紐結びの魔道師 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
4.10
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本棚登録 : 459
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488525064

作品紹介・あらすじ

紐結びの魔道師リクエンシス。紐を様々に結ぶことで、相手を言祝ぎ、幸運を祈るかと思えば、巧みに罠をしかけもする。あるときは腹に一物ある貴石占術師を煙に巻き、魔道師を目の敵にする銀戦士と戦い、あるときは炎と大地の化け物退治に加勢し、またあるときは相棒で書記のわがまま爺さんの命を救おうと奔走し、写本の国パドゥキア目指して砂漠を横断する。コンスル帝国動乱の時代、紐結びの魔道師の活躍を描く好評シリーズ最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 出会って良かったシリーズ。魔法の説得力?と世界観の厚みは読んでて本当に楽しい。
    この巻は中でも、エンスとリコや市井の人々の交流も楽しく好きだなぁ。
    とりあえず年表作りながら読み直したい。

  • 紐結びの魔導師、リクエンシスの冒険を描く連作短編集。

    とかく昏く沈みがちな魔導師たちの中で、リクエンシスは珍しく剽軽で肉体派でもあり、人間味にあふれていて、シリーズ中の魔導師の中でもお気に入りなので、彼の人生の旅を一緒に辿るのはとても楽しかった!
    もう一人のお気に入り、ケルシュにも会えて嬉しかった!


    たったひとつ残念なのは、な〜〜んで文庫書き下ろし?!
    『夜の写本師』からずっと単行本で揃えてきたのに〜〜!
    文庫で出てから単行本には、ならないよなぁ。
    創元社さま、ファンの心を悩ませないで下さい。

  • 『オーリエラントの魔道師たち』で初登場のリクエンシス。文庫版に姿が見えないと思ったら、彼が主人公のお話は独立した短編集に。とても活き活きとして面白いお話だったから嬉しい。
    「紐結びの魔道師」「冬の孤島」「形見」「水分け」「子孫」「魔道師の憂鬱」を収録。
    美しいカバーイラストもいつものことながら嬉しい。タイトルから紐が伸びているのに思わずにやり。

    6つの物語はそれぞれ別の時代が舞台。表題作から見ると、過去はまだしも未来の遠大なことに一瞬鳩尾が冷える気分を味わった。「冬の孤島」から「形見」への落差は怖いほど。何がどうしてそうなったのか、気になって進んで魔法にかかりにいく自分を止めようがない。これはずるい。
    広大な世界に属する一部でありつつ、同時に確固としたひとつの命であること。その尊さと幸福を抱きしめられる、今回もとてもいいお話だった。ニーナとのパドゥキアでの暮らしは、きっと幸せなものになるに違いない。ケルシュの再登場も、シリーズ読者には必見。

  • 好きだなあ。おそらくシリーズ中で一番好き。

    何百年も生き続けなくてはならない魔道師たちの
    苦悩と悲哀を感じて切なくもあるけれど
    エンスの生き方のひょうひょうとしたところが
    心地いい。

    帝国の権力者や私利私欲に目のくらんだ魔道師たちと
    魔法を正しく行おうとする魔道師たちの凄惨な戦いも
    いわゆる王道ファンタジーとして心躍ったが 
    この物語の時代には帝国の力は衰え なんとなく
    人々がつましくも平和に暮らしている ゆるゆるした
    空気感があって それに包まれる感覚が好き。

    何よりもほとんど血は流れず 人が死なないのがいい。

    一方で

    普通の人間たちの短くも穏やかな一生を
    エンスはどこかで渇望している。
    日々出会う小さな美しいものへの感動を
    積み重ねて暮らしたいと願っている。

     
    盟友リコの死の危機に直面したことで
    エンスの中に深まってゆく エンスだけの苦悩が
    手に取るように伝わってくる。

    彼の孤独を癒せる者は もうこの時代にはいない。

    そう思っていたところに 物語は魔道師たちの
    長い歴史を巻き戻すかのように 太古の昔へと
    回帰してゆく。懐かしい色合いを帯びてゆく。

    エズキウム。ギデスディンの魔道師ケルシュ。

    第1作「夜の写本師」へと 歴史はめぐり
    エンスの心に生きることの喜びがよみがえる。

    素敵なラストでした。
    懐かしさと人間らしさと魔道師の誇り。
    このシリーズでわたしの心を最もとらえた
    場面はやはり ケルシュとエンスの邂逅でした。

  • オーリエラントの魔道師シリーズの第五作。

    紐結びの魔道師エンスの物語。
    腕は立つし、懐も深いし、魔法も達者(?)だし、
    ファンタジーらしからぬ明るいくキャラクターで楽しかった。
    招福の魔道師だからか。
    祐筆のリコとのコンビも面白いし。

    何百年も死なないのは、どんな人生なのだろうか。
    年齢よりずっと若く見えるが、永遠に若いわけではない。
    若く見られて嬉しくはならないだろう。
    ほとんどの人を見送ることになる。
    別れに慣れてしまうのだろうか。

    長生きだからといって、
    必ずしも金持ちになれるわけではない気がする。
    そもそも金は必要だとして、金持ちになりたいのだろうか。
    物に執着するだろうか、広い館に住みたいだろうか。
    自分はスナフキンのように、旅から旅へと暮らす気がする。

    冒険をするような年ではないといいつつ、
    新しい土地へ、人生へと旅をはじめる「魔道師の憂鬱」が面白かった。

  • オーリエラントの魔道師シリーズの中で、一緒にいていちばん安心できそうな魔道師の話。
    闇を身に持ちそれを自覚しながら生きていくリクエンシスが頼もしい。あと単純に紐がたくさん結ばれているのを想像するとかわいい。

  • シリーズの中では1番好きかもしれない。
    エンスの飄々とした生き方と、時々の相棒との掛け合いも面白かった。
    エンスとニーナがこの先どう生きて行くのか、とっても気になる。

  • シリーズが出ているので、空いた時間にKindleでダウンロードして読みたくなる

  • シリーズ第5弾は一人の魔導師の短編集
    解説の池澤春奈と同じでリクエンシスが今のところ一番のお気に入り♡

  • 短編集だが最初の一編が「オーリエラントの魔道師たち」と同じだったので、間違えたかと思ったが、次からは新しい物語でした。リクエンシスの軽やかな、けれど長い長い人生。次作にニーナは出てくるのかな。あ、ケルシュが出てきた! 巻末の年表がありがたい。

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著者プロフィール

山形県生まれ。山形大学卒業。1999年、教育総研ファンタジー大賞を受賞。『夜の写本師』からはじまる〈オーリエラントの魔道師〉シリーズをはじめ、緻密かつスケールの大きい物語世界を生み出すハイ・ファンタジーの書き手として、読者から絶大な支持を集める。他の著書に「紐結びの魔道師」3部作(東京創元社)、『竜鏡の占人 リオランの鏡』(角川文庫)、『闇の虹水晶』(創元推理文庫)など。

「2019年 『炎のタペストリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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