地の果てから来た怪物

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488621032

感想・レビュー・書評

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  • 1959年発表のマレー・ラインスターによる空想科学怪奇小説(SF・ホラー)作品。南極中継基地となる孤島で起こる自殺、失踪による怪事件は人間の仕業とは明らかに異なっていた。通信手段も断たれ、姿の見えない怪物に犠牲者は増えて行く・・・。
    数々のSF小説のみならず映画、TVドラマの脚本も手掛けるベテラン作家らしくドラマチックなテンポで展開されるビジュアルに富んだ筆力は発表から50年以上が経った今なお色褪せることが無い。
    映画『遊星よりの物体X』の原作、ジョン・F・キャンベル・J著『影が行く』、『ボディースナッチャー』の原作、ジャック・フィニィ著『盗まれた街』、『マックイーンの絶対の危機(人食いアメーバの恐怖)』の原作、アービン・H・ミルゲート著『ブロブ』等、60~70年代に掛けて映画、小説界で人気を博したSF恐怖譚はカルトな人気を誇り、今でもメイクされる作品は多い。テクノロジーの発達した現代、妖怪に替わり怪物(クリーチャー)の存在が怪奇と恐怖を運ぶのだ。

  • 南緯60度15分、西経100度16分。南氷洋に程近いガウ島は南極との中継基地に当たる孤島だった。南極からこの島に向う輸送機で起きた怪事件。乗員9人が姿を消し、着陸を恐れるように何度も飛び去ろうとした機長は胴体着陸後、自らピストルで命を絶った。機内には弾痕が残るばかりで事件に結びつくようなものは見当たらない。だが、基地に運び込んだ機長の屍体は何者かに運び去られ、さらに基地内の人間も殺害され消えていく……どこからか現れる不気味な怪虫、闇夜に現れる“姿なき怪物”。基地内の人間たちは恐慌状態の中、怪物の正体を暴こうとする……。

    終盤で明らかになる怪物の正体はなかなか興味深いが、中盤でおおよその予測はつくかもしれない。30年以上昔の作品ということもあるのか、人物の描き方は典型的で、プロットもそう目新しいものではないか。200ページ強と比較的短めの長編なので、それほど退屈さは感じないけれども。
    怪物の出てくるSFが好きな人にはいいかも、な程度。

  • とことん寂しいイメージが印象づけられる島。そこで起こる異変は、よりパニック度を高める。個人的には未確認生命体の正体を見破れなかったのが悔しい。

  • マレー・ラインスター作のSF『地の果てから来た怪物』(創元推理文庫)読了。もちろん古書で73年の6版。残念ながら絶版。

    原題が"THE MONSTER FROM EARTH'S END"。この小説で南極を指すEARTH'S ENDを「地の果て」としたのは秀逸。

    原作は59年作でアメリカSF映画がわんさか作られた年代なので、このお話もいかにも映画向き。

    南極近くの補給基地の島に南極基地から荷を積んだ飛行機が立ち寄ることになったところから始まる。

    南極基地からきた飛行機長以外の姿がなく、しかも機長は胴体着陸した後に拳銃自殺していた。

    ミステリー仕立てで進み、怪物の正体はラスト近くにならないと解明されない。

    それまでの間、不可思議なことが連続し、基地の隊員隊が疑心暗鬼に陥って行く。何か知っているらしき探偵役の生物学者が口を閉ざし、緊迫感が高まる。

    閉ざされた極地の基地、謎の連続殺人、見えない犯人、というとキャンベルの『影が行く』を思い起こす。

    それに怪物の正体はあの名作怪物SFも思い起こすのだが、後から書かれただけあってラインスターは意識していただろう。より洗練度された小説に仕上げている。

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