沈黙の書 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488525071

作品紹介・あらすじ

火の時代、絶望の時代が近づいている。戦が始まる。おだやかな日々は吹き払われ、人々は踏み潰される。予言者が火の時代と呼んだそのさなか、いまだ無垢である〈風森村〉に、〈風の息子〉は生をうけた。彼が笑えばそよ風が吹き、泣けば小さなつむじ風が渦を巻いた。だが〈長い影の男〉がやってきたときすべてが変わった。人気ファンタジー〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ。コンスル帝国創世記の激動期を描く、シリーズ最初の物語。

感想・レビュー・書評

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  • とても楽しみに待っていた作品なのに、集中できていなかったのかなんなのか、どのように感想を書いたらいいのかわからずに戸惑っている。もしかしたら、これまで読んだシリーズのなかでいちばん地味と言えるかもしれない。ただ、地味だからおもしろくないわけではない。この物語を通して著者が提示して見せたものには、簡単には飲みこめない奥行きがあると感じられた。また、コンスル帝国の建国以前の話ということもあり、登場するひとびとの素朴さも際立つ。その無垢さ純粋さがこの小説の静けさを作り、祈りのような佇まいになったのかもしれない。
    (冒頭に“戸惑っている”と書きはしたが、ぐわりと込み上げる衝動になんど涙目になったことか。この物語の主人公は、その純粋さゆえに利用されなぶられ打ちのめされるのに、しかしおのれが背負った宿命を手放さぬたくましい生命。彼を追い立て、もり立て、立ち向かわんと駆り立てるもの、希望を見出だしたものが何だったのか。それをいっしょに見つけられたような気がして幸せだった。)

  • オーリエラントの魔道師シリーズの第六作。

    コンスル帝国が生まれるずっと前、
    オーリエラントがオーリエラントとなった頃のお話。

    生まれながらにして風や雨や月を動かす純粋な子供たちが、
    騙され連れ去られ裏切られるのは、
    なぜか他の物語よりもつらいものがあった。

    それと、
    「北の蛮族」がどうも受け入れられなかった。
    片や家畜をもち、畑を耕し、言葉を操る人間たちに対して、
    それらを知らない持たない蛮族が同時に存在している世界に
    違和感があるというか。
    ファンタジーなので何でもあり、と言えば、ありなのだが、
    人間よりも体も大きく、力も強い「蛮族」の姿に、
    ホモ・サピエンスと同時代を生きていたネンデルタール人を重ねているのかもしれない。
    その頃は、ホモ・サピエンスも大してしゃべれていなかったというか、
    大した違いはなかったはず。

    著者のあとがきに、
    他人のために何かをすることに喜びを感じるのが
    ホモ・サピエンスの本質だ、ということとが書かれていたが、
    少なくとも、他の個体とのつながりが重要であり、
    それは、より小さく弱かった私たちが
    集団としてしか生き残れなかった結果なのだと思う。

    それは喜びであり、ときには悲しい宿命でもある。

  • 2019/01/13

  • なるほど「whole land」が語源か。そしてここにも大地に囚われた竜。ただこちらは良く喋る…。シリーズの時系列で言うと最初期だが魔道師自体はすでに存在し、そして<闇>の元となる存在もすでにある。まあ<闇>なんてものは人間が存在を始めた時から共にあるんだろうな。シリーズの中でもよりファンタジー色が強く、神話の世界を覗いているようだった。

  • 読むのを忘れていた模様。
    ここから色々始まったのか… そして国の名前の付け方が面白かった。なるほど、そういう言葉遊びからできているんだ、みたいな。

    ヒアルシュはなんて言うのか不運な人だなぁ。
    良心や良識が無ければもっとラクに生きられたのだろうか…なんて考えてしまう。それを失ってはオシマイではありますが。とは言え自分は間違ってないと信じて戦いを続ける方が、本当は恐ろしい存在のように思ったりします。

    最新作(だと思う)で年表を付けてくれるようになったのがありがたかったです。

  • この方の本はいつも女性キャラに疑問を抱いてしまうのだが(女性作家の割に結構男性目線に感じるので)、これは素直に心に入ってきた。面白かった。

  • 第6弾でシリーズ始まりの書

  • 読了すると、この厚みの本にこれだけの内容が!?と改めてびっくり。面白い!!! 乾石智子氏、個人的に今イチオシです。

  • 今までのシリーズでは、一番好きかも。
    大好きな、ドラゴンが出てきたから?(笑)
    それも含め、物語性が強いからなのかも。伝説、という感じがする。

    個人的には、海賊王が好き。
    かっこよすぎる。

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著者プロフィール

山形県生まれ。山形大学卒業。1999年、教育総研ファンタジー大賞を受賞。『夜の写本師』からはじまる〈オーリエラントの魔道師〉シリーズをはじめ、緻密かつスケールの大きい物語世界を生み出すハイ・ファンタジーの書き手として、読者から絶大な支持を集める。他の著書に「紐結びの魔道師」3部作(東京創元社)、『竜鏡の占人 リオランの鏡』(角川文庫)、『闇の虹水晶』(創元推理文庫)など。

「2019年 『炎のタペストリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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