ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元推理文庫)

制作 : 南條 竹則  坂本 あおい 
  • 東京創元社
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本棚登録 : 167
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488596019

感想・レビュー・書評

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  • 「ねじの回転」、好きなんだなあ、私。

    読んだことない翻訳版を目にすると
    必ず読んでいるから!

    翻訳によって、また読んでいる私の気持ちによって、
    印象が違うのがこの小説の良いところ。

    今回は主人公の家庭教師の女の人が
    「本当にあったことを
    ちょっと脚色して話していると
    興奮してきてどんどん話が大きくなり、
    しかもそれを自分でも信じてしまう」
    というタイプの人、みたいな印象を受けました。
    (たまに出会いますよね、こんな人…)

    一番最初に読んだ時には、
    「…え?(ポカーン)」となったのだけれど、
    今となってはそれがこの小説の良いところと
    わかっています。

    この本にはあと四つ、怖い話が入っているとのことで
    最大級の期待をもって読んだのですが、
    どれもこれも怖くないのよ。

    特に「古衣装の物語(ロマンス)」なんて、

    「おいおい、一人の男をめぐって姉妹が争ったとして、
    絶対にこんな風にはならないよ、ヘンリー君!
    君って姉妹とか従姉妹とかみたいに、恋愛や結婚と『関係ない部類』の女の人が身近にいないんだね?」って言いたくなるほど。

    他の作品もさあ…なんて文句言っていると、
    文学に詳しい方に肩をそっと叩かれ、
    「これは怖い話というよりもっと深遠な意味が隠された…」と優しく教えられても恥ずかしいのでこの辺で…。

  • 難解で有名ながらも、現在も4つの出版社から(!)文庫が出ているほど今日性のある表題作。どの出版社の文庫で読もうかな~と迷ったすえ、「ヘンリージェイムズのゴースト・ストーリーもの」としてまとめられた東京創元社の本版を選んだ。そして、この判断は正解だったように思う。「ねじ~」だけを読むと、私の理解力ではおそらく、「で、結局何なのだ?」と言いたくなってしまっただろうと思うから……。

    私は先に辻原登さんの『東京大学で世界文学を学ぶ』を読んでおり、辻原解釈が先に頭にあって読んだため、「なるほどこれはいろんな解釈ができるな」、と思いながら読んだ。他の収録作の方は「ねじ~」と比べるとかなりわかりやすく、ストーリーもかなり楽しめた。
    ただ、それでも全体的に薄気味悪い感じはある。取り調べ中の容疑者を、マジックミラー越しにじっと眺めているみたい。その人が無実なのかそうでないのかはわからない、でも、その人が取り調べされていて不安だったりいらいらしているのだったり、帰りたいと思っているのは痛いほどわかる、そういう感じだった。

    でも、つまるところ、何がそんなに不気味なんだろう。考えてみて、こういうことなのでは?と思う。つまり、目に見える事実が、本質的なものの媒体に過ぎないんじゃないか、私たちに見えているのはその「媒体」でしかないんじゃないか、いうところ。
    誰にも真実はわからない。表面的なものしか私達はとらえることができず、本質的なものというのはそもそも「存在しない」とさえ言えるのではないか……だとしたら、私達が見ているものは、私達が見ていると思い込んでいるだけ? 
    何かが見える/見えないは、世界のある/なしに直結しているのでは、ということ。見えない世界は存在しない。可視化できるものが全てではないことを、この人は逆説的に書く作家なのかもしれない。

  • 表題作『ねじの回転』は、終わり方が唐突だし、主人公の家庭教師の女性は出来事に対する個人的な印象を語るばかりで、この舞台でどんなホラーな出来事が起こったのかいまいち判然としない。でも文庫の巻末に収録されている解説を読んでようやく、なんとか納得。解説で赤井敏夫氏は本作について、「文学的滋味に欠ける心霊研究報告の文学的再話としての構造を持つ」と指摘されています。

    なるほど、女性の手記を模して書かれる文章は、禍々しい体験を予知できなかった自身の浅はかさを嘆く節が散見されて、本当に彼女が研究員を前にした面接で当時のことを述懐している、それをそのまま文章にしたようにも読めます。
    だからこそ幽霊譚としては不完全で、読み手も不完全燃焼な読後感に襲われるのかと。

    『ねじの回転』は様々な解釈のされている作品のようですね。小説をおもしろ半分に読むばかりでそんなことすら知らずに、何の予習もなく読み始めてしまったのですが、読了後、上記の赤井氏の解説を読んで物語を反芻して、それでようやっと腑に落ちた感じです。
    訳者の方も書いておられますが、小説が書かれた当時の時代背景をふまえつつ、自分なりの解釈をしてみる。そんな作業が必要な作品だと思います。

  • あるきっかけで、どうしても再読したくなって3回目です。
    といっても2回続けて読んだのも12年前のこと、ストーリーもおぼろなのです。

    ​前回の感想​を読んでみると、わかりにくいストーリーだというばかり、夏目漱石などを引き合いにして周りから攻めているようなので、今回は内容に食い込んでみましょう。(ネタバレというか、勘どころに突っ込んでしまうかもしれないと、お断りしておきます)

    あるうら若き田舎牧師の娘、家庭教師が就職をした場所はイギリス・エセックスの古い館、伯父が後見人の両親を亡くした幼い兄妹の教育をみることになる。男の子(マイルズ)も女の子(フローラ)もかわいい子たちで美形で行儀もよく、家政婦頭のグロース夫人とも仲良くなって、清潔で広いお城のような館と自然に囲まれて、詩情豊かな生活が待っていると、はりきっているヒロイン。

    う~ん、これってどこかであったような・・・デュ・モーリア『レベッカ』や、シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』も、バーネット『秘密の花園』だって雰囲気に似てるぞと・・・、でも断然違いますね、そんなロマンチックな不思議さではない、エロティックなあやしい秘密がただよっています。

    彼女は幽霊に遭遇するのですが、古い塔の窓でだったり、木影の鬱蒼たる湖のほとりや、夜月光に照らされた芝生の上だったりするのです。その幽霊は彼女だけしか見えないようです。

    幽霊(というか男女の幽霊たち)は、彼女の前任者女家庭教師と使用人の男・クウィントらしいとだんだんにわかってきました。

    家政婦頭のグロース夫人が言うには、クウィントは名うての下品な悪党、屋敷では鼻つまみ者。前任者の美しい家庭教師ジェスル先生と恥知らずな関係になって、子供たちにも悪影響を与えたらしい。が、何故かもう二人とも亡くなってしまったていたのだった、ということが分かってきた。男は事故死、先生は家庭教師を辞めて故郷に帰ってから病死したという。だからお屋敷に未練があり幽霊となるのでしょうか。

    普段はかわいらしくて天使のような兄妹が、陰では幽霊たちと交信しているとヒロインは思うような。それを何とか助けたい、と願っているヒロイン。お行儀のよい美しく可愛らしい少年はませてはいないし、妹は無邪気でかわいらしいのですが、それは本当の姿か。

    しかし10歳の少年である男の子(マイルズ)に惹かれているヒロインは複雑である。幽霊を利用して、ついに男の子を独り占めにしょうと・・・。とうとうヒロインは知ってか知らずかある作術を使うのです。

    ところがヘンリー・ジェイムズは上記のようなくっきりとしたストーリーにしていません。曖昧模糊の文章。ひねりにひねった難解ともいえるストーリー展開。解説によると『ねじの回転』→「ひとひねり」「ひとねじり」だそうです。しかしだからこそ情緒不安定にさせられて余韻たっぷり、だまされてしまうようなのですね。

    この小説の最初に戻ると、クリスマスイブに古い屋敷で奇妙な物語を語り合うことから出現したのであるとなってます。イギリス人はそういう幽霊譚が好きのようですね。『レベッカ』の物語も生い立ちもそんな風だったとか。

  •  古典怪奇小説として名高い表題作。ほおと思って読んでみたが今一つわかりにくくちっとも怖くない。解説を読むと「難解な」と注釈がついていた。家庭教師と幼い兄妹をおびやかす2人の亡霊の話なのだが、登場人物それぞれの心理が理解しにくく読んでいて意味が分からない。どうやらぼくの頭には難解すぎるようだ。併録されているいくつかの短編のほうがまだしもだった。

  • 2018年の復刊フェアで復刊された本書。ゴーストストーリーを集めた中短篇集。
    名作と前から噂は聞いていたのですが今まで読んだことなくて。今回読んでみてなるほど、と。普通に想像するオーソドックスなゴシックホラーストーリーとは一味違う味わいです。
    陰鬱な屋敷やそれらしき逸話、ひと癖ある登場人物…とゴーストストーリーにはありがちなパターンの書き出しに引き込まれつつ、肝心の「そのものズバリ」をはっきりと書かないが故に発生する奇妙な読書感と言いますか…。この感覚が面白いし、物語に色んな解釈が発生するのも納得でした。

  • 『ねじの回転』
    幽霊ものかと思って読み始めたら途中からあれれ?

    『古衣装の物語』
    姉妹。女の嫉妬。開けてはいけない衣装箱を開けたらどうなるか。

  • ん〜
    時間かけて読んだ割には
    自分的に面白くはなかったです。

    時代背景などを知っていれば楽しめたかも?
    ねじの回転以外の物の作品の方が楽しめました。

  • 難解と言われているホラー短編『ねじの回転』を含む、傑作集。
    確かにちっと難しいな。
    でもこの保守っぽさとか陰鬱なゴシック風味とか、イギリス好きにはたまらんよ。
    難解っつーのは、幾通りの読み方もできるからだと思う。ホラーだけど、現象も原因も曖昧なまま、怖さだけがじわじわと。
    果たして幽霊譚なのか、スピリチュアル系なのか、フロイト的な心理学系なのか。
    スッキリはしないけど、そこはそれ、好きに読んだら難解なりにそれぞれ楽しめると思いまする。

  • ねじ〜はあんまり面白がれなかったです…
    洋服大好き姉妹のお話はストレートだし、題材が大好きでした。

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著者プロフィール

Henry James.1843-1916
19世紀後半~20世紀の英米文学を代表する小説家。
主要作品に『デイジー・ミラー』、『ある婦人の肖像』、
『ねじの回転』、『鳩の翼』等。
映画化作品が多いが、難解なテクストで知られる。

「2016年 『ヨーロッパ人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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