造物主の選択 (創元SF文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (491ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488663209

作品紹介・あらすじ

人類は土星の衛星タイタンで驚くべき異種属と接触した。彼らは意識を持ち自己増殖する機械生命で、地球の中世西欧社会そっくりの暮らしを営んでいたのだ。人類との接触で新たな道を歩み始めた機械人間たちだったが…大きな謎が残されていた。彼らの創造主とは何者なのか?コンタクトの立役者、無敵のインチキ心霊術師ザンベンドルフが再び立ち上がる!『造物主の掟』待望の続編。

感想・レビュー・書評

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  • 『造物主(ライフメーカー)の掟』の続編。機械人たちとの接触から数ヶ月後、残された謎が明らかになるが……。

    序盤から、ザンベンドルフのはったりマジックが今回も面白い。実際には「そううまくはいかんやろ」と思ったりもするが、トリックの内容はよく考えられていて楽しめる。

    前作から10年以上執筆の期間が空いているにもかかわらず、前作・続編というよりも、前編・後編といったほうがよさそうなほど、話の内容は連続していて違和感がない。今作では前作で最大の謎であった、機械人を送り出した異星人が登場し、タイタンは大混乱に陥ることになる。

    意識はデジタル化できるか――という命題はさておき、覚醒後のサーヴィクの状況は恐ろしい。動けない体、機械なので死ぬこともできない、意識だけがそこにある――この恐怖を想像してしまった。ただ本作の焦点はそこではなく、肉体を持たない彼らがタイタンの機械上で大暴れし、そこにイカサマ心霊術師ザンベンドルフの出番が出てくるところに面白さがある。

    すべてのお膳立てが整い、後半以降から加速的に面白くなるのはホーガン読者ならいつも通りといえるだろう。日本のシラサギ号が到着してますます複雑になるタイタンをめぐる政治情勢、この政治劇的な側面と、科学と心霊の対決に見せながら実はそうではない、ワイナーバウムとザンベンドルフの対決も見どころだ。

    本作に登場する、理性と科学を信じるユーモラスなAI《ジニアス》と、人間の本質を理解するザンベンドルフ。
    AI vs 人間の究極の結論ともいえる両者の対決、そしてAIにハッタリをかますイカサマ心霊術師のギリギリの攻防がアツい。ラストの決着はあっさりすぎた気もするが……。

    ガニメアンとは真逆のタイプの異星人の描き方は巧みで、前作よりも本作が好きという人は彼らの魅力が大きいのだろう。決していいやつらではないのだが、極めて個性的なのだ。ザンベンドルフのその後が知りたいし、まだまだ続きが読みたいくらいだが、本シリーズはここまで。

  • タイタンに文明を築いていた機械人(タロイド)たちとの邂逅を描いた『造物主の掟』の続編。タロイドの創造主である異星人がついに出てくるが、こちらは「巨人」シリーズのガニメアンと真逆の存在で遠く離れた地球ごと危機に瀕することに。
    それに立ち向かうのが、前作に引き続き主人公のインチキ心霊術師のわれらがザンベンドルフ。意外な異星人の正体と、彼らの行動から二転三転するストーリーは前作よりおもしろいと言えるかも。

  •  少しばかり都合のいい展開が気になるが、続編としては最高のできばえだろう。

  • 『造物主の掟』に続く作品。元々続きものにする予定はなくてファンや出版社の声に応える形で構想した作品とのことだが、よく書いてくれた。ありがとう、ホーガン。

    巨人シリーズとはまったく違った性質の異星人文明をその起源や進化の側面、文化も含めて魅力的に描くのはさすがだし、機械文明や機械知性と人間の関わりについてホーガン流の人間社会にシニカルな目線で描かれている所なんかはAIに注目の集まる今こそ読むべきシリーズなんじゃないかと思う。

    シリーズはここで終了ですがザンベンドルフたちはこの後どんな仕事をしていくんだろうなと想像したくなる。

  • 造物主(ライフメーカー)の選択 (創元SF文庫)

  •  先進種族のわがままな要求を心理学!でどうにかしちゃおうとするSFコメディ。ボリジャンの個性がもっとあれば、さらに面白くなったと思う。

  • 人類を現在として、はるか先を行く異星人と人類が辿った
    過程にあるタロイドの世界がそれぞれ並行かつ絡み合いながらに
    動きながら、結局、人類の位置にまとまっていくところが
    都合よすぎると思うが・・・
    前作からのメカ沢さんや新キャラ《ジニアス》の魅力
    ザンベンドルフの害意のない騙しは読んでいて楽しい。
    ただ異星人の結末についてはあまりにあっさりしすぎていて
    ちょっと拍子抜け。

  • 積ん読が多くなりすぎたので、時間のかかる原著は断念(言い訳)。人類より遥かに進化した生命ボリジャンの社会のありようは面白いけど、あまりしっくりこない。他人をいかに出し抜き、自分の利益を最大化するか?という事をモチベーションにするというけど、生命維持のための資源が潤沢であれば、その行動パターンは足枷にしかならないのではなかろうか。とは言え、鳥類をベースに進化した生命であれば、相争っているのも分からないでもない。ホーガンはきっと鶏を見てボリジャンを思いついたに違いない。
    お話的には、ボリジャンのレベルが人間とも、機会人とも違い過ぎて戦いにもならず、オチは大長編ドラえもんを見ている時の気分。
    ジニアス5はまるで天冥の標のフェオドールみたいだけど、意識してるのかな?

  • 原題 The Immortality Option

    ハードSFの大傑作。
    『造物主の掟』の続編です。
    だいぶ前に買ったままどっかいってたんだけど、先日、出張の折に実家で発掘!
    前作はホントに面白かった。
    アシモフのファウンデーションシリーズ
    ブリンの知性化シリーズ
    とならんで、私の中のベストオブハードSF!!
    どんな話かっちゅーと
    2020年ごろ、人類は土星の衛星タイタンで、独自の文化を築く機会生命(タロイド)と出会うの。
    彼らは、一部の王族と教会に支配された地球のルネッサンス以前のような状態で、
    自分たちは機械でない偉大な存在(ライフメイカー)に創られたという信仰をもっているわけ。
    知的水準は大したことないんだけど、もともと機械なもんだから、そっちのレベルはやたら高い。
    そこに目をつけた地球の悪い連中が、タロイドの支配階級と結託して、
    植民地にして、バンバンいろいろつくらせよーとおもうのね。
    そこで、活躍するのが、何故か探査船にのってるインチキ霊媒師のザンベンドルフ。
    この人、インチキ霊媒師のくせにみょーに正義感の強い、彼と彼の仲間は、タロイドの民衆のために、
    きゃつらの野望をくだこーと、得意のインチキを駆使して真っ向から立ち向かう…ちゅう話。
    そんな、前作から12年後にかかれたのが今作。
    ついにタロイド達をつくった存在(ライフメイカー!)が登場…
    さらに、まだまだ悪巧みはすててなかった悪い連中…
    そして、またしても、タロイドたちのために立ち上がるザンベンドルフチーム。
    ってな話です。
    残念ながら前作の興奮はよみがえってきませんだしたが。
    なかなかよく出来てましたよー
    やっぱ、主人公のキャラがいいなぁ~

  • これの前作「創造主の掟」の
    ところに言いたいことは書いたけど。
    とにかく、これは読まないといけない本w
    J.P.ホーガン先生の「カムに乗った」作品。
    最高です。

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