イヴのいないアダム (ベスター傑作選) (創元SF文庫)

制作 : 中村 融 
  • 東京創元社
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本棚登録 : 73
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488623050

作品紹介・あらすじ

第一回ヒューゴー賞受賞作『分解された男』やオールタイム・ベストSFとして名高い『虎よ、虎よ!』など、実験的かつ先鋭的なスタイルで知られるアメリカSFの鬼才は、短篇に於いてもその実力を存分に発揮している。アンドロイドと人間を繋ぐ狂気の絆を渇いた筆致で描くロードノヴェル「ごきげん目盛り」。最終戦争後の世界で生き残りの男女ふたりが送る奇妙な都市生活「昔を今になすよしもがな」。享楽の限りを尽くす六人の男女が体験する壮絶な悪夢世界の遍歴「地獄は永遠に」ほか、単行本『願い星、叶い星』に収録の8編に新訳2編を増補し、改題文庫化にて贈る、日本オリジナル傑作選。

感想・レビュー・書評

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  • オールタイム・ベスト級の名作「虎よ、虎よ!」を始めとして、いわゆるワイドスクリーン・バロックの代名詞にもなっているベスターですが、実はその作風は意外と幅広いです。そんなベスターの特徴がよく出ている短編集。

    ワイドスクリーン・バロックと言えば、ストーリー展開の整合性には目をつぶって勢いだけで読ませる作品、というイメージが強いですが、この短編集に納められている作品は基本的に(ギリギリのラインではありますが)ストーリーの破綻はなく、オーソドックスなSFとして、またはファンタジーとして楽しめる作品ばかりです。だからといってベスターらしさが削がれているかと言うと全くそんなことはなく、あの独特のドライブ感溢れる文体、眼前に映画のスクリーンを現出させるがごときヴィジュアルの喚起力はいつも通り健在。さすがの「ベスター節」炸裂!
    ただ、似たようなテーマの作品が多く、読み進めるうちに少々ダレてくる感があり、鴨的にはもう一息な感じ。面白くないわけではないので、そこは誤解のなきよう!どちらかというとSF中級者向けの作品ですかねー。

  • 「虎よ!虎よ!」などで有名なアルフレッド・ベスターの傑作短篇集。古びたSFネタを独特のアレンジで魅せる。

    古くさいSFの定型アイディアも、ベスターが書くと独自の精彩を放つ。まぁ本作の短篇が書かれたのもすでに何十年も前なのだが。

    表題作<イヴのいないアダム>の映像はベタなSF感があふれていて好きだ。<選り好みなし>は自分だったらどうするか、創造が広がるのが楽しい。人生訓のようなラストも○。<時と三番街と>は短いが会心のヒット。タイムトラベルものでは何度も見たようなオチだが、こういうのでいいんだよ。<くたばりぞこない>は機械と人間の融合が進んだ世界観に、いまやリアリティを感じる時代になったことを思う。老人の最後のセリフには迫るものがある。

    奇抜な作品が多いのが特徴だが、<ジェットコースター>だけは含みが多すぎてピンとこなかった。バラエティ豊かな短篇集なので人それぞれ気に入った作品があれば良し。

  • 中身は大体知ってるが、新しく出ると欲しくなる。
    確かあるはずの未訳の本、出して欲しいなあ。

  • 読後の後味の悪さが好きだ。w

  • 日本オリジナル編集の短編集。単行本は河出書房新社の『奇想コレクション』の1冊だった。文庫化にあたり2篇追加。
    元々が『奇想コレクション』だったと言われると納得の短編が揃っている。特に『地獄は永遠に』と『くたばりぞこない』は秀逸。

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