- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488550028
作品紹介・あらすじ
人の世はなんとおぞましく、美しいのだろう-。若く美しいまま亡くなった妹の思い出を残したいと、凄腕だという遺体専門のカメラマンに写真撮影を依頼した早苗。ところが…。初恋、純愛、そして日常と非日常への切望の数々。赤々とした、炎のような何かに身を焦がす者たちの行く末を、切ない余韻の残る筆致で巧みに描く。直木賞作家・朱川湊人の真骨頂を、連作集であなたに。
感想・レビュー・書評
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「アクロトモフィリア」 腕や足のない人を愛するというもの。
魂で愛する人がもしアクロトモフィリアだったら…。
永遠に彼の1番にはなれないのだとしたら…。
女にとってそれは苦しみ以外なにものでもない。
「Mさんに幸せと満足を与えられるのは、この世で私ただ一人です。」
失わなければ得られないものもあるんだろうな。
そんな情念がとても好き。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホラーテイストな短編小説。
ちょうどSimon & GarfunkelのApril Come She Willを聴いていたのもあり、レイニーエレーンが好き。
「ヤスラカニネムレ、ワスレナイ」からの「君が好きだった」でグッときた。 -
本作品はネクロフィリアやアポテムノフィリアという病的なテーマを扱っているので嫌悪感を覚える読者もいるだろう。相変わらずネタもバラエティーに富んで読ませる力もあるので、やっぱりこの人の短編集はハズレが無い。物語途中から急に気色悪くなる展開の斬れ味は流石。この展開の落差が病みつきになる。泣かせどこなど1片も無くグロい話なんだけど、どこか美しくさせるのも朱川湊人の筆力と人柄であろう(笑)。歪みきった愛や性癖のおぞましさを切なく感じた心の余韻は今もざらついている。
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うますぎ。ぞわぞわっと薄気味悪くなるのが、官能めいてすらいてたまらない。文体のしんしんとした静けさがまたいい。
…わたしはホラーだとは思わないんだよねえこれ。乱歩をホラーだとは思わないように。 -
創元推理文庫だけど推理ものではなく、連作集とあるけど連作という感じでもなく。でも、幻想的できれいな結構好きな雰囲気の作品でした。朱川さんは初だったのですが、解説によるとこの作品は「らしくない」みたい。とりあえず他の作品も読んでみたい。
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もうとにかく怖い。ホラー。エログロ。
こんなの書いていいんか???というくらいの徹底ぶりを感じる…凄かった…。
まさか屍姦ネタと両腕欠損愛好が出ると思わないじゃないですか…。 -
普通、ではない人達の愛情のお話
怖さもあり、切なさもあり
「わたしはフランセス」が好き
なんとなく、文庫じゃなくてハードカバーで読めて良かった
っておもいました、なんとなく
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少しグロくて少しホラーでファンタジーな短編集。たぶん同じ設定で同じようなストーリーを経ても、ラストが違う方向に転べば好きな人はたくさんいるのだと思います。でもこれ、好きだ!と言い切ると人格を疑われそうなラストが並んでいます。印象深かったのは一番最初だからか衝撃が大きかった「死体写真師」とラストシーンに心のおさまりがつかずしばらく放心した「レイニー・エレーン」。好みは「私はフランセス」と「アタシの、いちばん、ほしいもの」。誰にでもすすめられるものではありませんが、私はこのダークな世界観がかなり好きです。