モンスター・ドライヴイン (創元SF文庫 ラ 3-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488717018

作品紹介・あらすじ

金曜の夜、ぼくたちはドライヴイン・シアター"オービット"に集まった。いつものB級ホラー映画オールナイト。いつもの大騒ぎ。だが突然、血の色の光を放つ怪彗星が襲来し、観客全員が異空間に閉じ込められてしまった!娯楽の殿堂から一転、生き残りを賭けた凄絶な戦場に変わる"オービット"。ぼくたちはここから生還できるのか?伝説のスラプスティック青春ホラーSF。

感想・レビュー・書評

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  • ドライブインシアターで一晩中ホラー映画を見るのが楽しみな高校生3人組。ビリヤードバーで知り合った荒くれ者のウィラードと、ホラー映画を楽しんでいると、赤い彗星と稲妻が現れ、ドライブインの周辺が酸の海で囲われ、逃げ場がなくなってしまった…。

    あらすじを読まない主義なので、どう展開していくのかが全く見えず、全3章の1章目が、本の半分を過ぎても終わらないという話で、大丈夫なのか?と思ってしまった。

    1980年代までのオールドホラー映画(しかも有名B級物)がこれでもかと羅列されており、そちらのファンの人にはそれだけでも楽しいのではないかと思う。時々映画の描写を引き合いに表現したりというのもある。

    ストーリーの方は1章の後半あたりで、あれ?それもアリなの?という展開となり、その後はどちらかというと、スポンジボブやシンプソンズなどのようなワルノリになっていく。

    稲妻のあたりやポップコーンキングの出現など、キーとなる部分の描写がかなり荒っぽいため、わからなくもないけど何がどうなってんの?というところはなくもないが、グズグズでドロドロの表現を長引かされるよりはマシかな。

    あとがきで訳者も「これはいったいなんなんだ?」と書いているが、まあ、田中啓文やら筒井康隆やらを読んだことのある人なら、十分についていけるストーリーであろう。

    万人向けではないけれども、訳もじっくり丁寧になされていると感じたので、個人的には結構好きな作品だ。

  • う〜ん、、、マキャモンのスティンガーと比べちゃいけないよね。

  • 温度の低い蝿の王。未訳というシリーズ続編も読みたい。


    “ちがう、この涙はランディやウィラードを思ってのものじゃない。彼らは、ぼくが見ていた楽しい夢の一部にすぎない。思い描いていた善なる神々なんてものも実在していない。人間の善なる部分も、デカブツが弱い人間の頭を殴らないよう、社会が規定した条件づけの結果に過ぎない。(…)人生はカーニバルの乗り物のようなもので、終点についてベルが鳴るとひとは降りて虚無のなかに返っていかなければいけない”
    “悪質なものでもいい、ともかく神々や魔法が存在していてほしかったのに。”

  • 翻訳のせいか文章が気に入らないのと、リズムが悪い。内容もそのせいかグッとこない。ナンセンスものにしても突き抜けてない。ハップとレナードに戻るか。

  • カルト的な評価を得ている作品です。B級スプラッターホラーへのオマージュとも、おばかSFとも、青春小説ともとれる不思議な魅力を持っています。嫌いな人は相当嫌いだと思いますが、不条理ともいえる奇怪さがなんとも楽しいのです。

  • 面白かったー笑
    ほんと青春あほホラーです!
    続編が今だに和訳されてないとのことですが、出なんでしょーか…(ToT)?

  • ランズデールでもこんなクソみたいな話を書くんやなーと勉強になった。ホンマに読む時間が勿体なかった。

  • 最後の文章を読み終えたあとに思わず「ブラボー!」と手を叩いて大喜びしました。深夜のテンションって恐ろしい。
    これは個人的にかなり好みな題材でありました。

    やっぱりホラー映画祭りは男同士で!と、良質な青春ストーリーの始まりを予感させつつ、(タイトルと表紙でもう分かる通り)集団ヒステリーからのSF、そしてヒャッハー!なスプラッター・ホラーへと変化していくすさまじさ。そんな中でも、少年同士の友情も色濃く感じ取れるし、主人公の揺れ動くさまも現実的で感情移入がしやすいです。

    単純に5本の往年のホラー映画を延々と流され続けるって状況だけで、途中で脳みそやられそうで怖いですね。「悪魔のいけにえ」の車内で兄貴暴走する場面や、食卓シーンでヒロイン絶叫のどアップとかを繰り返しとか。

    隣にボブ君がいてくれればがんばれそうだなぁ、と主人公がちょっとうらやましい。そんな春。

  • 家具工場をクビになったウィラードが言った。「この町とおさらばする前に、みんなと一緒にドライヴイン・シアターで映画を観たいな、金曜の夜に」ぼくたちはビールとスナックをしこたま買い込んで、いつものように≪オービット≫へと繰り出した。普段と変わらない週末の夜の大騒ぎ、何回も観たB級ホラー映画……しかし突如上空に現れた血の色の怪彗星によって、≪オービット≫は外界と隔絶されてしまった。乱痴気騒ぎの週末の夜は、殺るか殺られるか、生き残りを賭けた地獄へと一変する。食料が底をつき、人々は次第に絶望と狂気にかられていく。この地獄から脱け出すことはできるのか……。

    他のスプラッタ・パンク作品の解説で度々触れられていたランズデールの初期の怪作。待ち兼ねていた邦訳が出たので早速読んでみた次第。なるほど作品自体は中々楽しめる。この著者ならではの味でだろうなと(「えぇ?」という結末も含め)。

    しかし……この表紙イラストは何?紹介文の「スラップスティック青春ホラー」って何?
    それに惹かれて(そんな人間がいるとはあまり思えないが)そんな内容を期待した読者の7割方は、読後壁に本を投げつけるだろう。間違ってもこの作品はそんな内容じゃない。
    これは掛け値なしの≪スプラッタ・パンク≫。ふざけた表紙イラストのようなギャグもなければ(シニカルな笑いはあるにせよ)、自らの少年時代に想いをはせることができるような甘酸っぱさもない。血と臓物、人間の醜さ、弱さ、強さ、尊厳、友情……そういったものがごった煮になったハードなホラー小説だと思う。

    5年前に復刊されて、その後は増刷されていないようだけれど、もしやるならば装丁からやり直して欲しい。

  • B級ホラーを観に行ってB級映画的状況に放り込まれてサバイバルスタート。阿鼻叫喚でスプラッター、人肉上等、救いはないが友情はある。小説としては読みにくいところもあるけど、ぶっ飛んでいておもしろかった。いかにもアメリカ的なドライブインシアターの描写も楽し。

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