ゆらぎの森のシエラ (創元SF文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.10
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本棚登録 : 152
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488724016

感想・レビュー・書評

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  •  SFファンタジー。
     もとは人間だったにもかかわらず、ある人物から化け物につくり変えられ、その手先として利用されていた男。理性を取り戻し、己を血に飢えた化け物へと変えた相手への復讐を誓った彼は、その旅の途中、森の奥でひとりの少女と出会う。
     森にひっそりと住む、変わり者の少女。げてものを食べ、おかしな奇行に走るせいで、村の人々から頭が足りないのだと思われていた彼女は、男に出会ったことをきっかけに、急激な成長をはじめる。男とゆく旅路の中で、少女はやがて己に課せられた運命を知り……

     失礼ながら、ものすごーーく「もったいない!」というのがいちばんの感想でした。SFファンタジーの大作になりそうな、面白い話の、あらすじを読んだような印象が。
     ものすご美味しい設定が、あちこちにたくさん溢れているのに、展開が急すぎて、どうも演出不足の感がありました。キャラクターの心情を想像して味わうだけの暇がなかったです。
     この三倍くらいのエピソードをいれて、じっくり丁寧に描いてあれば、きっと乙女のハートをがっつりつかむ名作になったのではないかという気がします。

     もしかして、もっと、書かれていない間を、自分の妄想で補完しながらじっくり読めばよかったのかな、とも思います。子どものころって、そういう読み方が得意だったような気がするんだけどなと、自分にもちょっとがっかり。
     それにしても、菅さんの小説って、もっとがつんと重たくて読み応えのあるような印象があったのだけれど、本作ではずいぶんとギャップが。もしかしてこれは、若書きというやつなのかな?
     などと失礼なことをいいつつも、でもこの方の本はそのうちまた読みます。

  • SF要素は他の生物を取り込んで成長する仕組みが多少描かれているだけで、基本的にはファンタジーと思う。自己犠牲的かつ不滅的で、勧善懲悪ではないところが特徴かなぁ。結局、この一連の動乱を、永遠に繰り返すような気がするよ。

  • SFというよりファンタジー色が強かったです。
    昔のライトノベルってこういう正統派な話多かった気がします。

  • この物語が初めて世に出た同年に私がこの世に生を受けたことに何か縁を感じる。
    もっと最近の本だとばかり思っていた。内容としては、今時のようなのに、風変わりなというか、よくあるようでないようなSF。
    ただ、おもしろいと思ったのは、「食べたものの知識を得る」ということ。
    これは今までになく新鮮で、なのにとても身近に感じられる考えだった。一瞬、魚の目の周りを食べる自分を想像してしまった。
    実際生き物は己の血肉とするためにものを食べているが、食べたことによって血肉以外の何かも取り込んでいるのではないかと思うと、すごくわくわくする。

  • コンパクトでとても読みやすかったです。しかし黒幕が強大な存在であるのに対し物語の舞台がいささか狭すぎる感じがしてもの足りませんでした。
    終わりかたも呆気なくさらっと終わってしまった感じでこれまた物足りない感じです。
    色々もう少し広げてもいいんじゃないかなと思いました。

  • いろいろともったいない感じがしてしまった…女性作家ですね!という感じなんだか悔しい

  • はかなげな少女と異形の騎士
    ……という組み合わせがすでにツボでした。
    思ったよりもちょっとグロテスクというかバイオというかでしたが、おもしろかったです。
    弱々しそうなヒロインの二面性とか。
    映像化してもおもしろそう。

    最後の方にある、金目は幸せだった。というような一文がとても印象深い。
    個人的にはすこし切なかったけど、金目自身が幸せだったのならよかったと思う。

  • 2011年6月23日読了

    菅さんの作品は『メルサスの少年』が最初。
    初めて読んで、目が醒めるような想いをしたのを覚えている。その流れのまま『"柊の僧兵"記』を読んだきり。『永遠の森』を読みたいなーと思いつつ、すっかり思考がSFから離れてしまったので長らく読んでいなかった。
    けれど、急に読みたくなって、読んでいない作品を…と思い、まずはこの本にしてみた。

    ボーイ・ミーツ・ガールでありながら(金目はボーイよりも青年っぽいけど)それだけでは語れない物語。
    菅さんの、あの透明な表現の中に異形の魔物や美しい金目の姿が目に浮かぶ。菅さんのお話ってどんなにえぐい表現でも透明感あるんだよね、すごく不思議だ…(-_-;) 硝子細工みたいな繊細さと、胸に秘めたような情動が変わらないままあって安心。

    シエラと金目の心の交流はさほどない…と思う。お互いの姿を見て、少しの言葉で惹かれあう関係が静かだけれど情熱的で溜息が出る。それを見守るロウゼルたちもまたいい人だったんだよねー。

    最近きちんと完結したような話ばかりだったので、あの終わりに久々に胸打たれたなぁ。

  • 奇を衒わない古き良きSFファンタジーといった趣。刊行された頃に読んでいれば、もっと夢中になれたかもしれない。そういう意味では本の読み時って、確かにあるよなあ。
    リュクティが物語終盤に向かうに連れて「女」丸出しになっていくのが、なんだか哀れ。

  • 作者は菅広江だと解っているのに、途中何度も久美沙織の作品かと錯覚してしまった。
    安定感のあるファンタジーだが、70億の針を少し連想させるバイオSF要素も。

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著者プロフィール

1963年生まれ。SF作家。2015年、『放課後のプレアデス みなとの宇宙』のノベライズを上梓。他の著作に『おまかせハウスの人々』『プリズムの瞳』など。本作がはじめてのビジュアルブックとなる。

「2016年 『GEAR [ギア] Another Day 五色の輪舞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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