`)

    本の中に、色んな書名が出てくるんだけど、作者が適当に作ったタイトルだったり、実在する本だったり‥
    なんか途中でわからなくなった(笑)

    実在しない本も内容が気になるし、読んでみたいな~

    とりあえず、本に出てきた実在する書名で気になるものをメモしておこ~っと!

    『斜め屋敷の犯罪』島田荘司

    『死の蔵書』『幻の特装本』
    ジョン・ダニング

    『千年樹』萩原浩

    『ななつのこ』加納朋子

    『忘れ雪』新堂冬樹

    『ライオンハート』恩田陸

    『旅のラゴス』筒井康隆

    『サンタクロースのせいにしよう』
    若竹七海

    さて、シリーズ二作目に入りますかな♪

  •  出版社の新人営業・井辻が主人公なのだけれど、成風堂シリーズとリンクしているところもあり、おもしろい。表紙のひつじくんがかわいい。右手に明林書房の紙袋をさげ、左手に本を持っている。
     読んでいるとどうしても主人公目線になってしまう。だから、井辻を“ひつじくん”呼ばわりしてくる真柴のことは、頼もしくはあれど、少々うっとうしくも感じていた。加納朋子さんの『ななつのこ』が重要なアイテムになっている「ときめきのポップスター」で、平台上を移動する本の謎が出てくる。これで、私の中の真柴のイメージが一気にプラス方向に。
     『背表紙は歌う』も、ぜひ読みたい。コミックス化されたものもあるようなので、そちらも読みたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「コミックス化されたものも」
      知りませんでした、、、どんなタッチの絵だろう?気になる・・・
      「コミックス化されたものも」
      知りませんでした、、、どんなタッチの絵だろう?気になる・・・
      2014/06/03
  • 中小出版社の営業部員を主人公に日常の小さな謎を解くライトミステリー。著者とも読者とも直接には接しない出版業界の裏方である営業マンの日常が細かく描写されていて、仕事小説としても面白いし、主人公のほか、他社の営業マンや自社の上司、編集部員等登場人物もよく描けていてキャラクター小説としてもとても面白かった。
    「幸せの黄色いハンカチ」を絵本で描いた「絵本の神様」は秀逸。

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著者プロフィール

大崎 梢(おおさき こずえ) 
東京都生まれ、神奈川県在住。10年以上の書店員経験がある。2006年、書店で起こる小さな謎を描いた連作短編集『配達あかずきん』でデビューし、以降「成風堂書店事件メモ」としてシリーズ化、代表作となる。ほか、「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」、「天才探偵Sen」のシリーズがある。
原宿を舞台にエリート出版社員が原宿系ファッション誌担当となるコメディお仕事小説、『プリティが多すぎる』が2018年10月ドラマ化される。カンヌでワールドプレミア開催&アジア各国で同時期放送が決まり、新たな代表作となった。

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