きらめく共和国 (創元推理文庫)

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  • 東京創元社 (2025年1月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784488552084

作品紹介・あらすじ

これは、現代をひもとく最良の寓話。
奇妙な子どもたちは、盗みを働き、大人を襲い、
そして32人が一斉に死んだ。
美しくも恐ろしい子どもたちの共和国

1994年、緑のジャングルと茶色い川をかかえる亜熱帯の町に、理解不能な言葉を話す9歳から13歳の子どもたちの集団がどこからともなく現れた。その存在は徐々に大人たちの日常に罅を入れていき、やがてスーパー襲撃という大事件を起こす。そして数ヶ月後、32人の子どもたちは一斉に命を落とすに至ったのだった――。現代スペインを代表する作家が描く、子どものかわいらしさと暴力性、野生と文明……一読忘れがたき恐るべき寓話が文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 「きらめく共和国」書評 底知れぬ人類の闇の裏に|好書好日(朝日新聞掲載:2021年01月16日)
    https://book.asahi.com/article/14109598

    Web東京創元社マガジン : 22か国語で翻訳、エラルデ小説賞受賞。純粋で残酷で奇妙な子どもたちの物語。アンドレス・バルバ『きらめく共和国』(2020年11月11日)
    https://www.webmysteries.jp/archives/24710403.html

    アンドレス・バルバ (Andrés Barba) | ICEX
    https://www.newspanishbooks.jp/author/antoresuharuha-andres-barba

    スペイン語専門オンライン書店 ミランフ洋書店 宇野和美さん(第1回) | 連載インタビュー「外国語をめぐる書店」 | web ふらんす(2023.12.11)
    https://webfrance.hakusuisha.co.jp/posts/7695

    訳者の言いわけ
    https://unokazumi.blogspot.com/

    ※単行本
    Hirona Hara(@hirona26) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/hirona26/

    hiroringo_top
    http://hiroringo.com/

    きらめく共和国 - アンドレス・バルバ/宇野和美 訳|東京創元社
    https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488552084
    (単行本)
    https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488011055

  • 皆川博子さんの書評エッセイで気になっていた本がいつのまにか文庫になっていたのでやっと読みました。

    ジャングルと大きな川に挟まれた南米の町サンクリストバルで、22年前の1994年、どこからともなく集まってきた9~13歳くらいの32人の子供たちが、窃盗を繰り返しスーパーを襲撃して殺人事件まで起こし、最終的に全員が死亡した。当時のことを、市役所の福祉課長だった語り手が回想するドキュメンタリー風の物語。事件も、サンクリストバルという南米ではありふれた名の街もすべて架空のお話なのに、奇妙なリアリティがあり、読後感は『蝿の王』あたりに近い。

    32人の子供たちは降ってわいたエイリアンなどではなく、近隣の街からそれぞれバラバラに、なぜかサンクリストバルに集まって来てしまった。とくに素行が悪いとかもとから孤児だったわけでもなさそうで、まるでハーメルンの笛吹のような謎現象。彼らはサンクリストバルでストリートチルドレン化する。

    しかし決まったリーダーがいるわけではなく、いくつかのグループがなんとなく集まっては、通行人を襲って引ったくりをしたり、クリスマスに配布された食料をめちゃくちゃにしたり。そして彼らのあいだでしか通じない独自の言語を話すように。

    警察も役所も、うっすら困りつつ放置しているうちに、致命的な事件が起こってしまう。それが子供たちによるスーパー「ダコタ」襲撃事件。こちらも計画的犯行というよりは行き当たりばったりっぽく、しかし結果的に二人の死者(スーパーの客)が出てしまった。

    警察はさすがに本腰を入れて子供たちの捕獲に乗り出すが、子供たちは忽然と姿を消しいっこうに見つからない。だがこの32人の子供たちの存在は、他の普通の子供たちにも奇妙な影響を与え始める。彼らの一人に恋し、彼らの言語を理解するようになった少女の日記。彼らの夢を見たと言い張る子供たちの登場。そしてついに、普通の家庭の子供たちが、一人、また一人と姿を消し彼らに合流していく。

    子供が失踪した家庭の親は血眼になって我が子を探し、32人を早く補導するよう警察や市役所を弾劾する。語り手は3歳年上のバイオリン教師マヤと結婚していたが、マヤの連れ子ニーニャの父親が、再婚後に生まれた息子が失踪したと語り手に捜索を依頼してきたりもする。

    住民たちと警察はついに一丸となってジャングルの捜査を開始。だがなかなか子供たちは見つからず、ついに語り手が一人の少年を発見、もみ合いになりナイフで刺されながらも彼を確保し、警察に引き渡す。この少年をじわじわと精神的に追い詰めた大人たちは、ついに彼の口から他の子供たちの隠れ場所を聞き出す。それは下水管の中だった。

    大人たちは周到な計画をたて、下水管の中を捜査し、ある場所に辿りつく。そこは子供たちがねぐらにしていたと思しき場所で、マンホールの隙間から日の光が差し込み、壁一面に子どもたちが貼ったガラスや瓶の欠片できらきらと輝いていた。だがそこに子どもたちは一人もいない。そのとき水圧が変化し避難命令が出て、大人たちは大急ぎで地上へ脱出する。

    実は子供たちは大人たちがみつけた場所のさらに下層に隠れていたのだが、重みで水圧が変化し、水が溢れて彼らは全員溺死したのだった。

    最終的にここであがった遺体の数が32人分だったため、子供たちの数は32人と表現されているけれど、実はこれ以前にジャングルで蛇に噛まれて命を落とした子もいるし、最初に捕まって仲間の居場所を教えた少年は、結果的に生き延びた。

  • あらすじからはミステリーやクライムサスペンス的に進んでいくのかか?と思っていたら、意外とおとぎ話な雰囲気があっていい意味で裏切らた。
    あと子どもは結構残酷だったり、力を使うことに躊躇がなかったりする生きもので、大人が思う子ども像って「子どもはこうあって欲しい」という願望なのかもしれないと、子どもを見る目をアップデートしてくれた。

  • おもしろかった、んだけど、どんな感想を持ったか言い難い。
    どういう展開になるのか気になって惹き込まれ一気読みしてしまうが、
    じゃあ結局なんだったのかというと…なんだろう。
    映画『怪物』を観た時の後の感覚と似てる。
    彼ら、彼らというのは本著ならいちばんに子どもたちであり『怪物』なら主演の2人の子どもだが、
    それに準じて登場人物の全員も含むのだが、
    結局彼らは救われたのかな?という思い。
    モヤモヤする、という訳ではなくて、
    フライパンの上に薄く広がった希望の隅に、ひとつまみ分だけ焦げついたそこはかとない絶望みたいな。
    希望的に思える気がするのに、確実に真っ黒く印付けられた絶望感。

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著者プロフィール

宇野和美(うの・かずみ)

東京外国語大学スペイン語学科卒業。出版社勤務を経てスペイン語翻訳に携わる。
訳書に、グアダルーペ・ネッテル『花びらとその他の不穏な物語』『赤い魚の夫婦』(ともに現代書館)、アナ・マリア・マトゥーテ『小鳥たち マトゥーテ短篇選』(東宣出版)、アンドレス・バルバ『きらめく共和国』(東京創元社)、ハビエル・セルカス『サラミスの兵士たち』(河出書房新社)、マリア・ヘッセ『わたしはフリーダ・カーロ』(花伝社)など多数。

「2023年 『吹きさらう風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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