吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 808
感想 : 90
  • Amazon.co.jp ・本 (559ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488502010

作品紹介・あらすじ

トランシルヴァニアの山中、星明かりを封じた暗雲をいただいて黒々と聳える荒れ果てた城。その城の主ドラキュラ伯爵こそは、昼は眠り夜は目覚め、狼やコウモリに姿を変じ、人々の生き血を求めて闇を徘徊する吸血鬼であった。ヨーロッパの辺境から帝都ロンドンへ、不死者と人間の果てしのない闘いが始まろうとしている…時代を越えて読み継がれる吸血鬼小説。

感想・レビュー・書評

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  • これまで、コッポラ監督の映画化作品も観たし、キングの「呪われた町」や小野不由美さんの「屍鬼」など、本作へのオマージュ的な小説も読んだことはあったけど、本作自体を読むのは初めてでした。
    ただ、上記にあげた以外にも、数々の映像や文学作品に影響を与えただけのことはあるとうなずけるだけの大作でした。
    まず語り口。主要な登場人物たちの日記が交互に切り替わるという形式で物語がすすみます。
    これが登場人物間よりも先に、読者にだけ先に伝わる情報があって、それがハラハラ感やもどかしさを増します。
    次にその重厚かつ幻想的な怖さ。
    19世紀末の暗闇が真の暗闇であったような時代背景のせいもあるのでしょうが、ドラキュラ伯爵の登場時からの怪しげな雰囲気、城の中の不気味な様子の描写などは、読んでいる部屋の空気が重くなるような錯覚を覚えるほどでした。
    そして時代錯誤とすら言われそうですが、そのストーリーの王道的な面白さ。
    若く前途有望な弁理士と、その聡明で美しい新妻が見舞われる災厄に、彼ら自身に加え、その仲間たちが騎士道精神に溢れる心意気と行動で立ち向かいます。
    子供の頃、抄訳版のミステリーやSFを夢中で読み漁った時のようなドキドキを久々に思い出すことができました。

  • 言わずと知れた『吸血鬼』ものの元祖。

    今となっては耳慣れない語彙が散見されたり、内容の割には穏やかな印象だったりするものの、内容的には面白い。
    きちんと山場を作っていて、最後の展開には引き込まれた。
    通り一遍のイメージじゃなくて、古典に当たって本来の姿を知るのって、実は大切。

  • Lideoで読んだ。1897年刊行。物語は手記・日記・蝋管録音・新聞記事などの組み合わせで進む。主な登場人物は7人、ドラキュラ伯爵、弁理士ジョナサン・ハーカー、ジョナサンの妻ミナ・ハーカー、アーサー(ゴダルミング卿)、アメリカ人キンシー、精神科医のセワード、アムステルダム大学の医学・哲学・法学教授ヴァン・ヘルシングである。第一部にあたる物語は、ジョナサンがロンドンの不動産取引でトランシルヴァニアのドラキュラ伯爵をたずね、その居城で怪奇にであうというもの。第二部はミナの友人、ルーシーが夢遊病から吸血鬼になっていく話、この過程で彼女の三人の求婚者、アーサー・セワード・キンシーが集まり、セワードが恩師ヘルシングを呼び寄せ、吸血鬼の謎が解き明かされていく。第三部はルーシーの本当の意味での死の後、ジョナサン・ミナとヘルシングらが合流し、まずロンドンのドラキュラの居場所をつぶしていき、故郷に帰らざるを得なくさせ、ドラキュラ城までの追跡と吸血鬼の打倒である。訳文は非常に読みやすく、構成も短い手記が多いのでページがすすむ。ドラキュラにはいろいろな制約があり、昼間は人間の姿をとらざるを得ないが、夜になると霧・狼・蝙蝠などに変化することができ、吸血鬼や狼などを操り、催眠術も使える。力は二十人力である。鏡には映らず、ニンニク・十字架・聖餅などの品によわく、水を渡ることはできない。また、建物には誰かが「入れ」と言わないと入れない。昼間に首を切られたり、心臓に杭を打ち込まれると四散して死ぬ。吸血鬼になった者もドラキュラが死ぬと呪縛が解かれることになっている。セワードの患者にレンフィールドという食肉性患者がいるが、ハエやクモなどをむさぼり食う。「霊魂なんかいらない、ただ生命が欲しいだけだ」とか、「血は生命である」といった独特の考えをもっていて、ドラキュラがミナを襲うきっかけを作ってしまう。ミナは鉄道マニアで速記、タイプライターができ、吸血鬼にされながらもドラキュラ追跡に同行し、明晰な頭脳でドラキュラの通るルートを推理したりする。作者ブラム・ストーカーの名前はエブラハムでブラムは略称、スコットランド生まれで、オスカーワイルドの先輩、芝居好きで演劇記者や劇団の経営に携わった。ヴァン・ヘルシングのモデルは中央アジアの研究者でブダペスト大学の東洋語の教授アミニウス・ヴァンペリとのこと。作中でもヴァン・ヘルシングの同僚でブダペスト大学教授アルミニウスとして言及されている。全般的に19世紀の科学主義とアッティカの末裔を自称するドラキュラの中世伝説との葛藤の話であるが、輸血で血液型を顧慮していない点や、シャルコーなどフロイト以前の精神医学についても言及があり、十九世紀の科学の雰囲気を知ることができる。

  • 日記形式で展開していく、約550ページの長編。かなり古い時代の話だが、充分に楽しめる。

  • 様々な作品に影響を与えた対策として認識していたが、これまで触れる機会がなかったため購読。
    昨今の作品では巨悪に対して同等の力をもつ、あるいは蓄えてそれを打ち倒すという展開が王道になっているが、何の変哲もない人間が怪物の弱点をついて倒す、という展開もなかなか熱く、手に汗握りながら読み切ってしまった。
    日記調の文体に加えて、最近の”改変された吸血鬼”についての知識も持っていると、ハラハラしながら登場人物たちの行動を楽しむことができるため、非常におススメ。

  • これ、知らない人はいないでしょうが。読んだ人は案外と少ないのかも……? だいたいのあらすじは知っているのですが、こんなに分厚い本だったのか。なーんか冗長で退屈しそうだなあ……なんて思ったのは間違いでした。古臭いんじゃないかってのも思ってましたが、それも欠点ではなく。今読んでも充分エンターテインメントとして楽しめます。
    すべての部分が手紙や日記といったもので占められ、さまざまな視点から語られる物語。いきなり最初っからやってくれるなあ。ドラキュラ伯爵の城に囚われたジョナサン・ハーカーの日記部分だけでもう盛り上がってしまいます。城の雰囲気がとことん不気味。そしてドラキュラよりも三人の妖女の方が迫力があって恐ろしくて。序盤でこれか!
    続くルーシーの物語は恐怖よりも悲哀に満ちた印象です。この先どうなるかがわかってるものなあ。じわじわと迫りくる怪異と恐怖がたまりません。そしていよいよ、ヘルシング教授たちによる吸血鬼との対峙。だけどこれも一筋縄ではいかなくて、読みごたえたっぷり。「箱」の存在については知らなかったなあ。そんなものを使うのか。肝心の決着に関してはとんでもなくあっさりで驚きましたが(笑)。そこに至る道のりで充分すぎるほどに読まされたので、物足りない気はしません。定番はやはり読んでおくべきものです。

  • 前半は得体の知れない恐怖に脅かされる一方だが、吸血鬼爺ちゃんことヴァン・ヘルシング教授の登場によって「吸血鬼VS人間」という対決要素が加わりグッと面白さが増す。

    「たとえ、死ぬことがありがたい授かりもののように自分には思われても、あなたは生きるためにたたかいぬき、生きるために努力しなければならん。」

    数々の苦難に直面する若者たちを励ます教授の言葉もいちいちかっこいい。

    ヒロインは聡明で美しく、それを守る男たちもみんな良い奴らなので、これは調子こいた吸血鬼が倒されて当然…。
    モヤモヤ要素なく読後感もスッキリ。

  • ゴシック!映画も良かったけど、原作はもっと雰囲気満点。

  • とても面白い。怪奇小説の古典としてだけでなく、ストーリーの完成度が高くて引き込まれる。書簡文体が華美な演出をそぎ落としドキュメンタリータッチでサスペンスを盛り上げてくれる。TVドラマの怪奇物を好む人よりもTVドキュメンタリーの怪奇物を好む人に向いていると思う。

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