ラヴクラフト全集 (4) (創元推理文庫 (523‐4))

制作 : 大滝 啓裕 
  • 東京創元社
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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488523046

感想・レビュー・書評

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  •  隕石が落ちた農場でじわじわと広がっていく恐ろしい変化を描いた「宇宙からの色」や,いつも部屋を閉め切って強力な冷房をかけている風変わりな医師の正体を描いた「冷気」,そしてラヴクラフト最大の長編作「狂気の山脈にて」などが収められています。ラヴクラフトの怪奇小説は,幽霊や妖怪が出てくるような類のものではなくて,むしろ科学的なアプローチから描かれたSFっぽい感じの作品が多いなと感じていましたが,この『全集4』はまさにSFそのもの。と思ったら訳者あとがきに「科学に比重の置かれた作品を中心に構成した」と書かれていたので,あえて全集の中でも特にSFっぽい巻にしたようです。
     翻訳は相変わらず重厚で,私のように軽く本を読みたいと思う者には大きな壁にぶちあたったように感じられます。しかし苦闘した甲斐はあったように思いました。特に「狂気の山脈にて」は,南極探検の話から数千万年前の文明の話になり,しかもそれを築いた種族が宇宙からやってきたということで時間的にも空間的にもものすごい広がりを持った物語になります。怖いというよりSFとして面白いと思いました。
     今回の全集にもラヴクラフトの書簡が収められていて,これがまた興味深いです。ラヴクラフトは,怪奇小説を書く時は「最大の力点は微妙な暗示に置かれるべきです」と書いていて,なるほどなと思わせます。彼の作品はどれも,恐怖の実体がなかなか姿を現さず,結局最後まで何だったのかわからないこともしばしばで,作品の語り手となる登場人物も「言葉に言い表せない」とか「口にする気も起きない」とか言ってはっきりとは語ってくれないことが多いです。それまでに明らかにされた様々なヒントから,想像力をたくましくしないと何が怖いのかわからないという仕組みで,彼の怪奇小説を読むには彼の説明していることを十分に理解する言語能力と,それを組み立てて空白を補う理性的な想像力が不可欠になります。
     「SFとして面白い」とか言ってる私は,想像力が足りないのかもしれません。

  • 「狂気の山脈にて」の映画化が楽しみ。

  • 「狂気の山脈にて」が長かった。あまり面白いのがなかったなあ。

  • ラヴクラフト全集の中でもクトゥルフ入門者必読の作品が多い。特に「狂気の山脈にて」は旧支配者、ショゴスなどの基本的な設定が示されているので他の作品の理解にも役立つでしょう。
    個人的には「宇宙からの色」が臨場感のある語り口でもっとも恐怖を覚えました。今まで読んだ中ではラヴクラフト作品の中でもかなり上位に位置される作品です。

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