天上天下 赤江瀑アラベスク1 (創元推理文庫)

著者 :
制作 : 東 雅夫 
  • 東京創元社
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本棚登録 : 86
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488505042

作品紹介・あらすじ

今もなお数多くの作家たちから愛される幻想文学の巨星赤江瀑。デビュー50周年を記念して、その多彩な仕事のなかから、名アンソロジストが精選した傑作群を全三巻に集成する。自ら体験した、あるいは夢の中で見いだした海峡の風景を各々に綴り、万華鏡の如き幻想世界を現出せしめた泉鏡花賞受賞作「海峡――この水の無明の真秀ろば」、地獄と極楽のあわいにかかる、絢爛を尽くした人ならざるものの舞台芝居を描く、初文庫化となる円熟の傑作「星踊る綺羅の鳴く川」、この世に存在しない漆黒の城を中空に幻視する女を巡るオカルティックロマン「上空の城」。水底から戯場国を経て天上へと至る破格の三長編が一堂に会する第一巻。隔月刊行開始!

感想・レビュー・書評

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  • 『海峡──この水の無明の眞秀ろば』、『星踊る綺羅の鳴く川』、『上空の城』の三作品とエッセイ、インタビューを収録。
    エッセイとインタビューは未読だったのでそれらを読みたくて手に取りました。
    編者が『鏡花戯曲風三部作』として択んだ長編三編を収めたとのこと、確かに『天守物語』や『海神別荘』を思わせられる雰囲気はありますが言葉の選び方や美しさはやはり作者ならでは。その世界は唯一無二だと思います。
    収録された対談では『天守物語』について語られており、幻想文学の世界で泉鏡花の持つ影響力を再認識しました。
    インタビューで作者ご本人の姿勢が見えたことが嬉しかったです。作品以外で『赤江瀑』と言う方を知ることができたことはファンとしてとても幸せでした。

  • 私はまだまったく歌舞伎の真髄を全然わかってないんだなぁ、いつかそんな歌舞伎を見てみたい、と思わせる文章。

    上空の城。
    いやぁ、この、全然男女の恋愛が書けてない感のある、バブル的なとこもすきですし、すれてない姉弟良いですけど、
    最後の寺に驚きました。まって、いきなり結界師的なのきた。いや、前半…のそのバブリーなとこも好きだけど、この設定膨らませて書けよ、そこメインにしろよ!と突っ込んでしまいました。なんか前にもこの作者につっこんだ気がするな 。

  • 2020/4/9購入

  • おなじみ東雅夫編集の赤江瀑アンソロジー。全3巻予定だそうでこれが1冊目。「海峡」は、小説ではなく回想エッセイ連作で、海と陸の境界=彼岸と此岸の境界に想いを馳せる。

    「星踊る綺羅の鳴く川」は、どこか時空の彼方に歌舞伎の精霊のようなものたちの住む場所があり、そこへ紛れ込んでしまった現世の女優たちとの確執の物語。どこか舞台演劇的、かつ妖怪とも精霊ともつかないものの住処が、鏡花の『天守物語』ぽいなと思いながら読んでいたら、解説にまんまそう書いてあってやっぱり。

    「上空の城」もこれまた天守物語を思わせる城もの。城跡めぐりが趣味の大学生・眉彦は、いくつかの城で見かけた蛍子と親しくなり二人は交際するように。蛍子が城めぐりをする理由は、幼い頃から彼女自身が夢に見、絵に描いてしまう「窓を真っ黒に塗りつぶされた城」の実在を確かめるためだった。そんな城は存在しないと思っていた眉彦だったが、あるとき蛍子が話す通りの城の絵を見つけ…。オチは案外現実的なのだけど、そういうことが歴史上実際にありそう、と思わされるところが面白い。

    ※収録
    海峡――この水の無明の眞秀ろば/星踊る綺羅の鳴く川/上空の城/エッセイ(わが街、蠱惑/伽羅先代萩/桃源郷の罠)/赤江瀑インタビュー

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著者プロフィール

1933年下関生。日本大学芸術学部中退。70年「ニジンスキーの手」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。74年『オイディプスの刃』で角川小説賞、84年『海峡』『八雲が殺した』で泉鏡花文学賞。2012年没。

「2019年 『オイディプスの刃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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