未来の二つの顔 (創元SF文庫) (創元推理文庫 663-5)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488663056

感想・レビュー・書評

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  • 時は2028年。コンピュータと人間の未来を探るべく、宇宙ステーションにて壮大なシミュレーションが開始する。

    1979年発表、日本では1983年に翻訳された、ホーガンの代表作のひとつ。2022年の今、これを読んでまず思ったのは、当時作者が未来予測的に描いたコンピュータにまつわるデバイスやインフラなどが、かなりの打率で実用化されているなぁということ。スマホやタブレットっぽい情報端末などは言うに及ばず、ほとんどの書類が電子化されていたり、対戦型ネットゲームがあったり、ドローンが現在のイメージまんまで出てきたり。そんな中で、本作が掲げる人工知能の進化と人間との共存というようなテーマは古典的ではあるけれど、今だからこそ間近に迫っている問題としてリアリティを感じながら読んだ。展開はベタだが、その経過を彩るハードSFとしてのディテールと、ホーガンらしい発想の着地点がありふれたものではなく、本作には40年を超えて今もって古びない感動と示唆がある。シンギュラリティと人間の未来や如何に。

  • 人類と思考形態が異なるAIというものをしっかりと描写してくれた一冊。対立試験が激化していくあたりはストレスがたまる一方だったが、シメはホーガンらしい健康的な科学礼賛でほっとした。AIが影像への理解を深めていくさまが面白かった(一般化の伏線は予想通りだった)が、これも一種の成長小説と呼べるのだろうか。

  • 今の時代でこそ機械学習はごく普通の話であるけれども、1980年代にここまで予測しているのは驚異としかいいようがない。

  • 未来の二つの顔 (創元SF文庫)

  • ロボットとの共存をアシモフとは別の視点で考えさせてくれる。

  • 【要約】


    【ノート】

  • 人工知能が感情・自我を獲得するためのステップ(『未来の二つの顔』ネタバレ書評)
    http://hiah.minibird.jp/?p=2322


    ***

    紹介されて読んだ本。
    人工知能の意識獲得においては、現実世界とのインタラクションや、さらには他社との対話が必要ということが示唆されていたように思う。つまり、外部環境を認識することにより、相対的に自分を独立したものとして認識する。この自我の確立は心理学や発達学ですでに体系化されているかな。勉強したい。

    それにしても驚くのは、テクニウムやフューチャーオブマインドで示されていた仮説が、30年以上も前に小説になっていたこと。当時はコンピュータも黎明期で、インターネットもなかったというのに、未来予測というかシミュレーション力がものすごい。
    ドローンの飛ぶ景色もまさに実現しつつある。

    ただし物語の読みやすさでは、物語の起動が遅かったり、キャラクターの魅力のなさもあって、前半は読むのがつらかった。
    起動が遅く思えたのは、未来予測が正確すぎて、現代であれば当たり前の話が続いたからかも。当時であればそれも新しいアイディアとして読めたのかな。
    でもドローンとか、戦闘の前段階で説明内必要なものをストレートに描いていて、伏線として示唆したりさりげなく紹介するような感じではなくて、このあたりも物語としての書き方がうまいとは思えなかった。
    キャラクター描写は閉口。人物の個性の書き分けも微妙だし、自己陶酔型の典型的オタクばかり。ダイアーも私生活では自分勝手なナルシストで、感情移入どころか気持ち悪さが大きかった。言葉遣いの翻訳の古さも影響していたかも。

    一度読んでおけてよかった。

  • 2017年5月時点、DeepMind社が開発したAI「AlphaGo」は囲碁棋士の世界王者を打ち破り引退を表明、今後は医療やエネルギー分野へ取り込むことを発表。いよいよAIが人智を超えるときが来たのかもしれない。

    ジェームズ・P・ホーガン氏は未来が見えていたのではないかというぐらい彼の予見力の精度は高い。本書で語られる2030年前後の世界がまさにいま訪れている。「この分野では人間が優位」など重箱の隅をつつく時代は終焉を迎えたように思う。

    人工知能が人智を超越し争うテーマはよく見るが、機械の生存本能を刺激したらどうなるか?という思考実験が面白い。有機体の進化は無機体の進化の前提であり踏み台ではないかという本能的懸念を、それこそ機械的な合理性を持って希望的結論を導くストーリーは見事である。

    約40年前の本で翻訳や用語の点からやや読みにくさはあるものの、著者の着眼点や発想力は時代を経ても色あせることはない。

  • 中盤からどこでなにをやっているのか把握しづらかった。

  • 人工知能は人間に対して安全なのか、最近でもホーキング博士を始めとして危険と唱える識者の方も少なくない。この問題に対して地球とは隔絶された宇宙ステーションの中で実験を試みるのがこの小説です。人間側の執拗な攻撃に対して人工知能が次第に凶暴さを増してきて熾烈な人間vs人工知能の戦いになるところがハラハラドキドキでとても面白い。最終的には和解して人間の良いパートナーになるといったハッピーエンドで終わるところもまた良し。この戦いの最中、人工知能は一億年に相当する進化を遂げたとある。ヒト亜科として区分される動物が現れたのは、600万年前から500万年前とされていますが、人間はまだ進化が足りないのでしょうか?ちなみに人工知能が自己の修理や攻撃に使う様々なドローンが登場し、日本で研究開発されたとあるのが面映いのですが、この小説が発表されたのは1979年、日本の全盛期なのだな。。。

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