移動都市 (創元SF文庫)

  • 東京創元社 (2006年9月30日発売)
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感想 : 28
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  • 本 ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488723019

感想・レビュー・書評

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  • 映像が目に浮かぶような描写が素晴らしい、そして見事に話をまとめたSFだった。
    唯一の問題は、後藤啓介のカバーアートだ。誰だよその顔に傷ひとつない美少女は!

  • 良作のジュブナイル!!
    久しぶりにこういった作品を読んだからか、いい感じでヒットしました。
    中盤から後半にかけてバッタバッタと登場人物が退場していきますが、これが弱肉強食の色が強い世界観にマッチしており、都合の良い展開にならずに済んでなんだか好印象でした。

    どうやらあのピーター・ジャクソンによって映画化されるようだ。それも楽しみだけど、続編も読もう。

  • ロンドンが動く。動いて、獲物を狩る。
    都市淘汰主義のメリットはなんだかよくわからなかったものの、とにかく面白くグイグイ読み進めてしまう。
    登場人物も魅力いっぱい。
    えっ、ここでこの人物が登場して活躍するの!?となり、ニヤニヤ。
    文句なく面白かった。
    本書は四部作の第一弾らしいので、第二部にも大いに期待。

  • 都市が都市を食らうという、衝撃的な設定のSF。移動都市ロンドンが獲物を捕らえるシーンは、まるでスペクタクル映画を見ているかのようだった。

    主人公のトムは、史学ギルドの見習い。しかし、ある出来事がきっかけで、都市の最下層部であるガットへと送られてしまう。ガット、捕獲された都市が解体される場所。暗く、暑く、悪臭が漂うその環境は、まさに地獄絵図だ。

    ガットでトムは、憧れのギルド長、サディアス・ヴァレンタインと出会う。なぜかトムの家族を知っているというヴァレンタイン。トムにとってヴァレンタインとの出会いは、運命を大きく変えるものだった。中盤以降はトムと彼の仲間である少女ヘクターの友情を中心に進む。最初は反目し合っていた二人だが、共に困難を乗り越えるうちに、固い絆で結ばれていく。

    本作の魅力は、壮大な世界観と、そこに生きる人々のドラマが絶妙にバランスが取れている点だ。移動都市というSF的な設定でありながら、登場人物たちの感情や葛藤は非常に感情移入できるものだった。

    また、物語のスピード感も本作の見どころの一つ。都市同士の戦いや復讐劇、逃亡劇など、次々と展開されるアクションシーンのおかげで途中で中だるみすることがない。特にクライマックスに向けた展開は圧巻で、ページをめくる手が止まらなかった。

  • 良かった。ヒロインが意外。
    可愛い子と決まっていないのだね。
    冒頭で、ミッキーとプルートを動物の頭をしたアメリカの古き神々っていう一説があって、上手い!!
    ラストはちょいと悲しい。
    バレンタインがなぜそこまで養女の幸せを願ったのかはよくわからんかった

  • 映画を観て原作が気になり手に取りました。
    壮大な世界観が素晴らしい!
    登場人物のキャラクターや背景、ストーリーもやはり映画とは異なり、登場人物それぞれに好感を持てました!のんびり続きも読みたいと思います。

  • 映画された”モータル・エンジン”の原作、移動都市。
    ピーター・ジャクソンが気に入って、脚本にしたのがよくわかる。

    世界を破滅させるような大戦争が起きてしばらくした後の世界。
    住民の生活を支えるために、都市は移動し自ら資源を漁ることによって生き残る道を選んだ。
    大ロンドンは、ただの移動都市であるだけでは飽き足らず強大な新兵器を頼みに大きな野望を果たそうとしていた....
    その中で繰り広げられる謀略、暴力、そして若者たちの恋愛、年寄りの意地、絶望の中の未来。圧巻は都市同士の壮絶な食い合い。こんなに奇想天外でしかもドラマチックな映像が描けるファンタジーもなかなかない。
    私は映画を観てから本書を読んだので、登場人物や都市の姿など、想像のタネになるものをすでに持っていたため、本書によってよりその映像が展開され、具体的に繰り広げられた。
    ピーター・ジャクソンは好きだけど、本書は読み物としての面白さで映画を凌ぐ。でも、あの映像もとても面白かったので、ファンタジー好きとしては、映画も本書もかなりお勧め。
    https://mortal-engines.jp/

  • わくわくするような設定。スチームパンク風なのかなぁと勝手に想像。
    ストーリーは王道。4部作のうちの第1作ということだけど、この先も読み進めるかは・・・

  • 児童、若者向けの小説であったというものの、
    登場人物たちの退場=死というものが容赦なく描かれ
    弱肉強食、共食い、食うか食われるかという
    無慈悲な無常な世界・舞台を鮮やかに描きだす。

    さらにわかりやすく、ド汚い裏切り、欲望をむき出し
    の(ラスボスではなく脇役な)悪役も
    物語の彩りとして、主役二人の命と人生・価値観を
    掛けた復讐劇、大冒険を飾っている。

    児童、若者向けのわかりやすいメロドラマ的
    エンターテインメントな死、物語の味付け、
    期待を裏切るサプライズな仕掛けかもしれないが、
    きれいごと、のぞむとおりには終わらせない
    ハードで、ヘヴィーな面を持つ
    優しさだけではないエンターテインメント。
    当然続きが読みたくなる。

  • 面白かった。登場人物の名前とか固有名詞とか、覚えにくかったけれど。
    人間は裏切る。良い人そうに見えても、良い人ってわけじゃない。それぞれがそれぞれの考えのもとに行動している、と言えばそれまでだけれども。それでも信じて、裏切られて。トム自身も、たくさんの人を殺す結果になり、英雄ではない。それでもヘスターの言葉が救いになる。あんたは英雄じゃないし、あたしは美少女じゃない、でも一緒にいる。
    人間である限り、すべての者が悪なのだろう。メドゥーサを生み出した古代人も、それを使って攻撃しようとするクロームも、ヴァレンタインを殺そうとするヘスターも、結局何も出来ずにヘスターを助けるキャサリンも。すべては繋がっている。完全な善人はいない。ただ自分の信念に従うだけ。何が正しいのか? 移動する都市が必然なのか、都市は静止して生きるべきなのか。分からない。ただ、人間は争い続ける。60分戦争によって荒廃した後の世界においてでさえも。

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