猫のまぼろし、猫のまどわし (創元推理文庫)

制作 : 東 雅夫 
  • 東京創元社
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本棚登録 : 109
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488564056

作品紹介・あらすじ

猫は愛らしいだけじゃない。不思議な猫、妖しい猫、なぜか作家心をくすぐる存在なのだ。萩原朔太郎「ウォーソン夫人の黒猫」、江戸川乱歩「猫町」、岡本綺堂「猫騒動」、泉鏡花「駒の話」、ペロー「猫の親方 あるいは長靴をはいた猫」、レ・ファニュ「白い猫」、ブラックウッド「古い魔術」、ミットフォード「ヴァンパイア・キャット」等、猫のあやかしを通じて東西の怪奇幻想譚を読み較べる、猫づくしの短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 東西の謎めいた猫の怪奇幻想譚21篇からなる、アンソロジー。
    「猫」別役実
    パート1 猫町を探して・・・猫町(萩原朔太郎、江戸川乱歩)など。
    パート2 虚実のあわいにニャーオ・・・駒の話、支柱上の猫など。
    パート3 怪猫、海をわたる・・・鍋島猫騒動、忠猫の話など。
    「猫の親方 あるいは長靴をはいた猫」ペロー(澁澤龍彦訳)
    編者解説、底本一覧有り。
    古今東西、猫にまつわる怪奇と幻想は、恐ろしくとも、
    人を魅了するものがあります。その中から選ばれた21篇。
    三つのパートそれぞれに
    パート1は、2篇の“猫町”と評論、エッセイ、オマージュ的作品。
    ブラックウッドの「古い魔術」は別の翻訳で数編読んでましたが、
    まさかの西條八十の翻訳と出会うとは!
    パート2は、虚実の、幻の猫や化け猫、人語を話す、聞き分ける猫。
    幻想&怪奇の様々な物語がなにかしら繋がっているのが良い。
    「駒の話」泉鏡花と「猫騒動」岡本綺堂の作品が秀逸。
    パート3は、“鍋島猫騒動”から繋がる東西。
    この物語の和本と完成するのに必要な三つの要素、
    イギリスに渡った“猫騒動”や呪い、忠猫、映像の話まで。
    なんといってもレ・ファニュの「白い猫」の怖さよ!
    熱く語る編者解説も楽しかったです。アンソロジー・レストラン♪

  • 猫にまつわる不思議な話のアンソロジー。作品も良いのだけど、掲載順が良い。猫の街を描く東西の代表作として萩原朔太郎「猫町」とブラックウッド「古い魔術」を読んでから、これらの作品に関する江戸川乱歩のエッセイを読む。日本の怪談がイギリスに紹介された例として、明治の草双紙「鍋島猫騒動」とその解説を読んでから、それを題材にした英国版「ナベシマの吸血猫」を読む。ただの短編集ではない工夫が面白い。
    岡本綺堂と日影丈吉は初めて読んだけど、他の作品も読みたくなった。

  • 今回も東さんの編集の面白さを楽しめるアンソロジーでした。気になるところからバラバラに読むのではなく、頭から順番に読む事で感じられる面白さがプラスアルファとして存在する編集。もちろん収録された作品はどれも単発で読んでも面白かったり興味深かったりするのですが、「ココ」に編集したことに意味があるってのが、ほんと毎回面白い。(そこらへんの編集主旨を編者解説でしてくれるので、解説を読むのは最後に取っておくのがオススメ)

    三部構成で、第一部は萩原朔太郎の「猫町」とブラックウッドの「古い魔術」、そして乱歩の猫町解説を並べて読める面白さ。(しかも、ブラックウッドは西条八十の訳文とは!)
    第二部の幻想・怪談味のある猫物語。第三部は猫の怪談話といえば鍋島!と一冊猫まみれの妖怪猫物語、堪能しました。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50115683

  • 「猫」の怪奇文学アンソロジー。山ほどの猫小説に埋もれる心づもりでいたら、ふいに現れる文人の批評から先に読んだ作品を読み直すことになり、気づけばまた別の作品群にぬるりと滑り込ませられている。まるで化かされたような心地で、それが小気味よく心憎い。アンソロジーってこういうところだなー、と何度目かの感慨に浸った。編者のチェシャ猫笑いが目に浮かぶ。解説のはっちゃけ具合からしてももう。
    この中では一番のボリュームの「古い魔術」がとりわけ印象的。街の住人達のふとした動きや、ヴェジンとイルゼの初対面の接触(ヴェジンが偶然触れたのではなく、イルゼから触れにいったように思われて仕方ない)といったところに、つぶさな現実の観察を基礎にした幻惑が見いだせる。翻弄されるヴェジンに引き込まれるのがしんどくもあり、また楽しくもあった。
    それから、鍋島猫騒動をイギリスに紹介した「ナベシマの吸血猫」も。日本語→英語→日本語と変遷していることを踏まえてか、円城塔の訳がやけにシュールで、同じ日本の話とは思われなくて面白い。

  • 猫好きにはたまらない猫幻想アンソロジー。中には怖いと思えるものもあるのだけれど、猫好きとしてはやはりどれもが素敵だと思ってしまいます。
    お気に入りは泉鏡花「駒の話」。この駒が、この本に登場する猫の中では一番魅力的じゃないでしょうか。可愛くって、美しくって、実に強い。とことん素晴らしい猫です。
    オドネル「支柱上の猫」も好き。こんな幽霊なら見たい! と思いました。
    萩原朔太郎「猫町」とブラックウッド「古い魔術」は、実は読んだことがなかったのだけれど。この二作を並べて読むと効果倍増、という気がしますね。まさしく不思議な町に迷い込んでしまいそうな心地に陥りました。

  • 東西妖猫傑作選だニャー
    古今東西の化けニャンなので、其々に前説なんかを付けてくれた方が楽しみやすいと思うにゃ

  • 『猫』をテーマにしたアンソロジー。
    やっぱりこのテーマだと『猫町』は外せないよね〜。
    ここのところ、小説だけでなく、評論やエッセイなども収録したアンソロジーをよく見かけるが、本書もそうだった。

  • 知らない作品に出逢えると思うと今からドキドキする、、、

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    猫は愛らしいだけじゃない不思議な猫、妖しい猫、なぜか作家心をくすぐる存在なのだ。猫のあやかしを通じて東西の怪奇幻想譚を読み較べる、猫の魅力満載の贅沢な短編集。
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488564056

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