未来からのホットライン (創元SF文庫)

制作 : 小隅 黎 
  • 東京創元社
3.82
  • (25)
  • (35)
  • (29)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 324
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (439ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488663063

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 【読了レビュー】大御所の著した時間SF。静かなる感動を呼び起こされ、鳥肌が立った。
    作中で述べられている「時間」についての概念は、今ではもう使い古されているものであるにもかかわらず、作品としての纏め方が綺麗で、やられました。
    今この瞬間に見ている世界も、消えていった時間線に懸命に生きた人々の、描かれなかった数え切れないストーリーを犠牲にして成り立っているという。
    こういう美観で世界を見るの、好きです。

  • シュレーディンガーの悪魔

     すばらしい。ここのところ、映画や書籍でタイムパラドックス関係に触れていたもので、ハードSFの作者がこれをどう描くのか興味があって手にとって見た。

     タイムパラドックスについては、アニメを題材にした簡単な解説がある。しかし、ノベライズとなるとこれが難しい。

     ノベライズ(小説化)する場合、それが特にSFである場合には、ストーリーの楽しさとタイムパラドックスに関する帳尻あわせが必要になる。このバランスをどの辺に取るかが作者の技量によるところだろう。

     「未来からのホットライン」は、まさに熱狂的ファンが多いホーガンがこのバランスに挑戦した作品だろうと思う。私も「星を継ぐもの」以来、ホーガンのファンである。どこがいいかというと簡単である。「あっと驚く結末」であり、「破綻のない帳尻合わせ」である。




     こっちのコメントが冗長になる前に今回の感想を書いておこう。まず最初から一気にのめりこんでしまった。いきなりマックスウェルという名前の猫が登場するのである。シュレーディンガーの悪魔が出てきてもおかしくない。このしょっぱなでホーガンの読者に対する挑戦が見て取れた。
    (シュレーディンガーについて簡単な解説はこっち)

     相変わらずホーガンらしく冗長さは残るし、小説としてのストーリーはきわめて単純。ウィルスや核融合を持ち出してはいるものの、その部分は薄っぺらい。飽くまでテーマはタイムパラドックスである。読者はどんな結末を用意しているのかを楽しみにひたすら読み進めることになる。

     後半に入ったところで結末(小説としての結末という意味ではなく帳尻あわせの結末)が読めてくる。その手があったか!と気づくのである。タイムトラベルに関して、私の経験ではこの手法を用いたものはない。

     過去を変えることで未来が変わる手法(これはあまりにアニメっぽいが映画で考えると「オーロラの彼方へ」はこの例だろう)、未来はやはり変わらない手法(これが多い)、そして過去を変えることでもうひとつ別の未来ができるという手法(これも多い)でパラドックスを克服しているものがほとんどだろう。

     「未来からのホットライン」で使われたのは、これらの手法のいずれでもない。考えようによっては未来は変わるし、変わらないと考えても正しい。登場人物に感情移入する必要はない。これまで誰も気がつかなかった超観察者の手法を用いているのだから。賛否両論あるだろうがこれは傑作である。

  • 言葉だけ、それも一度に6文字だけを過去に送ることのできる機械を作り上げたチャールズ。そこへ数学者や物理学者を集め、どのように活用、改良するかを議論する。そんな中、世界中で謎の現象と謎の病気が流行り始め、直ちに原因は判明するが、過去にある原因を止めることができるのか?

    全部読み切ると、よく考えてあるなあという小説だが、いかんせん途中がダレる気配があり、天候も影響して正直なところ眠いのを我慢して読んだところがある。

    過去へ送れるものは、文字だけ。それも一度に6文字だけ。でも連続して送ることで、過去における未来に起こる事故を回避することができる。分岐型の未来像ではなく、ホーガンは違う"時間線"に乗り換えるという言い方をしているが、早う話がタイムパラドックスをどう議論するのかという点がかなり長々と、図まで加えて書かれており、そのへんはハード。

    別の意味でハードなのが、メッセージを過去に送った時点で、過去の話にポンと飛ぶ。難病が発症して全く動かなくなった人が、次のシーンはその前に戻って会話していたりする。同じセリフなどでうまくつないでいるものの、若干ついていくのが厳しいと感じるところだ。また、そこで違う時間線の話が始まるわけで、そのパラドックスを十分には楽しめなかった。

    2/3ほど進んだ当たりで、目的がはっきりし始める。はっきりしてしまえばホーガンらしいストーリー展開で、安心して読み進められる。ただ、地球規模の危機が立て続けに起こりすぎであり、起こる事件は1つだけで、それを解決でも良かったんじゃないかと思う。

    ところで、「タウ波」については少々力技という部分はあれど、プログラムにしろブラックホールにしろ謎の病気にしろ、ちゃんと取材して調べて書かれており、ここんとこ読んだ日本の微妙なSF作品とは、月とスッポンほどの違いがある。

    ただまあね、真ん中の1/3は読みにくいよねこれ。その辺加味して、ちょっとSF玄人向けかな。

  • スコットランドの片田舎で、過去にメッセージを送ることができるタイムマシンを開発した老科学者、チャールズ。一方、核融合施設が試運転を始めた途端、世界中で不思議な現象が…。どうやら、核融合炉が微小なブラックホールを無数に生み出してしまったらしい。放置しておくとエネルギーを吸収して巨大化し、世界は破滅してしまう。チャールズの孫のマードックは、タイムマシンを使って過去にメッセージを送って警鐘を鳴らすことに。しかし、恋人のアンとの出会いも無くなってしまい…。次の世界では、ブラックホールの発生は無事回避できたものの、未知のウイルスが広がってしまい世界がパニックに。そこで今度はワクチンの情報を過去に送って…。

    本書では、過去にメッセージを送ると、未来が書き換わることになっているが、元の世界がその後どうなったかは描かれていない。結局、元の世界は存続したまま別の世界が枝分かれしたに、ということなんだろうなあ。まあSFだから真剣に考えてもしょうがないんだけれど。

    前半は、スコットランドの風景や建物、機器の描写が細かくて、また、タイムマシンのりろんが複雑で読み難かった。中盤以降、ストーリーにスピード感がでてきて、面白くなった。

  • 未来からのホットライン (創元SF文庫)

  • シュタインズ・ゲートの元ネタというかシュタゲがリスペクトしているであろう内容。タイムトラベル物でまさかのラブストーリー…!「忘れてなんかいないわ」にちょっと泣いてしまった。

    新しいなと思ったのは(1980年の作品なのに!)タイムトラベルの実現について国家をまたいで共有し、地球の未来を守るために首脳陣が知恵を絞っていく過程。もちろん打算や独り占めしたい各国の思惑も混ざるが、それでも歴史改変の危険性回避のために最善を尽くそうという強い意志がありそこも泣けた。

    長編なのでずいぶん長いこと欲しいものリストに入れたまま放置していたが、読んで良かった。

  • 本格的(というのもおかしな表現だけど)な印象の作品。 前半は取っつきにくいのでエンタメ小説として読むにはあまりオススメはしない。 こういった時間モノが好きなら読んで損はないように思う。 時間線の移動に関しての描き方はとても面白いけどもう少し何か細工があるのかと思った。 しかし30年以上前の作品とは思えない。 詳しいことは知らないけどシュタインズゲートはこの作品の影響を受けてるんだろうなって感じ。

  • タイムトラベルものとしてはそこまで面白くはなかった。
    過去との通信装置の設定を含めて素粒子物理から凝ってる割には、その設定が十全に使われているとは思えず、ただ読みにくいだけだった。
    別に新しい粒子を作らんでも先進波でいいんじゃないの?
    通信装置は現在の危機を救う福音装置であり、悪影響がほぼないのはどうかと思う。むしろ危機の原因と絡めて欲しかった。


    ハインラインの『夏の扉』の方が肩が凝らずに好きだな〜。

  • ワクワクが止まらなかった。最高。

  • 過去へメッセージを送るプログラム?何それ?一種のタイムマシンね。物理学的な話は良くわからなかったけれど、存在する宇宙の時間的な在り方の一つの提示はそれもありかと思わせてくれる。他の作品も読んでみようかな。

全31件中 1 - 10件を表示

未来からのホットライン (創元SF文庫)のその他の作品

未来からのホットライン (創元SF文庫) Kindle版 未来からのホットライン (創元SF文庫) ジェイムズ・P・ホーガン

ジェイムズ・P・ホーガンの作品

未来からのホットライン (創元SF文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする