BG、あるいは死せるカイニス (創元推理文庫) (創元推理文庫 M い 6-1)
- 東京創元社 (2009年10月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488493011
感想・レビュー・書評
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再読。この作者の作品は全部読めているわけではないけれど、石持浅海先生の小説の中では一二を争うぐらいには好きな小説。全人類が生まれた時は全て女性で一部の人のみが男性化するという特殊な世界観に当時はびっくりした思い出がある。謎解きの部分も最後のオチもめっちゃ好み。
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今までの石持作品も独特でしたが、
これは更に輪を掛けて独特な世界観。
好きな作品です。 -
女性が男性に転換する不思議な世界観の構築と、謎の言葉「BG」がつなぐ不可思議な殺人事件。石持ワールド全開の作品。
独特な世界観を作り出すことが得意な石持浅海さんですが、その中でも「BGあるいは死せるカイニス」は生まれてくるときは全員女性で成長する中で一部の人が男性化するというかなり不思議な世界を舞台にしています。
何年かぶりの流星群がやってくるということで、主人公の船津遙は一人自宅の屋上で準備をしているが、姉の西野優子(苗字が違うのも物語のキーのひとつ)は天文学部の仲間たちと学校で同じ流星群を見にでかける。
しかし、翌日遙が学校にいくと、姉優子が何者かに殺害されているところが発見されて、学校が大騒ぎになっているところから物語はスタート。
なぜ姉は殺害されたのか、そして姉が語っていた謎の言葉「BG」とは?
これらの謎を解くために遙が動き出す展開になっていきます。
ここだけ見ると、よくある学園ものの推理小説なんですけど、石持ワールドの面白いところは前にも書いていますが「女性が男性になる」世界を舞台にしているという点。まあ謎解きの部分では女か男かという中にミスディレクションを閉じ込めやすくなっているのもありますけど・・・
この設定があるために、主人公である遙は謎を知るのに一苦労も二苦労もすることになりますし、自分自身の存在すら曖昧なものに感じていくことになります。
謎を追っていく中で、政府系の組織が出てきたり、遙の成長(普通の成長とはちょっと違う)とともにクラスメイト達の対応が変わってきたりと力技が絡んでくるので、多少違和感を感じる部分はありますけど世界観とそれに立ち向かう遙の真摯さ、そして「自分とは」に悩む姿は共感が持てるのですんなりと読み進むことができました。
ただね、、、
最後の最後まで引っ張った「BG」の言葉の意味がちょっと軽すぎるのは肩透かしだったかな。そこまでのBGの定義とか意味合いは奥深くて良い感じだっただけに、気になりました。この軽さが一つのアンチテーゼだったりするので、何気に深いかも。 -
「常識」について懐疑的な時には、実に気持ちよくしてくれる。ラストシーンでの主人公の想いに心がキュンとする。
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驚きの設定。
怒涛の展開。
発想の転換。
脅威の終幕。 -
いやいやいや、この世界の常識やルールがもう一つなじまない
2/6/24 -
単行本「BG、あるいは死せるカイニス(ミステリ・フロンティア)(石持浅海)」(2004/11/30)
→新書化「BG、あるいは死せるカイニス(カッパ・ノベルス)(石持浅海)」(2007/06)
→文庫化「BG、あるいは死せるカイニス(創元推理文庫)(石持浅海)」(2009/10/10)
石持浅海流の独特な世界観(本作では、「人類は生まれてくるときは全員女性だが、成長過程で一部男性化(性転換)する」という設定)。
小説末尾の主人公達が懸命に選んだ行動(テロ)により、世界は主人公達から見てより素晴らしい世界へと変容するが、その結果できる世界のことを改めて思うと切ない。 -
人間が女性から男性へ性転換する世界を舞台にした本格ミステリー。
殺された女子高生がレイプされそうになっていたことに対して、皆そんな必要ないのにと違和感を持つなんてなかなか面白い設定だ。そこにBGという謎の存在を匂わせる。
ここまでいくと犯人の動機も大した問題ではなくなる。結果、飽きることなくがっかりもせずに楽しめた作品となった。