10の奇妙な話 (創元推理文庫 F シ 10-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488594039

作品紹介・あらすじ

命を助けた若者に、つらい人生を歩んできたゆえの奇怪な風貌を罵倒され、心が折れてしまった老姉妹。10年にわたり、部屋で安らかに眠り続ける少年。敷地内に薄暗い洞窟を持つ金持ち夫婦に雇われて、“隠者”となった男。“蝶の修理屋”を志し、手術道具を使って博物館の標本の蝶を蘇らせようとする少年。ブッカー賞最終候補の著者が、日常と異常の境界を越えてしまい異様な事態を引き起こした人々を描く、奇妙で愛おしい珠玉の短編集。デイヴィッド・ロバーツの挿画10点掲載、文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 訳者があとがきでこう書いている。
    「この短編は日常の中に潜む境界線と接した瞬間の人びとが巧みに描かれている。それは、狂気と正気の境界線であったり、日常と非日常の境界線であったり…」
    奇妙な話なんだけど起こり得るかも。
    その時、人はどう行動するのか。
    著者の巧みな文章と想像力に引き込まれる。

  • 祝文庫化

    ミック・ジャクソン『10の奇妙な話』(執筆者・田内志文) | 翻訳ミステリー大賞シンジケート
    http://honyakumystery.jp/1454971377

    Mick jackson
    http://www.mickjackson.com/

    DAVID ROBERTS ILLUSTRATION - Home
    http://davidrobertsillustration.com/index.html

    10の奇妙な話 - ミック・ジャクソン/田内志文 訳|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488594039

  • 「ピアース姉妹」「眠れる少年」「地下をゆく船」「蝶の修理屋」「隠者求む」「宇宙人にさらわれた」「骨集めの娘」「もはや跡形もなく」「川を渡る」「ボタン泥棒」の10作収録。

    奇妙で風変わりな作品たち。「宇宙人にさらわれた」が断トツに面白かった。「もはや跡形もなく」もよかったな。

    「ピアース姉妹」
    貧しく報われない老姉妹のピュアな狂気。

    「眠れる少年」
    長年眠り続けた後に目覚めた少年の孤独。"三年寝太郎" を思い出した。

    「地下をゆく船」
    ボート作り、そして地下室の穴堀りに専念する老後。

    「蝶の修理屋」
    標本にされた美しい蝶を生き返らせようとする少年。

    「隠者求む」
    大金持ち夫婦が余興に雇った隠者が禍をもたらす。

    「宇宙人にさらわれた」
    子供の他愛ない空想が大騒動に。群集心理!

    「骨集めの娘」
    遺骨収集に勤しむ少女の祖父との別れ。

    「もはや跡形もなく」
    母親と喧嘩し家を飛び出した少年が森で野生児へと成長する。

    「川を渡る」
    道を間違えた霊柩車。川向こうの教会へ柩を運ぶため渡し船を使うが。コメディ。

    「ボタン泥棒」
    意地悪な老馬にお気に入りのコートのボタンを食べられてしまった少女。コメディ。

  • 狂気と正気の境界線、越えてしまったり、戻ってきたり。
    寒々として冷んやりしていて灰色な、雨降りの冬のイギリス様な世にも奇妙な物語。
    挿絵がいい!

  • 「こうしてイギリスから熊がいなくなりました」繋がりで、また同じく挿絵のデイヴィッド・ロバーツに惹かれて。

    ・ピアース姉妹
    ・ボタン泥棒
    ・宇宙人にさらわれた

    がお気に入り。
    どれもブラックユーモア的で、挿絵が今にも飛び出し動き出しそうな物語たち。

  • これぞ洋書。スピーディな展開でよし。
    ゾゾッとする話や、ほっこりする話がある☺️
    表紙怖とおもったけど、読み進むとなんか可愛く思えてくる。

  • 確かに奇妙な話だった。
    うわ〜みたいなのとか、なんやこれ?みたいなのとか。
    物語それぞれに独特の雰囲気があった。

  • 一番最初の「ピアース姉妹」を立ち読みして、読み終わったら知らないうちに書店のレジに並んでいた。内容は極めて残酷なのに、文体は淡々としており決して恐怖を煽るような形ではない。そのコントラストが作品に更なる異様な不気味さを与えている。

    2番目以降の作品も同様、主人公の静と動の心の動きが微妙なバランスで同居しており、それが作品の奇妙さを際立たせ、全体として不思議な世界が広がっている。読後に微かな引っ掛かりが生成し、時間がたってもなかなか取れない何かが残っている。それが理不尽さなのか、ある種の快感なのか、今でも判らない。

    次作にも大いに期待している。

  • ブクログのおすすめ本で紹介されていたので読んでみた。タイトル通りなんとも奇妙な内容の短編集。ミステリのようでありSFやサイコパスのようであり、優れた純文学のようでもあり‥読み手によって評価は変わるだろう。どれも三人称で書かれた文体は村上春樹やブラッドベリを思わせる。


    アダムス・ファミリーのような挿し絵の雰囲気がストーリーを端的に表現している。どの話も最初のページの挿し絵に謎解きがあり、それが物語のオチになっている。サクッと読めてゾクッとする、おすすめの本である。

  • 奇妙な10の短篇集。穏やかに暮らしている人が何かに巻き込まれた途端に現れる奇妙な一面がさらりと描かれています。白黒の挿絵もこの作品にとても合っていて、このテイスト大好きです。

    どの作品も個人的には好み(珍しく外れなし)ですが特に好きなのは、少年少女が主人公の少しダークで不可思議なお話の「蝶の修理屋」と「骨集めの娘」です。

    「ピアース姉妹」
    浜辺の家で穏やかに暮らしていた姉妹が繰り広げるホラー。

    「地下をゆく舟」
    途中までコメディかと思いきや、「いやいやこれヤバくない?」と主人公と一緒に濁流に流されながらラストへ。悲しみや寂しさを感じる終わり方。

    「蝶の修理屋」
    こんなに綺麗な画を思い浮かべられる作品は久しぶり。彼に修理された蝶を見てみたい。死にたくはないですが(笑)

    「隠者求む」
    サキっぽいですね。もちろん好きです。

    「宇宙人にさらわれた」
    子供たちの暴走。絵本っぽくてかわいい。

    「骨集めの娘」
    少女は丘の上で集めた骨でネックレスを作る。でもその骨は何の骨?

    「もはや跡形もなく」
    母親が少年を捨てたのか、少年が母親を捨てたのか。

    「川を渡る」
    ご遺体がひどい目に合うのにクスクス笑いながら読みました。すみません(笑)

    「ボタン泥棒」
    海外作家さんが書くどうしようもなく性格の悪い動物がとても好きです。(昨今、動物を良き存在としてでしか描けない風潮を感じ、少し堅苦しいなぁと感じています。)

    サキやロアルド・ダールの作風が好きな方にお勧め。

    #10の奇妙な話 #NetGalleyJP

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