ねじまき片想い (創元推理文庫)

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  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488494117

作品紹介・あらすじ

浅草にある老舗おもちゃ会社で働く富田宝子は、ガーリーなものが大好きで楚々として控えめな外見とは裏腹に、好きなものに対するパワーと想像力の豊かさを持ってして、敏腕プランナーとして活躍している。そんな彼女は、仕事のできない取引先のデザイナー西島に恋をしているが、五年も想いを伝えられずにいる。何の因果か次から次へと災難に見舞われる彼のため、持ち前の機転と自社のおもちゃを駆使し、SPのごとくトラブルを解決していく宝子。けれど西島はそんな宝子の奮闘にはまったく気がつかず?! 同僚や同居人も巻き込んで、宝子の恋が向かう先は。ひとりの女性が大切な気持ちと向き合うまでを描く、成長の物語。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『片想い』をしているでしょうか?もしくは、『片想い』をしていたことがあるでしょうか?

    『恋愛』の回数は人それぞれだと思います。初恋の経験の先にも人を好きになる感情は常に湧き上がり続けます。そんな時、ストレートに告白という行動に移ることができる人は結果はどうであれ、『恋愛』に対して悩む時間自体は少ないと言えます。

    一方で、そんな想いを自らの胸の内に秘め、相手のことをただただ想う日々を送る『片想い』は、そんな想いが決着するまでの長丁場、ひたすらに悩める時間を過ごすことになります。かく言う私も『片想い』の経験があります。そう、あれは…や、やめましょう、こんな公衆の面前で美しい想い出に変わった過去を語ってはいけませんね(汗)。

    さてここに、『彼を好きになって、もう五年。気持ちを伝えるどころか、ただ陰から見つめることしか出来ないなんて』と思いを募らせる一人の女性を描いた物語があります。彼の言葉に一喜一憂する女性の心の内を垣間見るこの作品。そんな女性が彼のために猪突猛進!さまざまに襲いくる災いをなぎ倒していく様を見るこの作品。そしてそれは、『ペンを走らせるだけで、いくらでも物語が広がっていく』と『おもちゃのプランナー』を仕事にする女性が『探偵』のごとく奇問難問に立ち向かっていく姿をコミカルに描く物語です。

    『そうだ、宝子さん。《ロータス・プルミエール・コンパクト》の発泡サンプルってもう出来た?社長プレゼン前の営業会議でGMに見せておきたいんだよね』と『真後ろの席に座る韮崎響子』に言われ、『はい。至急、デザイナーの西島さんに問い合わせてみます』と答えるのは主人公の富田宝子(とみた たからこ)、28歳。『浅草にある玩具メーカー』『ローレライ』で、『アニメの内容と連動しながら、季節ごとにおもちゃを企画し、開発していく』『プリンセス・トイ事業部』で働く宝子は、『西島さん、という発音のトーンを変えないようにするの』に必死です。『悟られてはならない。この気持ちを同僚に知られるくらいなら』『死んだ方がマシだ、と思』う宝子は『震える指で外線』をかけます。『あ〜、富田さんですか。おはようございます…』という西島の『声を聞くだけで、身体中に甘いシロップが行き渡り、頰がカッと熱くなる』宝子。『今から私がうかがいます…』と言って電話を切った宝子は『やった、会う口実が出来た』と『胸の鼓動が収ま』りません。そして、宝子が『いそいそとした足取りで企画室を後にするなり』、『顔を見合わせる』面々は『あれでバレてないって思ってるとしたら最強だわ』、『もう、五年でしょ?』、『西島さんの一体何がそんなにいいんですかね?』と噂し合います。
    場面は変わり、『隅田川沿いにある古ぼけたマンション「かちどきライムハイツ」五階にある』西島の部屋へとやってきた宝子は、『いわゆる美男子ではないけれど、ややむくんだ顔や疲労を感じさせる目の下の隈がなんとセクシーなことか』と目の前の西島のことを見ます。そんな西島の部屋の『開け放した窓からは、向かいの新築マンション越しにスカイツリーが見え』ます。『だんだん出来上がっていくスカイツリーを見ているだけで、俺も頑張らなきゃって気持ちになった』と今日までの日々を語る西島から『試作サンプルとパソコンで描いた図面』を受け取った宝子。
    再度場面は変わり、『四月最後の金曜日』、『江戸前握りで有名な〈すし遊〉のお座敷』に『外注デザイナー』の西島も招待し、『四半期に一度の慰労会』が始まりました。『幸運にも彼の隣に座ることが出来、身体のどこもかしこもがふわふわと浮き立っている』という宝子。さまざまな会話で盛り上がる中、西島がふと『そうそう、最近困ったことがありました』と語り出します。『見えなくなっちゃったんですよ。仕事場から見えていたスカイツリー』。そんな言葉に『一言も聞き漏らすまいと耳に全神経を集中』する宝子は、『試作サンプルを受け取りに行っ』てまだ三週間、『こんな短時間の間に何かが建つなんて考えられない』と思います。『急に向かいのビルに貯水タンクが運ばれてきた…』と説明する西島は、『もう引っ越そうかっていうくらいショックですよ』と続けます。それを聞いて、『なんとかしてあの部屋からの景色を取り戻してやらねば…』と強く思う宝子。『さあ、明日は土曜日、行動開始だ』と思う宝子が、『片想い』の相手である西島のために孤軍奮闘していく健気な姿がコミカルに描かれていきます。

    “自分の心にねじを巻けるのは、自分だけ”、”恋も仕事もがんばるあなたへの応援がぎゅっと詰まった最強片想い小説!”と本の帯に記されたこの作品。五つの短編が連作短編を構成しながら極めてコミカルに描かれていきます。そんな作品の冒頭には小さいフォントで252文字にも渡ってこの作品の前提が記されています。少しだけ抜粋してみましょう。

     『浅草にある老舗おもちゃ会社で働く富田宝子は、楚々として控えめな外見とは裏腹に、好きなものに対するパワーと想像力の豊かさを以て、敏腕プランナーとして活躍している』。

    この作品の主人公となる富田宝子を紹介するものです。そして、そんな宝子はこんな境遇にいます。

     『彼女は取引先のデザイナー西島に恋をしているが、5年も想いを伝えられずにいた』。

    なるほど。書名の「ねじまき片想い」とは、主人公・宝子の西島に対する『片想い』を描いたものか!と思ったあなた!はい、正解です。そして、この作品は、

     『何の因果か次々に災難に見舞われる彼のため、持ち前の機転と自社のおもちゃを駆使しSPのごとくトラブルを解決していく宝子。けれど西島は宝子の奮闘にはまったく気がつかず?!』

    そう、この作品には『片想い』の相手である西島を襲う『災難』の数々に立ち向かっていく宝子の姿が描かれていくのです。そして、大切なのはこの内容をもってこの作品を描かれているのが柚木麻子さんだということです。

    私はこれまでに柚木さんの作品を18冊読んできましたが、その作品は幾つかにタイプ分けできます。全体として私とは極めて相性の良い作家さんなのですが、中でも主人公が一途に何かを成し遂げようとする姿をコミカルに、圧倒的な推進力で描いていく作品群はピカイチだと思っています。”これくらいの逆境、絶対に撥ね返してみせる”と”作家”である主人公・加代子の人生大逆転劇を描く「私にふさわしいホテル」、”セックスレス”をテーマに、主人公・初美をあくまでコミカルに描く「奥様はクレイジーフルーツ」、そしてまさかの”スクールカースト”をフランス革命に重ねてエンタメ感豊かに描く「王妃の帰還」など、とにかくどこから湧き上がってくるのだろうというくらいの圧倒的な推進力を擁する作品群は柚木麻子さんという作家さんの力が最大限に活かされたものだと思います。そして、この「ねじまき片想い」はまさしくこれら同様、その推進力で魅せる作品と同じ地平に立つ作品と言って良いと思います。そこには、ノリに乗った柚木さんの姿を垣間見ることができます。

    そんなこの作品で特筆すべきなのはその世界観です。主人公の宝子は、『二十八歳にして、美大時代から変わらない少女らしいふんわりしたファッションを貫ける』という中にこんな姿を見せながら登場します。

     『ほっそりとした長身に、淡い亜麻色のふわふわした長い髪、見るからに優しげな大きな垂れ目と青みがかった白い肌にそばかすを浮かべた可憐な容姿は、十代によく間違われ、初対面のクライアントを驚かせている』。

    この作品の表紙には7時の方向に頭を向けたお姫様の人形のイラストが描かれていますが、まさしくこの人形のイメージを持った二十八歳、それが宝子だと言えると思います。そして、そんな宝子の『片想い』という前提で物語は描かれていきます。そんな『片想い』を象徴するのが、
    『浜松町から水上バスで出勤している』ということを利用し『隅田川沿いに住む彼の家を毎朝、至近距離で見上げられるという最大の特典』を得ているというところです。しかし、そんな行動を『ルームメイト』からはこんな風にも言われています。

     『片想いが許されるのはギリギリ二十歳。あたしに言わせりゃ二十八歳の片想いは、犯罪行為に手を染めなくても、ストーカーとほぼ同じだよ』。

    鋭く抉るような指摘ですが、宝子はそんな言葉にもめげずに、『彼が今日も幸せであればいいなって思って、マンションの窓を見上げてれば満足』という毎日を送っています。なんとも乙女チックな世界観の物語にも思えますが、その一方で宝子の『おもちゃのプランナー』としての才能は『まさに〈ローレライ〉の宝、秘密兵器』、『彼女の精神状態は我が社の業績に直結する』と高く評価されてもいます。この辺りを大真面目に展開させていくのが柚木さんの柚木さんたる所以、私はもう冒頭の数ページでこの作品が今日の読書にどれだけ幸せな時間をもたらしてくれるかを確信しました。はい、この作品、超・おすすめなのです!

    次に、『おもちゃのプランナー』である宝子が生み出した『おもちゃ』を二つほどご紹介しましょう。

    ● フェアリー・クリスタル・マイク
      → 『単身赴任のお父さんなど、しばらく娘に会わないうちに、電話口で怖がられてしまうことがあるのかもしれない。そこで思いついたのが、娘と遊びたい父親の気持ちをくすぐり、女児の返信願望も叶える、マイクに向かってしゃべるだけで七通りの可愛いアニメ声が出るおもちゃ』

    ● 夢が叶う☆オルゴール・プリズム・ジューサー
      → 『子供も安全に使える手動式のミキサーで、デザインは人気キャラクターうさぎのモフ形。尻尾の形の取っ手をくるくる回すと撹拌が始まる。同時にジュエリー形ライトが点灯し回転、アニメの主題歌やヒロインの声が流れ出す』

    いかがでしょうか?実物を見てみたくもなる魅力に溢れています。まさに『おもちゃのプランナー』という職業を垣間見る思いですが、子どもの気持ちになってどこまで発想を飛躍できるか、そして、それを購入するのは親であり、そちらにも買いたいと思わせるように心をくすぐる必要があることもわかります。なかなかに難しくもやり甲斐のある職業に思いました。

    そんな物語では、『おもちゃのプランナー』である宝子がそのイメージを『外注のデザイナー』である西島に伝えて、製品として形にしていくという点で二人が繋がりをもっています。そこに生まれたのが宝子の5年にもおよぶ『片想い』です。一方の西島はそんな宝子の想いには全く気づかず、他のさまざまな女性を好きになったりと宝子を狂おしい想いに陥れてもいきます。物語は、そんな二人の関係性が最後にどうなるのか?ここに大きな山場があることは間違いありません。しかし、この作品はその芯だけの物語だけではありません。それこそが、五つの短編それぞれに巻き起こる事件に立ち向かっていく宝子の姿です。それは、全て西島が何かしら巻き込まれていくものでもあります。

    上記した冒頭の短編〈第一話 スカイツリーを君と〉では、部屋から『スカイツリー』が見えるのを喜びの一つとしていた西島にも関わらず、『急に向かいのビルに貯水タンクが運ばれてきた』ことで、『スカイツリー』が見えなくなったことを憂います。そんな西島のために立ち上がる宝子が『おもちゃ探偵』として立ち上がります。この展開に見せる柚木さんの推進力は半端ではありません。あくまで真摯に解決に立ち向かう宝子の姿は一見コミカルにさえ見えます。しかし、物語を読み進むにつれ、あまりにも愛おしく感じさせる宝子のいじらしい姿が際立ち、頑張れ!と応援してあげたくなる健気さを見せてもくれます。これこそが、この作品の一番の魅力なのです。

     『自分の心にねじを巻いてくれるのは、自分だけよ』。

    そんな言葉で自らの行動を励まし、圧倒的な推進力としていく宝子。そんな宝子が天賦の才能とも言える発想力を武器に、推理をし、解決方法を見い出し、解決に向けて行動に移していくという一連の姿はまさしくヒロインそのものです。そして、そんな宝子の大活躍の先に待つ結末。『おもちゃのプランナー』としてさまざまな企画を編み出し続ける宝子だからこそ行き着くことのできる清々しいまでの結末。最後の最後まで推進力の全く落ちない圧巻の物語が見せる結末には、だから柚木さんの作品を手に取ることはやめられない!と思わせる、あたたかな余韻を感じさせる物語の姿がありました。

     『あんたもよくやるよね。付き合ってもいない男のためにさ。完全に自家発電だね。自分でねじまいて自分で走るゼンマイおもちゃって感じ』。

    そんな言葉を『ルームメイト』に『莫迦にしきった様子で言われても、心の弾みが止まらない』という主人公の宝子。この作品ではそんな宝子が5年もの歳月に渡って『片想い』する相手である西島のために人知れず孤軍奮闘する健気な姿が描かれていました。あまりにコミカルに描かれていく物語に気分が高まるこの作品。それでいて最初から最後までぐいぐい読ませる圧倒的な推進力に舌を巻くこの作品。

    私が柚木麻子さんという作家さんに期待する全てがここにある!まさに、傑作だと思いました。

  • 宝子は5年も片想いをしている28歳の老舗おもちゃ会社の敏腕プランナー。片想いの相手、西島は取引先のデザイナー。でもね、この男。ちょっとねぇ、どうよ?って感じなのだ。宝子には、もっとお似合いの人がいるはずだよ。彼女の同僚でなくても言いたくなる。だけどなぁ、こればっかりはなぁ。「痘痕も靨」じゃないけど、恋心は他人には、どうすることも出来ないからね。
    ストーリーは、西島に降りかかる災難を宝子が彼に気づかれないように解決していく謎解きサイドと、彼女が「心にねじを巻けるのは、自分だけ」と自分の心を見つめ直していく乙女心サイドがうまく絡み合ってる。
    そこまでするか?!ってことまで彼のために頑張る宝子。だからといって報われる訳でもなくて。そんな彼女が健気すぎて、もういいんじゃない?諦めたら?なんて言ってしまいたくなる。目黒さんにいっちゃいなよって。
    でも、そんな彼女が大切な友人玲奈を探す旅先で、初めて西島を「面倒くさい」と思ってしまうのだ。そう思っちゃたら最後、12時になって魔法が解けちゃうような気持ちになるのかもしれない。それからの宝子の方が断然応援したくなるし、かっこいい。……とはいえ。西島が急に変わるわけでもないからね。どうなるのかな、この2人。

  • レビュー数も少ないのであんまりなのかな…と思いつつ読んでみたところ、これが見事にツボに。誰もが手にしたであろうおもちゃと柚木先生お得意の悩める女性の描写、面白くない訳がなかった。
    ご都合主義な展開やダメ男・重い女感は少々あるものの、恋する人のために暗躍する宝子のカッコよさが輝いていて、読んでいて楽しい。おもちゃ箱の中を見ていたあの頃と同じくらいワクワクしました。「好き」がある人間は強い。

    • しずくさん
      「好き」がある人間は強い。

      未読なので、本作ではどんなふうに使われているかわからないけれど、最近マジで思わされます(=^0^=)/ 柚...
      「好き」がある人間は強い。

      未読なので、本作ではどんなふうに使われているかわからないけれど、最近マジで思わされます(=^0^=)/ 柚木さんは好きな作家さんでマジカルグランマの大好ファンです。
      2021/08/27
    • はるさん
      しずくさん、コメントありがとうございます!
      「好き」がある人間は〜のくだりは私の勝手な感想ですが、柚木さんの作品は考えたり元気になったりどれ...
      しずくさん、コメントありがとうございます!
      「好き」がある人間は〜のくだりは私の勝手な感想ですが、柚木さんの作品は考えたり元気になったりどれも面白いですよね。
      マジカルグランマ、未読だったので読んでみます(^^)
      2021/08/27
  • 片思いの相手、西島さんに度々降りかかる事件を刑事以上の推理力で解決して行く宝子さんがかっこよくて!
    実は内に秘める想像力を全開にして、キラキラ楽しんでいて可愛かった!
    しかも、自分が勤める玩具会社のオモチャ達を武器?として駆使しているのが面白かったです。
    そして西島さんのダメンズっぷりもなかなか!
    そんな彼に夢中になってしまう宝子さんを止めたくてウズウズしてしまいました。

    舞台も浅草、スカイツリー、東京タワーていうのが素敵でした。柚木さんの食べ物の表現がやっぱり美味しそう!
    ローレライの仲間達、西島さんも宝子さんも、どの登場人物も、子供心を忘れてなくて、「好き」を大事にしているのが良いなと思いました。想像を膨らませながら毎日を楽しむ事は大事だなー。

    1人の世界にこもりがちな宝子さんが自分と向き合って自分の幸せとは何か?を見つけていきます。更に強い女性になっていく宝子さんは本当に魅力的でした。

  • おもちゃ会社の腕利きのプランナーである宝子が、片思いする西島のために全力を尽くす話。社内で頼りにされている宝子だが、彼女が恋する西島は言っちゃ悪いけどイマイチな男で…

    富田宝子………タカラトミーやん!?
    そりゃおもちゃ作るの向いてる名前だわ

    現実的な物語じゃないけど、それが面白い。

    自分の心にねじを巻けるのは自分だけ。
    自分が良いと思うもの、魅力を感じるものを大事にしたい。



  • 明るい片想いが読みたくて、再読。
    でも、片想いって明るくない。
    タイミングが合わないし、ひとりだ。

    みんなに応援される宝子はすごい。
    お仕事、楽しそうだったな。

  • 好きな作家さんの1人、柚木麻子さん。
    やっぱり読みやすい。
    柚子さんは女子の人間関係を忠実に描くのがうまいという印象ですがこちらは何よりファンシー要素が強いというか、世界観があるお話でした。
    こちらはその点ではリアリティはない。特にその子の行動は理解不能だ笑 あと西島の鈍感さ。
    まぁこちらは創作推理を楽しむというテイストが強いのかなって思います。その点で言うとこんなにワクワクとそれを混ぜ合わせて物語を描くのがお上手です。
    個人的に浅草はゆかりのある地でもあるので親しみが持てました。

  • 会話のテンポや展開がいつもながら楽しい。
    ハッピーエンドも好きだけど、こんな形もあるんだなぁ。何がそれぞれにとっての幸せなのか。人によってそれぞれ受け取り方はいろいろあると思う。

  • 自分の気持ちにネジを巻けるのは、自分だけ!
    全編にわたり、主題とともに伝えたいメッセージなのかなと思いました。
    確かに自分のネジは自分で回すしかない。

    宝子ちゃんの恋模様に焦ったくなりながらも、さらっと読めました。個人的には貯水タンク撤去に挑むあたりが1番面白かったな。

  • 事件を解決していく様がおもしろくて、決め台詞もあって、ずっと読んでいたかった。
    そばにはいつも、スカイツリーや東京タワーがあって、いつも変わらずそこにあるはずなのに、見る人の心情で見え方が変わる。
    片想いのせつなさを味わいつつ、楽しく読めました。職場のみんなも良いチームで微笑ましい。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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