現代詩人探偵 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 273
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488489113

作品紹介・あらすじ

とある地方都市でSNSコミュニティ、『現代詩人卵の会』のオフ会が開かれた。九人の参加者は別れ際に、これからも創作を続け、十年後に再会する約束を交わした。しかし当日集まったのは五人で、残りが自殺などの不審死を遂げていた。なぜ彼らは死ななければならなかったのか。細々と創作を続けながらも、詩を書いて生きていくことに疑問を抱き始めていた僕は、彼らの死にまつわる事情を探り始めるが……。生きることと詩作の両立に悩む孤独な探偵が、創作に取り憑かれた人々の生きた軌跡を辿り、見た光景とは? 気鋭の著者が描くミステリ長編。

感想・レビュー・書評

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  • 創作してる人には凄くブッ刺さる作品。現にブッ刺さりまくって感動しました。スランプになったら、これを読もう。

  • タイトルと表紙から軽めのミステリー小説と思って手に取ったら完全に予想外の展開。

    ✖️ミステリー小説で謎解きやトリックを重視する人には向かない
    「誰が」「誰のせいで」「どのように」死んだことより、「なぜ」死ぬことになったかについてを重視した話。根気強くないと前半で頓挫するかも(根気強く最後まで読んだら面白いけどね!)

    ◎いつもと違うタイプの小説を読みたい人におすすめ
    ランキング上位の本や書店の店頭に平積みされている本では満足できない人は、数ページだけ読んでみれば良いと思う。街灯が10メートル間隔で立っている河川敷を歩くような、真っ暗ではないけれど不安定な暗さがずっと続くような文章の虜になる人は一定数いるはず。

  • 紅玉いづき初読。
    どちらかと言うとファンタジーメインの方?のイメージ。

    ミステリではあったけど、仕掛けとしては驚くほどでもなく。また終始、主人公が鬱々としているところが合わなかった(過去に起きた事件の影響もわかるが、性格があまりにも。。。)。
    あと変なところに読点が入るのも、雰囲気出てるとは思うが読みづらかった。結構しんどい読書でした。
    亡くなった仲間の過去探しってストーリー自体は好きだったのだけど。。。

    ファンタジーの方に期待したい。


  • 自殺した詩人たちのことを調べる「探偵くん」。なぜ死んだのか、死なないと詩人になれないのか、生きて詩を書くことはできないのか。調べたからといって答えはないし、「謎を解いて遺された人を救う」なんてことにもならない。遺されたひとの「どうして」は永遠に解消されない。
    どうしてそこまで拘るのだろうと、途中からちょっと思い始めてしまったけれど、最後で腑に落ちた。
    「生きて、書いて、いいんだよ」
    棗のようにそう言ってしまいたくなるし、そう言うしかないと思う。

    その、棗。
    健康的で、なんでも持っていて、いつだって日の当たる場所をなんの疑問もなく歩いていける、だいきらいな親友。
    棗の執着は、本当に草間の思ったところにあるのかなあ。
    棗視点のはなしがぜひ読みたい。

    言葉を尽くしているのに言葉が足りない。
    最初から最後まで、そんな印象。
    そしてそれでいいのだろうな、と思う。
    草間が絞り出すように紡いでいく言葉だから。
    その言葉たちが、まだ私の心にも響くことが分かって、そのことがとても嬉しくて、ありがとう、という気持ちになった。

  • 現代詩が好きなので、どうしても厳しい見方になってしまう。でも、日曜の夜に月曜日の活力を犠牲にして読んだということはまあ、それなりに惹かれていたのだろう。
    なんつーか創作の業とか盗作のようなテーマは古すぎるよ。想像力のかけらもないと思う。たがみよしひさが90年代に30ページの漫画で描き切っていて、てことはそれ以前に大量の先行者がいたってことで、それを今更やる鈍感さには呆れ果てる。チェイサーとかアオイホノオとか漫画を描くことについての漫画がしかも良質なものばかりが量産されている現在に、創作者モノをしんきくさーくおセンチに高尚ぶって書くのはトップグループから何周も遅れてゴールして一位だと勘違いして喜んでいるのに等しい。どんなに深刻ぶってみても、等しい。
    ただ、生きづらさに悩んで生きたり死んだりする人たちがリアリティーを待って作品の中に存在することは、それだけは尊いことだ。

  • 文庫化。
    ミステリ寄りの一般文芸というか、謎や理由というものは、そこまで重きを置かれていない感じがする。どんでん返しは最後に用意されているが、あるキャラクターが登場した時点で予想がつく範囲内。登場人物ひとりひとりに寄り添って読むタイプの小説だと思った。

  • 喪失と失望の物語。
    短い言葉から、ふ、ふ、と思考が飛んでいく様子が「詩人」という感じがしました。
    この「探偵」が巡る旅路は、辛くて痛い。人を傷つけ、傷つき、大切な友をも傷つけ、自分のかさぶたをもかき剥がす。それでも、たどり着いた最後の1行に、救いがありました。

  • 先にワルツさんの2冊を読んで、楽しめたので手に取った。解説にもあったが、何かしら創作をしている人にとってはとても苦しいと思う所もあるが、それ以上に響く所が多いと思う。心象の言葉が続くので、好き嫌いは分かれるだろうけれど。


  • ミステリといっても、謎解きしてスッキリ解決!みたいな話ではないので、読む人を選ぶ部分はあるかもしれません。

    でも、全て読み終わったあとで、序章、そして第1章冒頭部分に触れると、ぞわっとするくらい紅玉先生の凄さを感じます…。
    またゆっくり読み返したいです。

  • とにかく苦いものが込み上げたり楽しく読めたりミステリとしても終盤に驚いたりといろいろな景色を見せてくれる作品ですね。

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著者プロフィール

1984年、石川県金沢市出身。金沢大学文学部卒業。『ミミズクと夜の王』で第13回電撃小説大賞・大賞を受賞し、デビュー。その後も、逆境を跳ね返し、我がものとしていく少女たちを描き、強固な支持を得ている。

「2022年 『雪蟷螂 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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