背表紙は歌う (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 1003
感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488487058

作品紹介・あらすじ

明林書房の新人営業マン・井辻智紀は今日も注文書を抱え書店を飛び回っているけれど、行く先々でトラブルの種が?! 本と書店を愛する全ての人に捧げるハートフル・ミステリ全5編。

感想・レビュー・書評

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  • 2か月ほど前に読んだ「平台がおまちかね」の続編。

    「ひつじくん」こと井辻くんもだいぶ営業の仕事に慣れてきたみたいね。真柴をはじめとした「マドンナの笑顔を守る会」の面々も同業他社同士でも相変わらず仲が良い。
    出版業界と書店に対する愛情&ちょっと心配な気持ちがにじみ出る短編が5つ。取次のことや小さな書店の悩みなどがよく知れる。

    謎解きのほうは、中途半端に先回りしたり忖度したり、持って回ったり含みを持ったやり取りで、解決したのやらしてないのやら、こちらも相変わらずちょっと緩め。
    そんな話の中、「君とぼくの待機会」では文学賞レースの裏側での出版社の華やぎや受賞に備えた準備や担当者の心労や作家先生の微妙な胸の内が興味深く、業界の慣行と謎解きを絡めたところも楽しめた。

    また、最終話「プロモーション・クイズ」での、なぞなぞで盛り上がる書店員さんや出版社の様子も微笑ましかったが、「平台が…」の最後の話で謎のパズルを考えた駒沢さんの友だちが働いているのが成風堂で、今回もまたなぞなぞを考えたのは内藤さんと同じ成風堂の人。よくよくこういうことが好きな人がいる本屋さんみたいね。
    成風堂のシリーズ、まだ読んでいないので次はそちらへ行ってみよう。

  • 井辻くんシリーズ第二弾!
    なかなか読者にはわからない裏側も見れて大好きなシリーズです。小さな本屋が無くなっていくことへのもどかしさ、作家に隠された秘密、文学賞にまつわる危うい噂、推薦コメントの謎などなど。出版社、作家、取次店、書店、そして読者。本にまつわる様々な出来事。どんな目線から読んでも違った面白さがあるのではないでしょうか。今回も最後の方に成風堂とのリンクもあり楽しませていただきました。

  • 井辻くんことヒツジ君シリーズ2作目です。中堅出版社の営業マンとして書店を巡る彼は書店ならではのトラブル、出版社ならではのトラブルに遭遇しますがいわゆる人の死なないお仕事ミステリーです。やはり本関係の物語は好きのだなあ、本屋さんの内幕を覗き込むみたいで。
    こんなに本読んでいるけど本屋さんの友人1人もいないことにはたと気づきました。どうやったら書店員さんと友達になれるんだろうか。

  • 主人公は中堅出版社の営業、井辻くん。お仕事しながら色々な謎解きに奔走する。
    同業他社の営業、書店員、取次、作家、などなど…五つの短編の中で出版業界の住人が次々と登場し、それぞれがいいキャラクターを持っているので読んでいて飽きない。

    一編一編の終わり方が、バシっと解決!最後まで説明済み!というものではなく、ふんわ~り終わる。(事件自体もふんわり気味。そこがいいんだけど。)
    最初は「え?これ・・・で終わり?あれ?」と思ったけど、これはこれで読み手に物語のその後を想像させてくれるので、読了後に妄想を膨らませ余韻に浸るのもなかなか楽しい。

    この本の面白さはなんといっても業界話(個人的には)。
    憧れの書店員さんはこんな仕事もしてるのか、とか
    文学賞の裏側ってこんな感じなのか、とか
    出版社の人や取次の人はこういう風に書店に関わってるのか、とか。
    読んでるだけでなんとなく自分も業界の人間になったような気分になれる、本好き・書店好きにはたまらないシリーズかも。

  • 出版社営業という仕事。一読書家である我々に密着した市場で働きながらも、その業務は判らない。そんな人たちが本とその近辺の人達のためにかけずりまわるミステリ連作の第二段。
    書店員出身の作者だけに描写の根底に本好きがゆったり表現され心地良い。

    今回は出版という仕事1つずつを洗いだしそこで起きる小さな謎を楽しませてもらえた。取次会社とのやりとり、サイン会、地方書店と弱小出版社、文学賞、帯。根底に優しさがある作品群です。安心してお奨めできる。前巻からでなくとも十分楽しめる。
    しかし、前シリーズ書店員シリーズも読むとご褒美があります。って前巻もか。

  • 出版社営業井辻君の奮闘が楽しい小説。今回も作家の書店回りや賞レースにまつわる話などなかなか一般人の知りえないエピソードが多くて面白かった。最終章には「成風堂書店シリーズ」との絡みも少し。影山先生は成風の3作目に登場していたし、佐伯の真柴さんは親しいお店のようですが、真柴さんあちらのシリーズには出ていたかな?真柴さんラテン系の調子のいい営業マンと言われつつ、井辻君をいつも助けてくれて好きなキャラです。

  • ◇五篇
    「ビターな挑戦者」
    「新刊ナイト」
    「背表紙は歌う」
    「君とぼくの待機会」
    「プロモーション・クイズ」

    解説:古幡瑞穂「取次にも愛を!」

  • 「成風堂」とコラボしていてよかった♪もっと読みたいです!

  •  各話の終わり方がふんわりしているので、たまに物足りなくなることも。
     それにしても、デビルさまの「売れない本、ちまちま作ってんじゃねーよ」には、版元の人間には本当に「いたたたたっ」ですね。

  • 「ビターな挑戦者」が一番好きな話だった。取次のデビル大越は確かに性格悪いけど、本と書店に対する愛情を誰よりも感じるから。

    毎日行っても飽きないくらい大好きな場所、本屋さん。どんなにインターネット書店や電子書籍が普及しても、私は書店で実物を手に取り、「あ、このシリーズ新刊が出たんだ」とか「この作家さん、全然知らなかったけど面白そう」とかいう驚きに出会いたい。
    いつも仕事帰りに立ち寄る書店は、どういう人たちとどういうやり取りがあってあの品揃えになったんだろう。
    本屋さんは大好きだけど、いつまでも私の「夢の場所」であってほしいから、書店員にはなりたくないな…

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著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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