夜の庭師 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 167
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488539023

作品紹介・あらすじ

モリーは14歳、思いのままに物語を紡ぐ天性の語り手だ。弟のキップとふたり、アイルランドから海を渡って命からがらイングランドに辿り着き、ようやく雇ってくれる屋敷をみつけたものの、そこで彼らを待っていたのは巨木に取り込まれたかのような奇怪な屋敷と、青白い顔をした主人一家、そして夜中に屋敷を歩き回る不気味な男の影……夜の庭師だった。カナダ図書館協会児童図書賞受賞。ディズニー映画化の傑作ゴーストストーリー。訳者あとがき=山田順子

感想・レビュー・書評

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  • ゴシックホラー風味の児童文学。
    健気な姉弟が働くことになったお屋敷では‥?

    19世紀アイルランドでは飢饉が起こり、食べるにも困った国民は、生き延びるために、多くが移住するしかなくなります。
    船で親とはぐれた14歳のモリーは弟キップと共に、命からがらイングランドにたどり着きました。

    やっと見つけた仕事は、町外れのお屋敷のメイドと庭師。
    出会う人はみな止めたのですが。
    そこには異様な巨木が家を取り込むかのようにそびえ、夜には庭を動く何者かの気配が‥
    奥様と子どもたちは青白く、留守がちな旦那様はなにかのトラブルを抱えている様子。

    キップに言えない秘密を抱えたモリーは、お屋敷の謎に関わり、思わぬことに。
    弟思いでしっかり者の姉と、ぼんやりしているようでいろいろなことをちゃんと見ている幼い弟。
    二人の成長譚でもあります。

    ホラーっぽいので夏向きかと。
    本当に怖いのは苦手ですが、児童文学風味のこれぐらいなら大丈夫(笑)
    子どもたちの生命力に救われます☆

  • 灰色の風が吹く。
    いや、確かに空は晴れているのに、おかしなことだがこの姉弟のいく先は鈍色に染められているのだ。

    そのお屋敷は草に覆われ、蔦が這い、屋根はたわみ、苔がはびこっていた。
    そして一本の古い木が、主人のように植わっている。
    たいていの場合、大きな古い木は優しさを湛え、見守るように聳えているものだが、この期に限ってはそうではない。
    その幹に、枝に、根に、すべてに邪悪な雰囲気をまとっているのだ。
    なぜか。
    それはその木が、人の欲しいと願うものをどこからか出すからだ。
    そのどこが悪いのか、って?
    本当にそう思うかい?
    ものを与える行為は決して一方的な愛の行為ではない。
    必ずその代償がある。

    モリーとキップ、姉と弟は懸命に働いた。
    そして彼らが一番願うもの、心から望むものを得た。
    しかし、それは、「希望」ではない。

    ひたひたと音を立て迫ってくる「夜の庭師」。
    どこでその男は間違ってしまったんだろう、その疑問にキップは後にこう答えを出す。
    守ってくれる姉、モリーがいなかったからだ、と。
    支えてくれる人がいるから、助けてくれる人がいるから、信じてくれる人がいるから、人は間違いに気づけるし、間違いを正せる。
    屋敷の主人の子供たち、アリステアとペニーの兄妹もそうして間違いに気付き、ただせた。
    君たちなら大丈夫。
    まだまだこの子供達には困難があるだろう、しかしどうかこの子たちの未来が美しいお話で満たされるものでありますように。
    鈍色の雲のうえには、蒼天が広がっている。

  • おもしろかったし、涙する場面もいくつかあり、本当に「物語」を読んだ充実感。
    モリーとキップ、幼いのに強すぎる!
    ただ歴史的背景を知ったら、こうやって生きていた子どもたちが実際にいたと思われ、心が痛む。

    ディズニー映画化、楽しみなような、映画化してほしくないような、複雑な気分。

  • カナダ図書館協会児童図書賞受賞作。映画化も決定しているらしい。
    ホラーというよりは幼い主人公姉弟の成長譚としての性格が強かった。

  • 装丁とタイトルからもう少し叙情的なのかなと思って読んだら、ガチにゴシックホラーだった。でも少年少女の成長物語でもあり、家族の再生物語でもあり、なかなか面白かった。夜の庭師のいわくがもう少しだけ捻りがあると良かったかな。

  • タイトルから秘密の花園的ファンタジーを想像したけど、呼んでみたらファンタジーホラーだった。ただしホラー成分は低め。どちらかと言えば少年少女の成長物語。弟くんがイケメンである。物語の中身には関係ないが、「棺桶船」は場所を変えて現在も生き残り、歴史は繰り返されている。それを思うと、人類の未来には闇しか見えない……

  • 故郷を離れイングランドへ辿りついたモリーとキップ姉弟。
    メイドと庭師として働くことになった屋敷には、生気のない一家と夜の男。
    姉弟の成長は大人になることを強いられているようにも見えて、少し痛々しい。それでも最終章のモリーが語り部として楽しそうで本当に良かった。
    これだけ児童文学の王道な作品を、いきなり創元推理文庫で刊行してるのにちょっと驚いた。岩波少年文庫あたりで読んだ懐かしい感覚。
    見落としてるだけでハードカバーも出てるのかな。
    ホラー要素強めなんだけど、恐怖より不思議さの方が印象に残った。
    ホラーファンタジー、かな。

  • ディズニーが映画化するというのも納得の良質なゴーストストーリー、そして孤児のモリーとキップの成長物語!著者が9年かけて仕上げただけあって、非の打ち所がない内容と飽きさせない展開。普段、あまりファンタジーは読みませんが、幽霊モノと聞いて手に取り、あっという間に物語に引きこまれてしまいました。お陰で登場人物たちとシンクロしてか?連日悪夢にうなされるというほどのめり込んで読ませていただきました!

  • 2017/03/09了読。
    2017年2冊目。
    通勤時にちょっとずつ読んでたので、時間がやたらかかってしまったけれど、最初の一行目から物語の魔法にかかってしまった、幸せなひと時でした。
    内容としてはダークファンタジー寄りのホラー。
    タイトルから連想していた夜の庭師と実際に出てきた庭師の印象が随分違っていて…思ってたよりホラー要素高めでした。

    19世紀半ばのじゃがいも飢饉、アイルランドの多くの人々が飢えで餓死するか、命を懸けて母国を捨ててイギリスやアメリカに渡らなければならなかった。そういうことも、世界史をきちんと勉強していなかったので知らず…(高校は受験対策で日本史だったから…という言い訳)
    その時代に両親と船ではぐれて二人だけになってしまった赤髪の姉弟、モリーとキップ。
    二人が奉公に向かったウィンザー家の主人夫婦と子供たち、語り部のへスターケトル。
    登場人物が皆魅力的で、物語ることの喜び、読書の楽しさに浸れた一冊でした。
    ジョナサン・オージェ。もっと読んでみたいです。
    それにしても、せめて月一冊くらいは読みたいなあ…

  • 14歳のモリーは自分が考えた話を語り聞かせるのが得意な少女だ。足が悪い弟のキップと二人、命からがらイングランドに辿り着き、ようやく雇ってくれるところを見つけた。
    しかし、巨木に取り込まれたかのような屋敷に暮らす主人たちの一家は皆青白い顔をしており、夜中になると不気味な人影が屋敷を徘徊する…。

    面白くないわけじゃないのだけど、あんまりあっと驚く展開はなかったかなぁ。
    個人的にはぐいぐい読ませる物語ではなかったのでいまいち盛り上がれなかった。
    主人一家にそんなに興味を持てなかったからかなぁ…。もっとこう「この人たち何なんだ!?」って思わせる魅力が欲しかった。おどろおどろしさというか、気味の悪さというか。
    でも終盤で急展開が訪れるので、そこはちょっとハラハラドキドキしたかな。
    ディズニーで映画化決定らしいですが、この話をどう面白くするのか気になるところではあります。

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