時間の墓標 (創元推理文庫 629-8)

  • 東京創元社
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488629083

感想・レビュー・書評

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  • SFと、著者ならではの哲学が混じった
    独特の世界観のあるSFです。

    なんというか、現実にありそうな作品が
    結構あるのです。
    中には、現実になりつつある作品も。
    それが、「識閾下の人間像」です。

    これは絶対に、思い当たると思います。
    ある、メディアが取り上げると
    えらい反応をする、あれです。

    癖があるけれども
    それがはまれば、面白いはずです。

  • 実家の倉庫にあった未読の本の中の一冊だったんだけれども、いつ購入したのこかも、何故購入したのかも記憶にない。どうも新刊らしく、1988年の版だから、高校〜大学初期のSFに少しだけ凝った時読み切れなかったものらしい。『結晶世界』は読んだ記憶があるけれども、印象らしきものがあまり残っていない。僕が手にしていたSFのビギナーズガイドでは文学的、詩的なところが非常に高く評価されていた記憶がある。

    で、バラード、10数年ぶりに読んでみたけど、読みにくいよ。5日もかかったぞ、読み終わるのに。提示される世界像をイメージするのに時間がかかるからかな。

    この作品集にはバラードが1960年から64年までに発表した短編が9編収められているのだけれど、40年後の現在読むと少し古くさく感じてしまう短編もいくつか。

    特に不当に逮捕され、不当な裁判によって死刑を宣告された男の監禁生活を描く「ゲームの終わり」、街中に溢れるサブリミナル効果によって過剰な消費行動を繰り返させられていることを国民全体が気付かない世界の物語「識閾下の人間像」は今読むとちょっとつらい。60年代に考えられた近未来像が古くさい(近未来なのに自動販売機が硬貨しかうけつけない、などの些細な問題はある)というのではなくて、絶対的な権力を有する管理する体制に相対する個人というテーマが描き尽くされてしまったように思える。

    その一方で、自分が生きる生活空間のミニチュアを自宅に持ち、翌日の世界をそのミニチュアを眺めることで知ることができる男の物語「ゴダード氏最後の世界」、数万年前は海底であった街に住む男にだけ太古の海が蘇る「甦る海」あたりは新しいメルヒェンといった感があり、印象深かった。

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