失われた世界―チャレンジャー教授シリーズ (創元SF文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488608026

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!
    コナン・ドイルってシャーロック・ホームズしか知らなかったなぁ。
    ホームズとチャレンジャー教授。
    何だか正反対なキャラにも思えるけど、根本的には似てるところもありそう。とにかく、今回の主な登場人物であるチャレンジャー教授には、数々の言動プラス冒険途中に出会ったある(猿)人!によく似た風貌にはぶっ飛んじゃった。えっ、主役でいいの?って 笑
    冒険の参加者であり、この失われた世界の相貌を書き記したマローン。彼を途方もないロマンと危険に満ちた旅へと導かせた理由は若気の至りと言いましょうか、本人にとっては一大事でも周りから見れば可愛らしい。発見した湖につけた名前には、彼が手に入れたいロマンスが詰まっていた……はずなのに、なのに~。肝心のロマンスの元がぁ。ほんと、おい、お若いの!しょうがないさ。

    旅の始まり、途中、そして大発見へと。
    チャレンジャー教授とサマリー教授のライバル関係から、ロクストン卿の理知的で勇敢な戦い方、そしてマローンの自分も何か役に立ちたいと時に暴走してしまうけれど、みんなに愛される性格。
    4人の人間模様は波乱に富み、旅の情景は鮮やか。心躍る大発見の興奮と、危機的状況を抜け出す息もつかせぬ展開。なんて読ませるんだぁ、コナン・ドイルって作家は。どんどんのめり込んでいく。
    そんな中で起こる出来事に決して飲み込まれず、際立っているのはやはりチャレンジャー教授。どんなに絶対絶命となってもお構いなしの言動に思わず笑ってしまいながら、この人がいれば大丈夫だってどこかで安心出来る(決して善良な人とはいえないけれど)やっぱり主役はこのお方だ。

    それにしても、わたしにとって一番恐ろしいものは未知の世界でも、先史時代の生物でもなかった。“失われた環”、あの連中の残虐な行為。それは、どんなに時代が遡ろうと支配と服従、迫害と虐待などがあったに違いないことを思い知らされる。そしてその結果、人間が生き延びてきたのかもしれないと考えると複雑でもあるし厳粛な気持ちにもなった。

  • <ドイルも楽しんで書いた、正統派の冒険小説>


     新聞記者エドワード・マローンは、恋するグラディス嬢からヒーローとして認められたい一心で、「冒険」を欲していた。折りしも、変人博士が自説を実証するため、探検隊を率いて旅立とうというところだった★ その名もチャレンジャー! という教授が言うには、アマゾンの奥地で太古の昔の生態系が絶滅を免れ、現在もそのままの営みを続けている、とのこと。
     自ら志願したマローンに加えて、著名な冒険家ロクストン卿、チャレンジャー教授の失敗をその目で見届けようとするライバル・サマリー教授らが同行し、いざ秘境の旅へ出発進行!!

     本作がシリーズ第1弾となって、変人チャレンジャー教授の小説は全5作書かれました。なぜシリーズ化したのか、分からなくもありません。元気なのです! このシリーズと較べるとドイル先生、ホームズシリーズはあんまり乗り気ではなかったと見えますな?
    『失われた世界』の、溌剌として躍動的な文体、小説の隅々まで充満した気力はどうでしょう★ 漫画みたいにハッキリした特徴の書き分けで、とびっきり分かりやすい登場人物たちの挙動を、著者自身も楽しんだだろうと節々から伝わってきます♪

     この作品、「冒険譚は楽しみたいけど、心臓に悪い危険やどんでん返しはないのがいいなぁ」というときに選びたい一冊です★
     ジュール・ヴェルヌほど奇想天外ではないけれど、意外性の薄さこそが『失われた世界』を『失われた世界』たらしめている、と言ったらおかしいかな……!?
     現代人から見ると、飛び上がるほど驚愕したり、恐怖に震え上がったりするような場面は、ないかも。そのかわり、こういうのがあってほしいなと思う、古き良き正統派の冒険小説だと言えます。語弊を恐れずに書けばステレオタイプですね★ ステレオタイプをしっかり描き切っただけで充分にイケる、という見本のような作品です。

     オチで、グラディスさんの選択がなかなか笑えます★

    ---
    次作:『毒ガス帯』
    https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4488608035

  • 2019/1/2 詳細は、こちらをご覧ください。
    『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1238.html
     
    失われた世界―チャレンジャー教授シリーズ (創元SF文庫)

    著者 コナン・ドイル/著
    竜口直太郎/訳
    出版者 東京 東京創元社
    出版年 1980
    形態事項 319p 15cm
    シリーズ名 創元推理文庫 608‐2

    2014/09/02 追記

    2002年〜2003年頃にNHKで放送されたTVシリーズ 「ロストワールド」は、すごく面白かった。
    たぶん、この本が原作だろうと 読んでみたが、TVより 地味でがっかり !!(>д<)ノ
    やっと探し当てました!
    DVD (英語) → You Tube the lost world(s1e2)-stranded part 3

  • ■書名

    書名:失われた世界―チャレンジャー教授シリーズ
    著者:コナン・ドイル

    ■概要

    二十世紀のはじめ、イギリス動物学会の名物男で、古生物学者の
    チャレンジャー教授は、奇妙なものを手にいれた。それはアマゾン
    川流域で死んだアメリカ人の遺品だったスケッチブックで、そこに
    は、二十世紀には生存しないはずの、数々のふしぎな動物が…。
    「南米の奥地にはいまなお、恐竜などの絶滅したとされる生きもの
    が棲息している秘境がある!」というチャレンジャー教授の主張を
    たしかめるために、アマゾンの密林にふみこんだ探検隊。チャレン
    ジャー教授を先頭に、学会での敵サマリー教授、新聞記者エドワー
    ド=マローン、世界的な冒険家ジョン=ロクストン卿ら四人の行く手
    に待ちうけていたのは、想像をぜっした世界だった。
    (From amazon)

    ■感想

    コナンドイルが生んだ、キャラクター、チャレンジャーシリーズの
    第一作目です。

    かなり昔の小説ですが、SF冒険小説としては、非常に楽しく読む事
    が出来ました。
    文章、登場人物の言葉使いは独特ですので、多少読み始めにひっかかり
    を感じましたが、すぐに慣れ、その後は楽しく物語を読む事が出来ました。

    題材は、定番の未知の土地に太古の生き物が生存しているというの
    を確かめにいく物語です。
    恐竜以外でも、未知の土地ならではの争いや冒険が待っています。

    何より良かったのは、ラブロマンスが一切ない事。(正確には冒頭と
    最後で少しあるのですが、全くメインでない。)
    ここまで硬派な冒険ものは久しぶりに読みましたね。
    冒険に女性がいないと、やっぱりなんでもありで面白くなる気がし
    ます。
    (女性の性格によっては、全然いてもいいのですが、基本的にロマンス
    しないなら必要ないです。)

    メインの登場キャラクターが4人いるのですが、4人とも個性が立っ
    ていて、役割が明確で、かつ深い洞察がされているので、一人ひとりの
    行動に納得感がでます。

    シャーロックホームズは大好きですが、このシリーズも楽しいです。
    時代遅れと言えば確かに古い部分もありますが、それをさしひいても
    十分楽しめます。

    これ、今の技術で忠実に映画化したら面白そうですけどね。
    (あくまで忠実にです。どうせ、外部者がラブロマンス入れたがる
    からつまらなくなるのでしょうけどね・・・)

    最近、昔の海外作品も少しずつ手を出しているので、他の作品も読
    んでみたいです。

    ■自分がこの作品のPOPを作るとしたら?(最大5行)

    コナンドイルが生んだ、名キャラクター、チャレンジャー教授の
    第一作目です!
    シャーロックホームズだけではない、ドイルの才能が開花しています。
    推理物だけではなく、SF冒険ものでも非常に楽しませてもらいました。
    他のシリーズも読んでみたいですね。

  • 「失われた世界」コナン・ドイル著・瀧口直太郎訳、創元SF文庫、1970.09.19
    319p ¥630 C0197 (2023.11.30読了)(2006.01.22購入)(2003.11.07/39刷)
    Eテレの「100分で名著」で「シャーロック・ホームズスペシャル」が放映されました。ホームズシリーズはほぼ読破しているので、同じ著者のSF小説「失われた世界」をこの機会に読んでしまおうと準備していました。テレビを見ていたら「ギアナ高地」が登場する番組で、コナン・ドイルの「失われた世界」に言及していました。「失われた世界」は、ギアナ高地のテーブルマウンテンを舞台にしていたんですね。テーブルマウンテンは、ギアナ高地に100以上あるそうです。テーブルマウンテンは、頂上が平らで、周りは、垂直のがけで取り巻かれています。崖の高さは、およそ千メートル以上あります。垂直の壁を上るのは、ほぼ不可能です。従って、四つ足動物の往き来は、不可能です。
    奇想天外な物語で、楽しめました。作品が書かれたのは、1911年です。

    【目次】
    1.どこにでも英雄的行為はある
    2.チャレンジャー教授に会って運をためせ
    3.あの人はまったくがまんのならない人です
    4.これこそ最大事件
    5.質問!
    6.神の鞭
    7.明日は未知の世界へと消える
    8.新世界の前哨隊
    9.誰がそんなことを予想できたろうか?
    10.いともふしぎな事柄の続発
    11.このときだけはわたしも英雄
    12.森の中の恐怖
    13.忘れえぬ光景
    14.あれは真の征服だった
    15.この目で偉大な驚異を見た
    16.行進! 行進!
    訳者あとがき

    ☆関連図書(既読)
    「ネブリナ山探検紀行」関野吉晴著、日本放送出版協会、1987.09.20
    「シャーロック・ホームズの冒険」コナン・ドイル著・延原謙訳、新潮文庫、1953.03.31
    「回想のシャーロック・ホームズ」コナン・ドイル著・阿部知二訳、創元推理文庫、1960.08.19
    「恐怖の谷」コナン・ドイル著・内田庶訳、偕成社、1985.04.
    「四つの署名」コナン・ドイル著・各務三郎訳、偕成社文庫、1998.05.
    「バスカビル家の犬」コナン・ドイル著・各務三郎訳、偕成社文庫、1998.06.
    「名探偵ホームズ 赤毛組合」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、1996.05.15
    「名探偵ホームズ まだらのひも」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、1996.12.15
    「名探偵ホームズ 消えた花むこ」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、1997.05.15
    「名探偵ホームズ 緋色の研究」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、1997.12.15
    「名探偵ホームズ ぶな屋敷のなぞ」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、1998.06.15
    「名探偵ホームズ 囚人船の秘密」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、1999.06.15
    「名探偵ホームズ 最後の事件」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、2000.07.15
    「名探偵ホームズ 三年後の生還」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、2001.02.26
    「名探偵ホームズ ピーター船長の死」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、2001.09.15
    「名探偵ホームズ 消えたラグビー選手」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、2002.04.15
    「名探偵ホームズ 悪魔の足」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、2003.07.15
    「名探偵ホームズ サセックスの吸血鬼」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、2004.02.15
    「名探偵ホームズ 最後のあいさつ」コナン・ドイル著・日暮まさみち訳、講談社青い鳥文庫、2004.10.15
    「シャーロック・ホームズスペシャル」廣野由美子著、NHK出版、2023.09.01
    (「BOOK」データベースより)amazon
    二十世紀のはじめ、イギリス動物学会の名物男で、古生物学者のチャレンジャー教授は、奇妙なものを手にいれた。それはアマゾン川流域で死んだアメリカ人の遺品だったスケッチブックで、そこには、二十世紀には生存しないはずの、数々のふしぎな動物が…。「南米の奥地にはいまなお、恐竜などの絶滅したとされる生きものが棲息している秘境がある!」というチャレンジャー教授の主張をたしかめるために、アマゾンの密林にふみこんだ探検隊。チャレンジャー教授を先頭に、学会での敵サマリー教授、新聞記者エドワード=マローン、世界的な冒険家ジョン=ロクストン卿ら四人の行く手に待ちうけていたのは、想像をぜっした世界だった。

  • コナン・ドイルによるチャレンジャー教授シリーズの最初の作品。シャーロック・ホームズと並んで人気のあるキャラクターで、多くの派生作品があり、特に本作は何度も映像化されています。本作のチャレンジャー教授は、恐竜などの先史時代の生物が生き残る南アメリカの台地へ探検旅行に出かけます。子供の頃に児童向けのものを読んでいました。このワクワク感はいつまでも消えないです。ありえない設定ですが、ロマンを感じてしまいます。

  • インディージョーンズとジュラシックパークを足して2で割った感じ?

  • 古典SFの傑作。子供の頃に読んだはずだが、大人になって改めて読んでもやはり面白い。まもなく新訳版が出るそうですが、この50年前の旧訳も味があって個人的には好み。

  • めちゃくちゃ面白かった。こんな面白い本が書けるなんて。。やっぱ医師としての頭があるからなのか。。
    シャーロック・ホームズも面白かった。今回のキャラクターも、とても魅力的なキャラばかり。
    訳もとても臨場感のある文章、その場が思い浮かぶ、とても人間描写が面白い内容だった。

  • 面白かった( ´ ▽ ` )ノ

    ストーリーはもちろん、セリフはキレまくり、キャラクターは立ちまくり、伏線張りまくり、その回収祭りもトンチがききまくり( ´ ▽ ` )ノ
    100年も前の小説だけど、文句なしだね( ´ ▽ ` )ノ
    ハリウッド冒険映画の、直系の祖先と言っていいと思う( ´ ▽ ` )ノ
    人物間のアヤとか、イベントの配置とか、オチの付け方とか、今でも本作とほとんど一緒だ( ´ ▽ ` )ノ

    バローズの「ペルシダー」は地底、「ロストワールド」は台地のてっぺん……正反対の場所に同じような世界が残ってるというところが面白いね( ´ ▽ ` )ノ

    全体にいい意味でマンガチック( ´ ▽ ` )ノ
    まるで良質のディズニーアニメの脚本を読んでるようだった( ´ ▽ ` )ノ
    半分ゴリラのチャレンジャー教授にしても、好敵手のガリガリ教授にしても、キザの権化の貴族青年にしても、ほんとアニメのように脳内にその姿が浮かび上がる( ´ ▽ ` )ノ
    ホームズだけでも偉大なのに、それだけじゃない、ってとこがすごいよね( ´ ▽ ` )ノ

    解説にあった他のチャレンジャーもの(「毒ガス帯」とか)もぜひ読んでみたい……と思ったら、それは確か読んだことあったな( ´ ▽ ` )ノ
    おぼろな記憶だと、大昔、高校生の頃に古書市でボロボロの文庫を入手したような……「地球最後の日」だったっけ?( ´ ▽ ` )ノ
    まだどっかにあるはずだから、いずれ発掘して再読しようっと( ´ ▽ ` )ノ

    2017/02/02

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著者プロフィール

アーサー・コナン・ドイル(1859—1930)
イギリスの作家、医師、政治活動家。
推理小説、歴史小説、SF小説など多数の著作がある。
「シャーロック・ホームズ」シリーズの著者として世界的人気を博し、今なお熱狂的ファンが後を絶たない。

「2024年 『コナン・ドイル⑥緋色の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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