- 本 ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488663278
作品紹介・あらすじ
火星都市で研究されていたテレポーテーション技術の、初の人体実験。それは大成功を収めたかに見えたが、実験対象となった科学者の周囲で奇妙な事件が続発する。一方、火星の荒野で発見された12000年前の巨石遺跡は、地球も含めた太陽系全土に痕跡を残す古代文明のものと思われたが、破壊の危機が迫っていた。二つの謎を巡り、フリーランスの紛争調停人キーランは調査に乗り出す。『星を継ぐもの』の著者が放つ傑作SF!
感想・レビュー・書評
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これはややこしい。科学者の不正であるわけだが。
自らを実験に使っている。船の板一枚を取り替えたものはオリジナルだが、すべてを取り替えたものは、はたして修理したものなのかという理屈から、テレポートを可能としたのだが、本当は原本である自分をどうするかという問題が残ったことを隠蔽する。しかし科学者自身はまず生き残りたいので、科学者が結果二人になってしまう。そのいずれかと山師はビジネスの交渉をする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「怖いもの見たさ」で購入。
J・P・ホーガンと言えば40年ほど前に「ガニメアンシリーズ」(『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』『巨人たちの星』など)で一世を風靡したSF作家。「科学技術の発展はきっと人類を幸せに変える」的オプティミズムを前面に出し、私にとっての最後のハードSF作家さんでした。もともと結構「な~んちゃって科学」というか似非科学的なところは有りましたが、その後は少しずつ方向性が変わり、次第に翻訳されることが無くなり。。。。それが没後10年になろうとする今になって新刊の発行です。
二部構成です。
第一部はテレポーテーション。もっともそこはハードSFの作家ですから、超能力では無く、スキャンして別の場所で再生させるという技術です。そうなると当然ながら問題になるのはコピー元の人間をどうするのか?であり、それにまつわるトラブルが発生します。
第二部は超古代文明。ガニメアンシリーズも超古代文明ものと言えますが、ハードSFとしてしっかり味付けされていました。しかし今回はこれも一世を風靡したエーリッヒ・フォン・デニケン『未来の記憶』的なものです。どうも晩年のホーガンさんはこういう方向に傾いて行ったようですね。
もっともテレポーテーションも超古代文明も背景的な扱いで、メインは通称ナイトと呼ばれる紛争調停人の活躍です。これがまたジェームス・ボンド風夢物語と言いましょうか、まあアクションは無いのですが万能選手。ただ次々と現れる登場人物たちの造形が悪いのか、私の興味が失せたせいなのか、どうも頭に入って来ない。
と言う訳で私にとって「怖いもの見たさ」という予想は当たってしまいました。
ガニメアンシリーズに熱狂した人間から見れば完全な肩透かしなのですが、かつてのホーガンを知らず、ラノベ調で軽いノリの「正義の味方」による痛快サスペンスとして読めば、それなりに楽しめるのかもしれません。 -
火星の古代遺跡は確かに出てくるのですが、大きくストーリーに関与することはないのです。ページ数の割には、盛り上がりに欠けると言わざるを得ないと思います。
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#日本SF読者クラブ SFというより、ミステリーあるいはサスペンスの要素が強い作品。特に第2部の方は、ハリウッドのアクション映画のような趣で、いまいち好きになれない。「ホーガンのSF」を読みたいんだよ。
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「星を継ぐもの」と違って謎は謎のまま。SFというより冒険小説っぽい展開だったが「ナイト」の活躍が痛快だったのは確か。
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厚い本なのでしばらく放置していたものを読んでみたら、中に2本入ってた。シリーズ化するつもりだったのかなぁ?
最初の話は3Dプリンターの進化版みたいで面白い。The Flyみたいに物質を分解して再構築、ではなく新たに違う場所で作り上げるって発想がすごいな。でも確かに、有線でつながっていなかったらできないものな、前者だと。
犬のロドムじゃなくてロダンじゃなくて…犬が可愛かったです。 -
『円熟期の傑作』ではない
主人公に都合の良い展開がホーガンらしいけれど、社会が良くなっていく楽しさが感じられなかった -
ホーガン特有のスーパーマン的能力をもつ主人公による痛快な物語だが、科学ディテールのスパイスが絶妙。
ジェイムズ・P.ホーガンの作品





