八十日間世界一周 (創元SF文庫) (創元推理文庫 517-3)
- 東京創元社 (1976年3月20日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488517038
感想・レビュー・書評
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”結局?この旅行から彼は何を得たのであろう?何を持ち帰ったのであろう?何も!そうかもしれない。何も!しかし彼は……実に偶然ではあったが……美しい女性を得て、もっとも幸福な男性になったのである。こう考えると、たとえ、もっと得るところは少なくても、世界一周を試みる人は、これからもないとはいえないであろう”
目下の新型コロナウイルス禍では、クルーズも世界旅行も世界中でご無沙汰の状況です。
しかし、本書の最後に上記のようにあるように、冒険に惹かれて世界一周旅行に駆り出される人はこれからも尽きないのかもしれません。
カジノに出入りする紳士、フィリアス・フォッグ氏は、ある晩常連のカジノクラブの仲間たちに、たった80日間で世界を横断してみせよう!と全財産を元手にした賭けをぶちまけます。
大見えを切った手前のフォッグ氏は、付き人のパスパルトゥーを従えて、すぐさま慣れ親しんだ日常生活からドーバーを目指します。危険な場所を通過しながら、船や列車、像でもなんでもいかなる交通手段を使って、挫折を乗り越え80日という時間との勝負に挑む冒険譚。世界一周の名の通り、ロンドンや中国、インドに香港、日本を始め、アメリカやリバプールなどなど、異国情緒あふれる旅路の中で、象に乗って女性を助けたり、アメリカの線路で山賊と戦ったりと、驚くべき事件が満載です。
私の思う本書の面白さとは、フォッグ氏がわずか80日間という期限を区切って世界一周できるという賭けを(大金をかけて)引き受けたことです。そして当然のことながら、彼は期限内に達成するために数学的な頭で旅程を正確に計するわけです。一度心を決めたフォッグ氏は、硬直した日常生活を完全に断ち切って「旅行」というモードに切り替わるのですが、日常生活との対比が本書の妙の一つだと感じています。
本書は新しい鉄道の登場で世界的に観光が盛り上がっていた1873年に書かれたもの。他の多くのヴェルヌの作品と同様に探究心に満ちていて、世界のさまざまなエキゾチックな魅力を一級の娯楽品として提供した内容であり、大人になって読み返してみると、忘れていたドラマチックな結末に今一度惚れ惚れすることになりました。 -
旅先で一気に読んだ本。展開がスピーディーでストーリーも最高。久しぶりの星5つ。
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小説で設定された時代において世界一周をおこなうことは、未知の世界を次々に見るもので、その先々であう事件とともに(バイアスがかかっていることも含めて)登場人物たちの目線で見ることができておもしろかった。
ラストも世界一周ならでは。 -
今読んでも面白い。知ってるようで読んでいなかった。昔のことだから、本当にありそうにも読めるのが良い。
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ドキドキ、わくわく!
こんなに冷静に生きてみたいけど、私だったら同じ状況になった時
ギャーギャーワーワー言っちゃうんだろうな。
何となくのラストが予想出来たけど、それ以上に最後の一文に旅好きな人はやられるに違いない!! -
飛行機でピュッと行ける今とは違う、世界の広さに夢が広がる時代のお話だと思った。分かりやすく面白くテンポよく話が進むから読みやすかった。
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1872年の世界一周は今とはスケールが違うだろう。船や鉄道ができていたとはいえ、時間通りにも来ないし事故も多い時代だ。その19世紀に友人との賭けをして80日間で世界旅行をしようとするのが、今作品の主人公のフィリアス・フォッグだ。フォッグは何があっても顔に出さず慌てず、全てを知っているかのように動じない。大量の金をばらまきながら運と機転で世界を回る。超人だが冷徹ではなく、非常に優しい男だ。
下男のパスパルトゥーは明るくて調子が良くて運動神経と度胸がある。この物語の盛り上げ役だ。フィックスとの掛け合いで、綾ができるのは面白い。フィックスは最初から最後に気づくまでずっと勘違いをしていた。途中で気づいても良さそうなものだが、そこに割くページ数はなかったのだろう。
この小説は世界の国々の書き方が細緻に渡っていて、まるで一緒に旅行をしているかのような気になり、そこを通る描写を全体的にすごい時間感覚で纏めている。フォッグの機械のような几帳面さを文章でも表しているかのようだ。
ラストで、フォッグは5分遅れたので賭けには負けたと思った。だが実際は、旅行中は東に進んでいたので、時計がずれて、予定より一日早くついてたのだ。このトリックはフォッグの完璧さにひびが入る。良く言えば人間らしい終わりだ。
物語はトントン拍子に事が進み、うまく行きすぎているようにも感じたが面白く読めた。フォッグが困難をどのように金を使って解決するのかワクワクした。
楽しく読んで調べてみたら、この小説は1873年の小説だった。100年以上も前の小説で、私は世界を渡った気になった。本の持つ偉大な力を感じて、そんな昔に面白いものを書いていたヴェルヌは素晴らしい頭脳と構想力だ。 -
同僚から借りた本。どんでん返しが痛快という話題からこの本を貸してくれた。確かに、最後の最後は痛快だ。もちろん、それに至るまでの話も面白い。ジュール・ヴェルヌさんの才能に脱帽。
著者プロフィール
ジュール・ベルヌの作品






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