惑星カザンの桜 (創元SF文庫)

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  • 東京創元社 (2025年2月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784488617110

作品紹介・あらすじ

一万光年を隔てた異星で、
調査隊員750名はなぜ消息を絶ったのか?
広漠たる地表で待ちうけるものとは
緊迫のファースト・コンタクトSF

一万光年先の惑星・カザンで、文明の急激な成長と滅亡が観測される。すでにワープ航法を手にしていた人類が、急遽この星へ送り込んだ調査チーム750名は、到着後完全に消息を絶った。カザン文明はいかにして滅び、先遣隊はなぜ遭難したのか? 第二次調査隊は厳戒態勢のもと、ついに惑星の地表へ降り立つが──現代宇宙SFの旗手が描きだす、緊迫のファースト・コンタクトSF。

みんなの感想まとめ

異星の文明の成長と滅亡を描いた緊迫感あふれる物語が展開されます。一万光年離れた惑星カザンに派遣された調査隊750名が消息を絶ち、続く第二次調査隊がその真相を探るために向かいます。作品は、ファーストコン...

感想・レビュー・書評

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  •  惑星カザンで観測された文明の成長と滅亡。これを調査すべく調査チームが派遣される。しかし、調査チームは消息を絶った。そして第二次の調査チームが派遣されるのだが。

     中頃まで読んだ時の印象は、これ『ソラリス』だ。まして死んだ〇〇が主人公の前に現れるとなると。ソラリスの海がカザンの「砂」なのだが、これがただの砂ではない。砂と言えば、同じレムの『砂漠の惑星』も思い起こされる。

     ファーストコンタクトものとしては、出来は悪くないと思う。謎は明らかにされているし、ラストはきれいにまとまっている。

  • 一万光年レベルのワープ航法が確立されている未来のファーストコンタクトもの。地球から一万光年離れた惑星カザンの第一次調査隊が全滅し、第二次調査隊が向かった先で見たものは。
    調査隊の艦船の構造や人員構成、必要な物資は3Dプリンターで作るなど、設定がきっちり整っていて、読んでて説明臭くないのもいい。
    なにより惑星カザンの謎はなかなかに新鮮で、謎解きと調査隊内の軋轢など様々な要素が絡んできて後半に向けて盛り上がっていく。あまり謎を謎のまま引っ張って、最後がっくりと言うこともない、良いバランスだ。

  • 林譲治の本は初めて読む。ハヤカワJAのシリーズもので第41回日本SF大賞、第52回星雲賞日本長編部門を受賞しているので、いつ読んでも良い様に積読はしているのだが、どうも「ミリタリー宇宙SFの旗手」のミリタリーが障害となってこれまで敬遠していた。今回の本はミリタリー色が少ないという前評判だったことから、ようやく満を持して手に取ることにした。本の背を見たら「SF は-1-1」と書かれてあった。ということは、初めて創元SF文庫から出版されたということ。ちょっと調べたら、東京創元社としても初めての出版らしい。そんな記念すべき本、しかも書き下ろしという事で期待はこの上なく高まる。惑星調査が消息を絶った、というのは私の好みのジャンル。さあ、ファーストコンタクトSFの旗手である春暮康一の世界にどれだけ迫れているか楽しみ(年上だけど)。

    目的地の惑星カザンまで1万光年離れていて、そこに辿り着くまで7年もかかる。地球から14万8000光年離れた大マゼラン星雲にあるイスカンダル星まで半年で行く宇宙戦艦ヤマトがイスカンダルからの技術供与を受けて行くのとは比べ物にはならない。やはり自前の技術だけでは限界があるようだ。第一次調査隊が調査を終えて帰還するのに15年もかかる。シリアル方式で調査をする、レスポンスの有無を確認しながら調査を進めるのはコスト的には有利だが安全面ではかなり危険なアプローチである。遭難したのかしなかったのか判断するのが非常に難しい。今回は、時間が経過したことにより各種技術は第一次調査隊よりも飛躍的に高まり、今回は宇宙船2隻で行くことも安全性を重視した対策となっている。

    大きな出来事が序盤で示された。え?惑星カザンは惑星ソラリス?なんだ、二番煎じかとガックリ来たが、どうやら単なるソラリスではないようだ。そりゃそうだろう。ソラリスから一体何年進んだと思っているのだ?これまでに思いつかないような現象が起こり、それに現状の調査技術で対応する。カザン星人とは何者なのだ?そして、ちょっとした愛憎劇がとんでもない結果へと至る。いやーー、地球人は宇宙に進出する資格があるのだろうか。ヤマトで発生したトラブル(機関士の薮が森雪を誘拐するが地震で死亡)に似た様な人間の弱さは永遠に無くならない。今回も神様の鉄槌(文明調査班副班長の高木ブーがソヨンに向けて発射したレーザー光線を、ソヨンが反射して高木ブーが炭化)が発生した。二つのAIが融合した蒼井(山ちゃんと結婚した蒼井優をどうもイメージしてしまうのが悲しい)と吉野とのラストシーンが心に響いた。これで一気に林譲治のファンになってしまいそうだ。

    年内中にもう一作、私の大好きな作品を出してくれないかな。できれば今回の様にミリタリー色が少ない作品。でも、この「惑星カザンの桜」、もし目ぼしい候補がいなければ、今後の賞を総なめするかもしれない。それほど素晴らしい作品であると私は太鼓判を押す。

  • 地球から一万光年離れた太陽系外惑星カザンに、史上初の地球外文明が存在することを人類は把握していた。
    しかし発展を続けていたカザン文明が、突如として原因不明のままに滅亡したのではとの疑義が生じる。
    もしもそれが事実であれば、地球文明にとっても脅威となる可能性があると考え、調査隊を送ることになった
    調査隊チーム750名は、7年間に亘るワープ航法(光の速度を超える速度で宇宙を移動する航法)によってカザンに向い、カザン文明の動向を探る使命を帯びていた。
    しかし、地球への帰還予定の14〜15年を過ぎても帰還しなかったことを受け、新たに総勢3,600名からなる第二次調査隊を組織し、万全の態勢のもとにカザンを目指した。
    太陽系外のカザンに近づいた辺りで、主人公の吉野悠人がコールドスリープから目覚める場面で物語が始まる。

  • #惑星カザンの桜
    #林譲治

    750名の一次調査隊が消息を断った、1万光年の彼方の惑星で、二次調査隊のメンバーは地球の桜と見分けのつかない花を目にする。カザンを巡る権益、人間の愛憎。1万年を隔てて異文明と邂逅しても、変わらない鎖に縛られる人々がリアル。

    #読書好きな人と繋がりたい

  • SF作家林譲治の総決算、なのかな?

    まぁ、商業的には、xx戦艦大和やら帝国xx隊やらを継続して書く方が安定しているんだろうけど。

    個人的には、ハヤカワJAの遊びたっぷりなシリーズの方が好みですが。

  • ナノマシンが個ではないということは途中から想像がついたけれど、ナノマシンの行動の必然性の説明がもう少しほしかった気がする。

  • 阪南大学図書館蔵書検索OPACで貸出状況や所在を確認↓
    https://opac-lime.hannan-u.ac.jp/opac/volume/931889

  • いまいち話がよくわからないとこもあったがまあまあ。

  • 恒星間飛行を可能とした地球人類が発見した、惑星カザン。第一次調査チームは、惑星到着後に750名全員が消息を絶った。謎を探るため派遣された第二次調査チームには、愛する女を亡くしその複製AIと共に調査船に乗り込んだ主人公・吉井と、第一次調査チームのメンバーだった愛する女の消息を確かめたい高木がいた・・・

    カザンで遭遇した未知の知的存在(カザン人?)が、吉井とのコミュニケーションツールとして、彼の妻であった蒼井のコピー体を送り込んでくる、でも円滑なコミュニケーションがなかなか取れない、という展開に至って、SF者としては「あ、これ、『ソラリス』だわ」と思うわけですよ、当然ながら。他のレビュアーの皆さんもお書きの通りです。
    そこに、同様に愛する女を失いつつも、気性も経緯もまるで異なる高木を対比させることで、「ソラリス」のように人間の心の奥深さを描いていく作品なのかな・・・と思いきや、後半3分の1ぐらいからストーリー展開が急にきな臭くなり、惑星開発に絡む巨大な利権を獲得せんとする「監査員」が本格的に動き出して、いきなり本格的なハードSFへと推移していきます。
    派手なドンパチシーンも挟みつつ、カザン人の真の思惑が明らかになると共に、吉井も蒼井のコピー体への想いを整理し、惑星カザンの新たなる文明の始まりを予感させながら、物語は静かに幕を閉じます。

    ハードSFとしてきっちり落とし前をつけているところは、SF者としてとてもスッキリしました。かつ、物語の世界観として、実は日本人が大好きな古典的「勧善懲悪」モノだと、読了後に気づくんですよね。読了後のスッキリ感は、それに拠るところも大きいと思います。
    ただ、ちょっとキレイにまとめすぎかな?という捻くれた印象も、正直ちょっとあったりして・・・良作であることは、間違い無いです!

  • 綺麗に組み立てられたストーリーなのですが、登場人物の行動や起こる出来事に説得力が欲しかった

    ・ファーストコンタクトだったり、ナノマシンだったりと、SF部分の描写は緻密&すんなりと読めるのですが、どうにも登場人物の行動や起きる出来事の描写がお粗末に感じる為、SFとして読むにはすっきりしないし、ヒューマンドラマとして読むにもリアリティが弱いしと、互いの描写が邪魔し合っている印象でした

    ・特に「一万光年を隔てた異星で、調査隊員750名はなぜ消息を絶ったのか?」と緊迫感あふれる煽り文句に対しては、リスク管理のお粗末さが原因としか思えないですし、ストーリー本筋にあまり関係なかったりと違和感バリバリ。

    ・SF作家としての経歴は結構長く(30年程度)、かつ、著書も多い大御所さんなので、ストーリ自体は破綻なく綺麗に組み立てられているのはさすがと思います

  • ある星の調査に向かった宇宙船が行方不明になり、第二陣として主人公らが乗る大型の宇宙船が調査に赴く話。惑星カザンには文明が発見されていたはずだが、主人公らが到着した際には文明が滅んでおり、何故か地球に存在する植物が生えていたりするなど、奇妙なことが続く。調べていくうちに星の表面がすべてナノマシンで構成されていることが分かる、という内容。

    超強力な学習機構を持つナノマシン群と手探りで会話を進め、認識の溝を手探りで埋めていく辺りが面白い。登場するナノマシン群が模した人物らには不気味さや何をやってくるか分からない怖さもあるのだが、なぜかレゴブロック遊びをしている子供のような感じがした。相手からの敵意が感じられなかったからかもしれない。

    個人的には第一陣の搭乗者と似た人物が地表にたくさんいる事が発覚した辺りが一番盛り上がった。ソフトウェアが載ってないハードウェアにソフトウェアを載せるに等しい、蒼井AIと複製蒼井の融合も、その後どうなるかとハラハラした。

    最終的に彼らは群から個を獲得したわけだが、独立していると思っても、割と群として動いてることの方が多いんじゃないかと思った。

  • こてこてのハードSF。文明が成長し滅亡したと思われる惑星カザンに第1次調査隊が派遣されるが行方不明に。第2次調査隊の吉野は、惑星表面にナノマシンがあり、第1次調査隊や桜など地球の植物を複製する存在とファーストコンタクトする。カザン人が複製した21世紀の地球の大都市に入ると、そこには亡くなった吉野の妻蒼井の複製がいる。言葉が通じてもコミュニケーションがまったくとれず、亡くなった妻がいるとは、ここまではソラリス。
    複製蒼井にAI蒼井がダンロードされてしまう。複数のナノマシンは生存競争を行い均衡状況にあったところに第1次調査隊が来て均衡が崩れる。ここは砂漠の惑星(無敵)。
    林譲治にしては竜頭蛇尾に終わらず、中編にもかかわらずきちんと伏線を回収し解決し、最後に落ちまでついている。レムへのオマージュにみえるけれども。

  • AIエージェントと創造物との統一シーンが美しい映像として浮かんだ。一方ワイダニットとしては工夫が無く、犯人は徹頭徹尾、粗暴で自己中心的な人物だった。

  • 「一万光年を隔てた異星で、
    調査隊員750名はなぜ消息を絶ったのか?」
    という紹介文に惹かれて即購入。こういうの大好き。しかし書店で手に取ったら「薄!」。「一万光年を隔てた異星で、調査隊員750名はなぜ消息を絶ったのか?」がこの長さで解明できるのか!? ちょっと違和感w。

    謎に引かれて、私には珍しく必死で2日で読んだ(読むのが速い人なら1日だろう)。が、ストーリーとしては面白いと思うけれど、読後の満足感はなかった。

    謎が徐々にわかっていくというよりも、登場人物が(突然)説明してくれるし(「推測」を話してるんだと思ってたらそれがそのまま正解だったとか。。) 恋愛がらみ情愛がらみがあるんだけど、なんか上っ面な感じがするし、強欲な出資者みたいなのも出てくるんだけど、これもとってつけたような。
    筋を追ってるだけで、物語に入り込むような感覚がなかった。小説というよりあらすじを読んでるような。

    2日間、夢中にさせてくれたからありがとうございます。


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著者プロフィール

林 譲治(はやし・じょうじ)
1962年、北海道生まれ。ナイキミサイル基地訴訟で揺れ、千歳基地が隣接するという環境で育ったため、
幼い頃より軍事や防衛問題に関心を抱く。戦略シミュレーションの原案などで活躍後、作家デビュー。
確かな歴史観に裏打ちされた作品で人気を集める。
著書は『戦艦大和航空隊』『異邦戦艦、鋼鉄の凱歌』『新生八八機動部隊』(以上小社刊)、
『帝国電撃航空隊』『超武装戦闘機隊』(電波社)、『星系出雲の兵站』(早川書房)など多数。

「2020年 『技術要塞戦艦大和 (3) 珊瑚海海戦!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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