奇談蒐集家 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.27
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本棚登録 : 919
レビュー : 128
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488490096

作品紹介・あらすじ

自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬進呈。ただし審査あり。-新聞の募集広告を目にして酒場を訪れた客は、奇談蒐集家を名乗る男と美貌の助手に、怪奇と謎に満ちた体験談を披露する。鏡に宿る美しい姫君との恋、運命を予見できる魔術師との出会い…。しかし、不可思議な謎は、助手によって見事なまでに解き明かされてしまう。安楽椅子探偵の推理が冴える、連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • ――自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬進呈。ただし審査あり。
    そんな新聞広告を見て、指定された店に出向く客たち。
    そこは〈strawberry hill〉というイングリッシュパブ。
    キレイにヒゲを整えたバーテンダーが奥の部屋に通してくれると、そこにいるのは奇談蒐集家を名乗る恵比寿という男と性別不明の美貌の助手、氷坂。

    という、なんとも魅力的な設定の連作短編集。

    わたしは連作短編集が好きなのだが、読後に長編感が強い連作短編集が「よくできた連作短編集」だと思っていた。
    反対に「ただの短編集」としか思えない作品は「連作短編集を名乗るなよっ」と、ものによっては怒りの対象にすらなる。

    そして、この作品はといえば。
    長編感はない。
    だからといって「ただの短編集」になっているわけでもない。
    言葉のまま「よくできた連作短編集」なのだ。
    約40ページ×7篇でサクサク読めるのに、連作短編集のキモともいえる最終篇がちゃんと役目を果たしている。
    うーん。「よくできた連作短編集」のMy定義を変えねば。

    不可思議な世界から話し手や恵比寿を現実に戻す氷坂。
    一種の謎解きではあるのだけれど事後の解決策まで与えるわけではなく、放り出された格好の話し手たちが不憫になる。特に「水色の魔人」。
    わたしはやっぱり優しいお話のほうが好きなので、ロマンチックで救いもある「不器用な魔術師」や幻想的な「金眼銀眼邪眼」が好き。

    井上雅彦氏の解説まで読んで、太田忠司の氷坂に与えた役割の意図がわかる。
    そしてミステリーランドの一冊「黄金蝶ひとり」が読みたくなり、積読山の一角で最近山開きしたミステリーランド山から引っ張り出してきた。
    著者の俊介くんシリーズや新宿少年探偵団などのジュヴナイルっぽい作品が大好きなので、とても楽しみ♪

    • 山本 あやさん
      九月猫さん、こんにちにゃー♪

      ステキな山開き!!![笑]
      またなんちゅうステキな本を見つけてくるんですかー。
      また積読増えちゃうじゃないで...
      九月猫さん、こんにちにゃー♪

      ステキな山開き!!![笑]
      またなんちゅうステキな本を見つけてくるんですかー。
      また積読増えちゃうじゃないですかー![笑]

      奇談蒐集家、性別不明の美貌の助手!
      ものすごい勢いで惹かれる要素がっっ♡
      創元推理文庫さんも惹かれる本の出版多いですよねー[*Ü*]

      よくできた連作短編、積読の山に積みます!
      山開きしたい山がまた……………[笑]
      2013/03/28
    • 九月猫さん
      あやさん、こんばんにゃあ♪

      そうなんですよー!
      キーワードがね、いちいち魅力的なんですよー(*>ω<)o
      「ミステリ」とか「幻想小...
      あやさん、こんばんにゃあ♪

      そうなんですよー!
      キーワードがね、いちいち魅力的なんですよー(*>ω<)o
      「ミステリ」とか「幻想小説」とかを強く望んで読むと、
      どちらにも中途半端なのですが(^-^;)
      雰囲気とアイテムが好みのものだらけで、わたしは楽しめました♪
      この方の「新宿少年探偵団」や「俊介くん」シリーズが
      怪人が出てきたりとか、塔が動き出す仕掛けがあったりとか
      ちょっと時代がかっていて好きなんです~(* ̄∇ ̄*)
      そういうものがお好きなら、あやさんの積読山にもぜひ(笑)

      積読山。
      開いても開いても標高が変わらないという……魔の山ですな(笑)

      創元推理文庫さん、翻訳モノも好みのものがとても多いです!
      カバーが傷みやすいのが残念なんですよねぇ(涙)
      2013/03/28
  • 奇談を集める金満家・恵美酒一と性別不明の従者らしき人物・氷坂のもとへ数多の人が奇談をもち、それを売りに来る。
    新聞広告の「求む奇談」の文字にひかれ、集まる奇談を不可思議な二人組(主に氷坂)が、「奇談でもなんでもない」と説明して現実に戻してしまう話。
    この2人の方が不思議だろ、と思っていたら、結末、案の定2人は奇談として完成されてしまった。
    大枠の仕掛けは面白いし、結末も解説通り現実と幻想の世界を地続きにしてくれたので満足。
    ただ、一個一個の短編の後味が昔の少女ホラーコミックのようだし、安楽椅子探偵ものだと仕方ないのかもだけど、氷坂の説明だけでは少し強引に感じられる部分もあった。(そのために結末で相談者たちのその後に触れたのかもしれないが)

  • クライマックスが絶妙。
    真実が明るみになるのに比例して高まる恐怖、ゾクゾクくる感覚が心地良い。これからの季節にピッタリな作品です。
    果たして氷坂の推理はあたっていたのか。方便だったのか。読み終えた今になっては、後者に思えるところが薄気味悪い。

  • 奇談蒐集家 太田忠司

    幻想の現実化と現実の幻想化

    解説井上雅彦さんの言葉より

    storobeiiy hill を訪れる6人の口から語られる不思議な物語。
    物語は現実なのか幻想なのか??

    正直読みはじめは種明かしにも大きな驚きがなく、
    こんなものかな、と思っていた。
    が、後半でそれが見事にひっくり返る。

    幻想が現実化していくからこそ味わえる
    現実の幻想化。

    内容自体はそこまで新しさはないし、
    ふうん、という感じで終わりそうなものだけれど
    話の内容と構成そして最終話が秀逸だった。

    恵美酒と氷坂は、どこかに本当に存在するのかもしれない。

  • コレも昨夜、一晩で読了。
    『奇談蒐集家』というタイトルが、ずっと気になっていた一冊。
    最初の二編で、寝ちゃおうかな、と思ったが、何か引っ掛かって…。
    正直、一晩で読了して正解でした。
    奇談蒐集家、恵美酒と助手の氷坂の元へ「奇談」を持ち込む人々。
    連作短編で六編目までは、全て三部構成。1「奇談」を語るまで。2「奇談」の本編。3氷坂の謎解き。
    そして、1の部分などはきれいにパターン化されている。ソコで何となく、この話はこんな謎解きかな…、と読みすすめるにつれ、コチラも思うわけで…。
    あくまで、主観で語られるコトの落とし穴にはまらなければ、当たらずしも、遠からずの辺りまでたどり着くコトが出来る。ソコで、テンションを落としてはいけない。
    全ては七編目までたどり着いた方にのみやってくる。
    正直、「そぅ来たか……!」とやられた感でいっぱい。
    何としても、第七編、P248までたどり着いてください。

  • 中盤まで読み進めるにつれて、正直期待はずれだなあという感想を抱いていた。
    というのも、ミステリーの要である謎解きに不満があって。探偵役の推理はあくまで推論の域を出ず、それが真実だと納得できるだけの論理展開では無い。むしろ、非現実的だ。奇談であったと語られた方がまだ理にかなっている。
    しかし、結末まで読んだところで、それが大いなる誤解であったことに気づく。
    謎解きがどうとか、そんなことはどうでもいい。全ては奇談のためなのだ。
    そう納得したとたん、評価はうなぎ登り。
    途中胡散臭く感じた方も、めげずに最後まで読んで見て頂きたい!

  • よくある安楽椅子モノの短編集……かと思いきや、それにとどまらない面白さに打ちのめされた。それでいて、その感想を余すことなく書こうとするとモロにネタバレになってしまうのが悩ましい。ミステリー好きや本好きな人には、とにかくこの本をアタマから順番に読んでもらい、この感覚を共有してもらいたいと思う。

    物語の筋立ては、ざっとこんな感じ。奇談を聞かせてくれたら高額報酬を進呈すると新聞広告を出した奇妙な男の元に、人が訪ねてきては奇妙な体験談を語る。収集家は喜び簡単に納得しかけるものの、後ろに控える従者が見事その謎を解いてしまう。なんだ奇談じゃないのか、と男が落胆。その繰り返しだ。
    どの短編も面白く、キレが良い。これは良い物語に出会えたと喜んで読み進めていたところ、最後にドンデン返しが待っていた。最終話のタイトルは「すべては奇談のために」。まさに、その通りだった。その鮮やかさに、背筋がゾクゾクする思いがした。
    読み終わったときには、私自身が「奇談収集家」になった心持ちだった。私も新聞広告を出してみようかしら。自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬進呈……はできないけれども。

  • もう少し怪奇な奇談でいてほしかった。明かされちゃうからかなぁ。一気に現へと降下。。。「冬薔薇の館」なんか途中で、やめてこのままでいさせてー!と思ったくらい。
    既読の宇江佐真理『聞き屋与平』や宮部みゆき『おそろし』の方が奇談蒐集してる。ジャンルが違うだろうけど。
    それでも、7つの短篇がすべて1人称で登場人物がそれぞれの語り場であるStraberry Hillとその中で待っている人を形容させるところがいい。7人7様。技量を感じ入りました。

    それと助手の氷坂はともかく、奇談蒐集家という恵美酒の設定は妙齢・英国人風イケメン紳士にしてほしかった。……マジで。

  • 『自分の影に刺された男』『古道具屋の姫君』『不器用な魔術師』『水色の魔人』『冬薔薇の館』『金眼銀眼邪眼』『すべては奇談のために』の7話。

    【求む奇談! 自分が体験した不可思議な話を話してくれた方に高額報酬進呈。ただし審査あり】という新聞の募集広告を見て、バーを訪れる人々の体験談。
    各短編に共通する人物が、広告主である恵美酒とその助手(?)氷坂。
    読み進めると、ちょっと違和感があるのですが、そのオチといえるのが最終話の『すべては奇談のために』。
    で、結局、あの2人は何者!? という感じもしますが、そこは、ホラ、「奇談」なのでねw

  • 前に読んだよなあ、という気がしつつも、そうじゃないかもと思い購入。
    読んでた。
    ある程度あらすじは覚えていたが、それぞれのオチは忘れていたので、面白く読めた。

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著者プロフィール

1959年、名古屋市生まれ。81年、「帰郷」が星新一ショートショート・コンテスト優秀作を受賞。90年、ミステリ長編『僕の殺人』で本格的な作家デビューを果たす。 著作に『月光亭事件』『奇談蒐集家』『月読』『死の天使はドミノを倒す』『セクメト』など。祥伝社の既刊には、霞田が犯罪に対する探偵のあり方を巡って、天才ライバルの桐原と対決する『紫の悲劇』『紅の悲劇』『藍の悲劇』『男爵最後の事件』や、軌道エレベーターを舞台にする『ルナティック ガーデン』『幻影のマイコ』などがある。

「2019年 『道化師の退場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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