- Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488603045
感想・レビュー・書評
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シリーズ最終巻。
気の遠くなるような過去から、厳密に調整されてきた人類の到達点、レンズの子らによる絶対的な敵との最終決戦。
いわゆる「進化を兵器にする」発想の原点に近いものかもしれない。
なのだが、視点としては相当、その子供たちを取り巻く大草原の小さな家的な大時代がかった家族愛を大事にしてる。
エッドールが、強力ではあるが、アリシアに比べて小物感いっぱいなのが気になってるし、ラスボスなのに出番が殆どなく、最終兵器が強力すぎて、あっという間に吹っ飛んでしまうとか昨今だとこれでは収まらないと思うのだが、その、変にあっさりしたところが味と感じる。
文章自体は、上手いわけではないと思うんだが、食ってる内に癖になる。
シリーズ通して一番好きな、アレほど完璧で森羅万象を見通して落ち着きまくっていたアリシア人が、土下座せんばかりに慌てる一瞬。
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レンズマンシリーズのうち、キムボール・キニスンを主人公とする三部作(銀河パトロール隊、グレー・レンズマン、第二段階レンズマン)の続編にあたる本巻は、シリーズのしmくくりとなっている。
三部作を上回るような超兵器は登場しないかわりに、まさしくアリシア側、えっドール側とも総力を上げてのぶつかりあいが演じられる。
しかし、その壮大さよりも、むしろキムとクリスの間にうまれた五人の子供たちの意味合いに大きな焦点があてられているのは、面白い。
すなわち、物語中なんども示唆されてきたように、キムとクリスの結婚は必然であり、そこから生まれてきた子供たちこそが、アリシア人たちが気の遠くなるような長い年月をかけて育て上げてきた結晶ということなのだ。
彼らは第三段階レンズマンであり、ある意味では生まれながらのレンズマンでもあって、各人それぞれが能力のひとつを突出させている。
そして、統合体を作る事で、まさに神的なパワーを発揮するという仕掛けだ。
つまり、本巻での大仕掛けは兵器ではなく、これらレンズの子たちという事になるわけだ。
ところで、物語のラストは、不思議とトールキンの『指輪物語』を彷彿とさせる。
エルフたちと同じように、古い種族は物語の表舞台から静かに立ち去り、あとは人間(だけ)の世が訪れると予告されるのだ。
そういえば、そもそも英米の物語では、SFとファンタジイとにかかわらず、このような超越的な古い種族が人間を導いたり見守ったりしている、という設定が多く見られるように思う。
これには何か文化的な背景があるのだろうか。
あまり、日本や支那の物語には見られないと思うのだが。
この点については今後も考察を重ねていきたいと思う。