月世界へ行く (新装版) (創元SF文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488606077

作品紹介・あらすじ

186X年、フロリダ州に造られた巨大な大砲から、アメリカ人とフランス人の乗員3人を乗せた砲弾が打ち上げられた。ここに人類初の月旅行が開始されたのである。だがその行く手には、小天体との衝突、空気の処理、軌道のくるいなど予想外の問題が!19世紀の科学の粋を集めた本書は、その驚くべき予見と巧みなプロットによって、今日いっそう輝きを増すSF史上不朽の名作である。

感想・レビュー・書評

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  • SFの古典として語られることが多い本作ですが、実は2部作です。

    1863年〈ジュルナル・デバ〉紙に、前編の『地球から月へ』を連載開始して1865年刊行。内容は、計画から大砲発射にいたる過程までの資金調達、弾丸設計、そして人選などです。後編の本作は、この前編の梗概を序章として『月世界へ行く』のタイトルで1870年に刊行されたもの。

    あらすじは、アメリカ人2名とフランス人1名、そして犬2匹を乗せた砲弾が発射され、人類初の月世界へ旅立って行きます。この3人、月に向けて巨大な大砲から弾丸型の宇宙船で飛び出したまではいいのですが、流星とニアミスしたせいで月への軌道がそれてしまいます。彼らの宇宙船は、制御装置のないただの砲弾です。いったいどうやって月に着陸するか、どうやって地球に戻ってくるかと読み進めていると、誰も知らないことが発覚…いったい、彼らはどうなってしまうのでしょうか?というお話し。

    こう書くと、アポロ13号のような緊迫したやり取りがあるかと思われますが、3人とも全く緊張感に欠けており、なるようになれといった感じ。
    つまり、冒険小説に期待する、ワクワクとかドキドキする緊張感に欠けているのが残念です。

    とはいえ、この小説は19世紀中頃の科学技術や天文知識を総動員して書かれており、後の世のSFに与えた影響を考えると、今後もSFの古典として語り継がれて行くでしょうね。

  • こちらも、ごらんください。
    「宇宙の話をしよう:小野雅裕(著)」~あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート
     → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1717.html

     ~ ~ ~ ☆ ~ ~ ~ ☆ ~ ~ ~

    2006年に読む。 
    ジュール・ヴェルヌ 「月世界旅行」の後編が 本書です。
    翻訳なので、タイトルが「月世界一周」「月世界へ行く」「月世界探検」と まちまちです。

    前作で「月世界旅行」 綿密な計算より計画された月へ いよいよ出発! 
    宇宙への冒険旅行は意外なことの連続、奇想天外で面白い。

     ⇒ URLは http://sea.ap.teacup.com/applet/pasobo/msgsearch?0str=%82%A0&skey=%83%94%83F%83%8B%83k&x=27&y=10&inside=1 『Myあれこれブログ:ヴェルヌで検索した結果』 : 

    内容 : 
    186X年、フロリダ州に造られた巨大な大砲から、アメリカ人とフランス人の乗員3人を乗せた砲弾が打ち上げられた。
    ここに人類初の月旅行が開始されたのである。
    だがその行く手には、小天体との衝突、空気の処理、軌道のくるいなど予想外の問題が!
    19世紀の科学の粋を集めた本書は、その驚くべき予見と巧みなプロットによって、今日いっそう輝きを増すSF史上不朽の名作である。

  • 映画・月世界旅行の原作。

    1869年刊行。約200年前のSF。
    地球から月へとの2部作だと本書の中で知る。

    月に向かって撃ち出された砲弾の中で3人の男が外を眺めながらあれこれ喋って飯食ってるだけの話と言ってしまえば身もふたもないが、
    そんな箱モノ設定であれだけ興奮させる筆力は凄い。

    今ではWikipedia一つで、
    月の情報は容易に手に入る。

    だからこそ、
    月に行くまでの行程を深く考えはしないし、
    地球と月との距離を計算したり、
    表面や経緯の詳細に躍起になったりしない。

    でも、月や宇宙に関する詳細な知識なんて、
    世間一般レベルでは、
    200年前も今も変わらない気がする。

    そういう意味では、
    過去になってしまった未来話を読んでも楽しめるし、
    200年前の科学や当時感を窺い知り、答え合わせをするのもいい。

    答え合わせ出来るほど月や宇宙のことを知らなかったし、距離や数字の話を出されるとちんぷんかんぷんだったけど。

    常にバービケーンの立ち位置。

    作中、アメリカ人は鶏を持っていき、
    フランス人は月にブドウの木を月に持っていく。

    日本人なら米だろうか?

    ていうか終盤結構衝撃なんだけど、
    映画の方と全然話違う。

    月の頬にキスする有名なシーンやそれ以後は
    映画だけの脚本だったという。。。

    一緒なのはじめと終わりくらい。

    そもそも同一だと思うのが間違いか。

    とまれ、
    SF史上に燦然と煌めく名著であることに変わりはない。

    読んだ後は、
    さぁ、冒険だ。

  • 1860年代に書かれた宇宙冒険科学小説。ジュール・ヴェルヌとはいわゆる宇宙・科学オタクといったところだろうか?
    当時の科学知識に基づいた理論(とジュール・ヴェルヌによる推測・妄想)で展開されるが、現代の知識でそれらを観察するとSFではなくいっそファンタジーにも見える。今でこそツッコミたくなるようなシーンの数々も、それに面白さを見出すのも、現代ならではの楽しみ方だったな〜。数百年後には現代のSF小説もその時代の人たちにこんな感覚で見られたりするのだろうか?
    1860年代における宇宙知識の進捗にときおり驚き、それらが150年あまりをかけて発展した道筋が見えるととても面白かった。科学技術の発展には科学オタクの妄想が欠かせないのだろうと思う。
    今作の前篇にあたる『地球から月へ』も読みたい。

  • 2022.09.16 社内読書部で紹介を受ける。大砲で月に行く。宇宙計画の原点はこの本らしい。

  • 久しぶりのジュールヴェルヌ。二万海里、二年間の休暇、神秘の島などを愛読していたのは、もう20年くらい前だ。

    本作は宇宙旅行。150年前の科学小説だし、宇宙モノは普段まったく読まないので知識がない。
    読めるか不安だったけど、二週間かかって、なんとか読み終えた。

    主人公の名前がバービケーンだとわかり、これって「ストーリーは全部忘れたけど、主人公の名前だけやたら覚えてる本」になりそう、と感じた。
    衒学的、、、というのか、情報や知識の羅列が続いてしんどかったけど、犬の死体の箇所が笑えたので、読み進めた。
    その後もあんまり起伏のないストーリーなので、なかなか終わらない。
    なんといっても月には降り立っていないから仕方がない。
    ミシェル・アルダンが明るくて、すぐ食事にしよう、と言ってくれるので救われた。
    ヴェルヌはやはりフランス人ヒーローをよく作る。
    メインキャラが密室の3人だけなので、すぐキャラクターが把握できるが、最初にあまり説明がなくて不思議だった。
    これは私が、前日譚が別の小説にあることを知らずに読んでいたためだった。なるほど。

    それにしても、1869年の本だということに感動してしまう。
    その頃の日本はまだ明治維新。かたやこの知識。
    ヴェルヌがこの本の執筆直後に普仏戦争に従軍していたことを知る。
    本当にその時代なんだ、、、!

    ちなみに、トウェインのトムソーヤの冒険出版が1870年代、スティーブンソンの宝島出版が1880年代。
    よくわかった。ここテストに出ないよ。

  • 先に映画『月世界旅行』を見てしまっていたので、終盤の展開に肩透かしを食らった。
    よくよく調べてみれば、映画はH・G・ウェルズの『月世界最初の人間』も基にしていることなので、機会があればそちらにも目を通してみるべきか。

  • 結局、月にはたどり着けなかったけど、大砲の玉で引力を抜け出すというのは、凄い発想だなと思い、実際にその玉に入ってみたいと思った。

  • まさかの展開!
    こんな結末になるとは!

  • ヴェルヌの偉大な空想力のなせる業。今から150年以上前にこの本が出て以来、どれほどの子供達が月や宇宙に胸を躍らせたことだろう。

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著者プロフィール

Jules Verne, 1828 - 1905.
フランスの小説家。
『海底二万海里』『月世界旅行』『八十日間世界一周』
『神秘の島』『十五少年漂流記』など、
冒険小説、SF小説で知られ、SFの父とも呼ばれる。

「2016年 『名を捨てた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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