ポオ小説全集 3 (創元推理文庫 522-3)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488522032

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  • 3巻は「モルグ街の殺人」「マリー・ロジェの謎」のデュパンくんシリーズを丸谷才一の翻訳で収録。この全集、翻訳者が複数なんですよね。ちょっと古いかなと思う訳もあるけれど、ポー自身が日本でいうなら幕末生まれ(1809~1849年、生年は島津斉彬と一緒)だと思えば翻訳もちょっと古いくらいで丁度雰囲気は合っているのかもしれない(笑)

    なんやかんやでやっぱり既読の有名作「赤死病の仮面」や「早まった埋葬」「陥穽と振子」が独特の怖さがあってポーらしい。かと思えばやっぱり「メエルシュトレエムに呑まれて」のような海洋冒険譚的な趣のものや、「告げ口心臓」みたいな怖いけどユーモラスなものもポーらしいといえばらしい。

    「鋸山奇談」と「催眠術の啓示」はどちらも催眠術ものだけど、幻想的な前者と違い、後者はいっそSF的かも。基本的にポーは理屈っぽくて、思考回路が理数系な気がする。

    「楕円形の肖像」はあまりにもそっくりに描かれた絵がモデルの生命力まで写しとってしまうドリアン・グレイ的な掌編。「エレオノーラ」は女性名タイトルのものの定番、若くして死んだ妻の呪い系かと思いきや、まさかの、呪わないオチで逆に怖い(苦笑)

    たぶん初読のものでは「眼鏡」が面白かった。タイトルでオチがわかるのだけれど、視力が悪い青年が絶世の美女に一目惚れするも実は・・・という喜劇。

    ところで1巻の感想でも触れた『世にも怪奇な物語』全3話のうちフェリーニが監督した3話目「悪魔の首飾り」だけがずっと元ネタがわからなかったのだけど、どうやら本書に収められている「悪魔に首を賭けるな」のようだ。映画はフェラーリで暴走する俳優(テレンス・スタンプ)がワイヤーで首をばっさりやられるラストシーンが印象的だったけれど、時代背景もキャラクター設定も全く原作と映画で違うのでラスト読むまで気づかなかった。

    ※収録
    モルグ街の殺人/メエルシュトレエムに呑まれて/妖精の島/悪魔に首を賭けるな/週に三度の日曜日/楕円形の肖像/赤死病の仮面/庭園/マリー・ロジェの謎/エレオノーラ/告げ口心臓/陥穽と振子/鋸山奇談/眼鏡/軽気球夢譚/催眠術の啓示/早まった埋葬/解説:佐伯彰一

  • ポオは推理小説の先駆者でありながら推理小説を専門としていないそうです。
     ポオ自身の作品の中で推理小説は、三作しかなく拡大解釈しても五作しかないそうですが、その二作目の作品『マリー・ロジェの謎』は『モルグ街の殺人』の続編だそうです。
     注釈に書いてありましたが、本作は実際にニューヨークで起こった事件を題材に当時の新聞発表のみで推理を発表し、その結論は事件からずいぶん後に結論に到達するための重要な仮説をも充分に裏書きしていたそうです。(残念ながら事件が解決したとは書いていませんでした)
     恐るべしポオ推理の真骨頂とでも申しましょうか!

  • “The Tell-Tale Hearts“を「告げ口心臓」と訳したセンスは秀逸。

  • 有名な『モルグ街の殺人』からはじまる。
    ネタバレというか結末はなんとなく知ってはいたけどちゃんと読んだことはなかったので楽しめた。

    特に好きなのは『悪魔に首を賭けるな』、『赤死病の仮面』、『告げ口心臓』、『陥穽と振子』、『眼鏡』。

  • 古本屋へ

  • 『モルグ街の殺人』
    モルグ街で起きた殺人事件。レスパネー婦人と令嬢が何者かに惨殺された。絞殺され煙突に押し込められた令嬢の遺体。刃物で首を切られた婦人の遺体。目撃者の証言の食い違い。犯人がしゃべっていた言葉の謎。

    『メエルシュトレエムに呑まれて』
    ノルウェーの海岸。群島の間で潮の渦をまくモスケエ・シュトレエム。元漁師の語るモスケエ・シュトレエムに巻き込まれた恐怖の体験。嵐の夜に漁にでた元漁師。モスケエ・シュトレエムに巻き込まれる元漁師と兄。渦巻きの中での様子。小さな部品などが上に吸い上げれていく様子をみた元漁師の決断。

    『妖精の島』

  • モルグ街の殺人と続編に満足。
    全集は好みと別に編集されているので、ちょっと微妙かな、
    と今更ながら思う。
    ポオは素晴らしいのだけど。

  • 長いことかかってちょびちょび読み進め、ようやく読み終える。
    図書館で借りて、何回延長したことか・・・。

  • 不気味で超自然的と思われる出来事が論理的に、さも現実に起こり得た話のように述べられるのがおもしろい。

    しかし、小説を楽しむというのには向いていない本だとも思う。

    如何せん、論理的すぎる嫌いがある。時に、こちらの知識不足で話についていけない。デュパンものにしても、犯人へたどり着く過程が説明的すぎてくどい。

    ポオという人がいかに頭が冴え、想像力に長けた人物であるかはよくわかった。

  • 怪奇幻想や、デュパンが探偵として活躍する推理短編が主な第3巻。
    お気に入りは「陥穽と振子」。これは以前から好きな作品の一つ。気の休まる間のないスリルの連続が印象的です。
    未読だったものでは「早まった埋葬」。このシチュエーションは……あまりに怖いです。

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