- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488594039
作品紹介・あらすじ
命を助けた若者に、つらい人生を歩んできたゆえの奇怪な風貌を罵倒され、心が折れてしまった老姉妹。10年にわたり、部屋で安らかに眠り続ける少年。敷地内に薄暗い洞窟を持つ金持ち夫婦に雇われて、“隠者”となった男。“蝶の修理屋”を志し、手術道具を使って博物館の標本の蝶を蘇らせようとする少年。ブッカー賞最終候補の著者が、日常と異常の境界を越えてしまい異様な事態を引き起こした人々を描く、奇妙で愛おしい珠玉の短編集。デイヴィッド・ロバーツの挿画10点掲載、文庫化。
感想・レビュー・書評
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訳者があとがきでこう書いている。
「この短編は日常の中に潜む境界線と接した瞬間の人びとが巧みに描かれている。それは、狂気と正気の境界線であったり、日常と非日常の境界線であったり…」
奇妙な話なんだけど起こり得るかも。
その時、人はどう行動するのか。
著者の巧みな文章と想像力に引き込まれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
狂気と正気の境界線、越えてしまったり、戻ってきたり。
寒々として冷んやりしていて灰色な、雨降りの冬のイギリス様な世にも奇妙な物語。
挿絵がいい! -
「こうしてイギリスから熊がいなくなりました」繋がりで、また同じく挿絵のデイヴィッド・ロバーツに惹かれて。
・ピアース姉妹
・ボタン泥棒
・宇宙人にさらわれた
がお気に入り。
どれもブラックユーモア的で、挿絵が今にも飛び出し動き出しそうな物語たち。 -
これぞ洋書。スピーディな展開でよし。
ゾゾッとする話や、ほっこりする話がある☺️
表紙怖とおもったけど、読み進むとなんか可愛く思えてくる。 -
確かに奇妙な話だった。
うわ〜みたいなのとか、なんやこれ?みたいなのとか。
物語それぞれに独特の雰囲気があった。 -
一番最初の「ピアース姉妹」を立ち読みして、読み終わったら知らないうちに書店のレジに並んでいた。内容は極めて残酷なのに、文体は淡々としており決して恐怖を煽るような形ではない。そのコントラストが作品に更なる異様な不気味さを与えている。
2番目以降の作品も同様、主人公の静と動の心の動きが微妙なバランスで同居しており、それが作品の奇妙さを際立たせ、全体として不思議な世界が広がっている。読後に微かな引っ掛かりが生成し、時間がたってもなかなか取れない何かが残っている。それが理不尽さなのか、ある種の快感なのか、今でも判らない。
次作にも大いに期待している。 -
ブクログのおすすめ本で紹介されていたので読んでみた。タイトル通りなんとも奇妙な内容の短編集。ミステリのようでありSFやサイコパスのようであり、優れた純文学のようでもあり‥読み手によって評価は変わるだろう。どれも三人称で書かれた文体は村上春樹やブラッドベリを思わせる。
アダムス・ファミリーのような挿し絵の雰囲気がストーリーを端的に表現している。どの話も最初のページの挿し絵に謎解きがあり、それが物語のオチになっている。サクッと読めてゾクッとする、おすすめの本である。