オーリエラントの魔道師たち (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2016年6月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (268ページ) / ISBN・EAN: 9784488525057

作品紹介・あらすじ

注文を受けて粘土をこね、ろくろを回し魔法を込めた焼き物に焼く。果たして魔道師は職人か否か「陶工魔道師」、女たちの密かな魔法組織を描く「闇を抱く」、死体を用いる姿なきプアダンの魔道師の復讐譚「黒蓮華」、そして魔道ならざる魔道をあやつるもの、もうひとりの〈夜の写本師〉の物語「魔道写本師」。四つの異なる魔法を操る魔道師たちの物語を収録。日本ファンタジーの歴史を塗り替えた著者の人気シリーズ初の短編集文庫化。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

多様な魔道師たちの物語が織りなすこの短編集は、ファンタジーの新たな魅力を引き出しています。四つの異なる短編が、魔法の力を持つ者たちの生き様や葛藤を描き出し、彼らが直面する現実の厳しさや道徳的な選択が巧...

感想・レビュー・書評

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  • シリーズの中における短編を集めた作品集なのもあり、大きな物語が展開されるわけではない。描かれるのは魔道に通じる者たちの暮らしぶりや生き方についてであり、「魔法」は登場するものの何でも簡単に解決できる万能の力なんてことは無く、その力に振り回されぬよう慎重に真面目に向かい合う職業小説的な側面が強い。それもあってか魔道師を主役としていても彼らを特別扱いすることは無く、違う職能を持った人たち同士が関わる、くらいの意味合いとなっている。そんな、”市井の人々の一員として魔導師のことを知ってもらう”というフラットな視線が新鮮だった。

    「呪(まじな)い」を良心の呵責と繋げている点が特徴的で、誰かに対して害となる魔法は使うことによって自分自身の良心が傷つき、その先の人生に悪影響を与える、といった意味で「人を呪わば穴二つ」的なことを描こうとしている点も面白い。ではどのようなモラルを持って魔法を使うべきなのか、という部分が読みどころになっており、その意味で、作者が意識していたかどうかはわからないけれど、本書はメタ倫理学的な側面を持っている。善と悪について、というよりも、その基準を決めるためにはどのように物事を見つめるべきか、といった道徳を説くことより"一段階高い視座"が感じられた。

    読んでいて気持ちのいい話ばかりでは無い(と私は思う)し、気持ちのいい人物ばかりが出てくるわけでもない。しかしそのことは本小説の価値を減じるものでは全くなく、物事が簡単に白黒付くようなものではないことや、自分自身の思考や見方もまた一面的でしかないこと、そしてそれを自覚することで視界を広げて物事を見る可能性について描くことに成功している。
    大きな物語は語られないけれど、合間合間でこのファンタジー世界における歴史や国の成り立ちが見えてくるのも良かった。たぶんこの辺の話は他作品で語られているのだろうけど、英雄以外の人物に焦点をあてた本作の良さを引き立てる役割となっていたから。

    好きな話は【陶工魔道師】。上記した感想の要素がひとまとまりとして納められている。【闇を抱く】は秘密結社として結束する魔女たちの話。長編向きの題材がごろごろしてた。

  • 四編の短編集で四つの異なる魔法を操る者たちの話ですが、いずれの話にも共通しているのは日々の手仕事を惜しまずに己の技能に研鑽を重ね行動を省みて、力を得た者が成すべき事を見据えている、覚悟と肝の座りかたが実に好ましく、清々しい人たちの話でした

    『陶工魔道師』は陶芸の工房を構えながら、その焼き物に呪力を込めることのできる、陶器の魔法使いの話
    粘土を掘り出し、呪言を込めて練り上げて、釉薬を調合して焼き上げるその過程の描写がすごく面白い
    『闇を抱く』は生まれた家でも嫁ぎ先でも、理不尽な境遇に耐えることを強いられた傷付いた女性たちが、お呪(まじな)いと魔法をもって互いを救っている
    しかし魔法は当世においては禁忌であり、社会からそれを秘匿する組織も作り上げている
    『黒蓮花』はかつて故郷を滅ぼされた魔法使いが、その仇を探し出し、復讐を成し遂げる話
    途中から語り手が変わり、誰が復讐の魔道師なのかとざわつく展開になる上に、前二篇とも違う魔道師対魔道師の戦いの描写も面白く、昏い復讐譚だけど読後感は晴れやかな話
    『魔道写本師』は元々魔道に縁の無い写本師の出来の悪い見習いだった少年が魔道書の写本を手がけたことにより、己の技術を磨くこと、たゆまぬ研鑽を積むことの面白さに目覚め、文字を綴る事で発する魔法の術をも身につけた話
    他三編にも共通する、“その力を使って何を成すべきなのか”という、力を得た者の使命と責任に踏み込んだ話でもあり、そして日本の怪異譚にも通じる風味もある、力強く楽しい話です

    なお、ある一編で、猫に暴力を振るう人物が登場するのですが「にゃんこを蹴るなんて人間じゃねえ」と忌々しそうに罵る文言が4、5回繰り返し出てくるので、うっかりほっこりしてしまった
    ちなみにその蹴られたにゃんこは、本物のにゃんこではなく魔法使いが変身したものなので、実際には生にゃんこは蹴られてません
    でも、いくらフィクションでも、本物でなくても、猫が蹴られる場面を書くのは、作者さんはすごくしんどく感じていたんだろうな、絶対猫好きだな、とニヤニヤしちゃった

    乾石智子さんの作品は初読みだったのですが、これはすごい、素晴らしく面白い
    ご紹介が無ければ読む機会が持てなかった作家さんでした 

  • 短編なのにどれもしっかりとした世界観があって読んでて飽きない作品でした。
    終わり方が突然だったりするので、ここで終わり〜!先が気になる。。。とも思ったけど、でもだんだんと、いい意味で気にならなくなる良作だと思います。
    でも、いつかどこかのシリーズでチラッとでもオーリエラントの魔道師が出てくるに期待!

  • 魔導士というよりは魔法職人といったほうがいいような職人技としての魔法の描き方は相変わらず興味深い。
    魔力の源泉は心の闇だとしても、それを制御する技術としての職人的熟練が語られることで、ただ暗いだけでなく人間的な要素が加わってより魅力的に思える
    短編ということもあってか前作より表現もすっきりしてより読みやすくなっているのもよかった

  • 長編は重たくて一回ならず本を置いて寝かせる期間があるのですが、短編集なのでさくさく読めました。いろいろな魔法使いと彼らを取り巻く世界。

  • 色んな種類の魔導師が混在する世界なのね

  • 魔法の種類!

  • 2017.2/12 夜の写本師シリーズ4作目は短編集なのですね♪前の3巻からしばらくぶりに読んだけど違和感なしの濃密な世界観。市井の生活の中に沈む者たちと、手を貸す魔術師の抱える闇を丁寧に描いていて素晴らしい。前に感じた重厚さの語りの中に浮く現代口語的な文章も減ったようで良し。次つぎっ!

  • いろんな魔法が出てきて面白かった!
    「闇を抱く」が好きです。
    いや、陶工の魔法もよかったな…

  • 魔道師たるもの闇との共存は当たり前。その闇とのつき合い方に魔道師としての生き方がかかってくる。滅ぼされた一族、家族の復讐をスリリングに描く「黒蓮華」にはドキドキし、女性達の駆け込み寺みたいな魔女たちの活躍を描く「闇を抱く」は、これまで自分たちを痛めつけてきた男性を掌で転がす様がなんとも壮快。3人の女性のキャラが良くって、続編も読みたい所。

  • 様々な種類の魔道師たちの短編集

    これまでの作品では見ることのなかった魔道師や、
    馴染みの魔法
    あそこと繋がりのあるものが!と
    バラエティに富んで面白かった

    個人的にどれも読後が爽快で
    救いのある話だったなぁという印象

    魔法を使うのは全て業、というのが
    いいなと思う
    人間らしい

  • 魔導師シリーズの短編集。ファンタジーという言葉を冠したくないと思う重い闇の物語。乾石さんの物語は読むたびに 言葉の美しさ 文章の味わい深さに感動する。今回も 一気に読み進めたい気持ちを 抑えながら 少しずつ 少しずつ味わいながら読んだ。 満足。

  • 購入済み

  • 短編集の1冊。
    私は「闇を抱く」がいちばん心に残る。女性たちの密かな、しかし確固とした意思のもと、魔法を使う姿勢に、佇まいを正されるように感じた。

    私も闇を抱えている。誰しも年を重ねていけば大なり小なり闇を抱えていくのだ。それを認めて、向き合うこと。それなくして深みは増さない。

  • オーリエランドの魔道師シリーズの第四作。

    いろいろな魔法と魔道師が描かれていて良かった。
    ひとりひとりが1冊の本になるほど、
    綿密な人物背景があって、
    それを次々と読めるとはなんて贅沢。

    ホールケーキと同じぐらい、
    いや小さい分だけそれ以上に手間がかかっている美味しいプチフールを
    ひと口で食べてしまうようなもの。
    しかも細長いお皿に並べて、次々ぱくぱくと。

    人生を自分の手に取り戻した三人の魔女の話も面白かったし、
    復讐のために漂うように生きる魔道師の生き方も、
    本を与えて性根を直すチャンスを与える夜の写本師の話も面白かった。

  • この作品の発想が素晴らしいと思います
    海外ファンタジーかと思いきや、日本人が書いているのですよね

  • 不能换中文。。。リトン運命神、アイトラン気まぐれ神、イルモア大地母神、イルモネス美と芸術の女神、キサネシア健康神。生命は奪われなかったが生命より大事な何かを奪われた。。。

  • 短編集。

    少し説明的な部分は目立ったけど、面白かった。
    相変わらずダークではあるけれど、長編に比べるとダークさは薄まって戦闘場面も少なめ。
    短編の方がひとつひとつの主題がはっきり出ていて読みやすいかも知れない。やはり真面目な作家さんという印象でした。

  • それぞれ努力して力を持った魔導師や写本師が、思いを抱き日々を黙々と過ごす姿が描かれていて、ファンタジーな雰囲気も凄く惹かれるものがあるのと、自分にはここまで熱中できない部分に嫉妬すら覚えます。こういう世界だったらもっと学んで魔道師になりたいとか思えるのになとちょっと思ったり。現実より険しそうですが。そんなに分厚いものではないですが、ずっしりと話は読み応えがあると感じました。

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著者プロフィール

山形県生まれ。山形大学卒業。1999年、教育総研ファンタジー大賞を受賞。『夜の写本師』からはじまる〈オーリエラントの魔道師〉シリーズをはじめ、緻密かつスケールの大きい物語世界を生み出すハイ・ファンタジーの書き手として、読者から絶大な支持を集める。他の著書に「紐結びの魔道師」3部作(東京創元社)、『竜鏡の占人 リオランの鏡』(角川文庫)、『闇の虹水晶』(創元推理文庫)など。

「2019年 『炎のタペストリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乾石智子の作品

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