銀河英雄伝説列伝1 (晴れあがる銀河) (創元SF文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488725174

作品紹介・あらすじ

永遠の名作『銀河英雄伝説』を愛してやまぬ作家陣が、正伝・外伝では語られなかったエピソードを紡ぎ出す。ラインハルトの新婚旅行で起きた椿事、ヤン・ウェンリーの青春時代の思い出、安楽椅子探偵オーベルシュタインの名推理……。新しい『銀河英雄伝説』の世界へようこそ。公式トリビュート第1弾。序文=田中芳樹/収録作家=石持浅海・太田忠司・小川一水・小前亮・高島雄哉・藤井太洋

感想・レビュー・書評

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  • 銀英伝公式同人誌な短編集6編。どの作家さんも普通に外伝を読んでいる気持ちになって懐かしく嬉しい。同盟派なのでヤンの士官学校時代の仲間とのやり取りには終始にやにやしてしまう。著作既読は小川さん石持さん太田さんの3人だったけど皆それぞれの持ち味も上手く混ざっていて流石だと感心した。特に石持さん「士官学校生の恋」におけるキャゼルヌ夫人の名探偵っぷりが正に石持さんでまたこんな過去があるから皆頭上がらないのねー、と本編に繋がりそうな違和感の無さが凄い。藤井さんの「晴れ上がる銀河」ゴールデンバウム王朝初期時代といった一見枠外に思わせて実は礎だったのがとても良かった。締めも効いてる。第二弾あるかな。

  • 6人の作家による銀河英雄伝説公式トリビュート・アンソロジー。
    原作が完結してから何年?1989年の完結?30年近く経て、トリビュートされるのは衰えない人気の証明。
    嬉しい。
    タイトルに列伝1とあるからには、今後も刊行の予定があるという含みと思います。銀英伝の世界が、銀河の歴史が1ページ、また1ページと増えてゆくわけです。これは嬉しい。

    「竜神滝の皇帝陛下」
    エミールのラインハルトへの心酔っぷりを評して、釣りをしている時も宇宙を釣り上げているようでした、という一文があったことを思い出す。そこからふくまらせた作品。日常生活というか余暇を楽しむことができないラインハルト。彼の数少ない日常の光景を垣間見える、と言いたいところだが、そう上手くはいかない。違う作家の文言ではあるが、彼に『目指せ一般市民』はできないのである。
    エミールがラインハルトとの約束を果たしている将来も伺えてニヤリとする。帝国一の信頼と忠節を持ち合わせる医師であったのでしょう。

    「士官学校生の恋」
    魔法使いは、いつでも魔法使いだった。ヤン艦隊に欠かすことのできない重要人物アレックス・キャゼルヌ。彼が風邪をひいたらイゼルローンが風邪をひく、そう言わしめたキャゼルヌ。その彼が頭が上がらない人物であるオルタンス夫人。彼女なくしては、ヤン艦隊は成り立たない。
    女は何でも知っているのよ、とウインクされたら、ホールドアップ。探偵オルタンスの続編希望。

    「ティエリー・ボナール最後の戦い」
    題名のボナール少将の活躍と引き際の良さもいいのだが、在りし日のウランフと、未だ何者でもないルビンスキーの存在に、目を引かれてしまう。
    ボナール少将の軍人としての終わり方は、ひょっとするとヤンが描いていた理想系なのでは。過不足なく職務を勤め、悠々自適な年金生活を送るという。二人の天才を筆頭に紡がれた、激動の時代が始まる寸前にリタイアするという、この時代で最も幸福な人生を送った人物の一人か、ティエリー・ボナール。

    「レナーテは語る」
    あのオーベルシュタインが犬を飼っているだと!あのオーベルシュタインがか。
    その遠因になったであろう事件の物語。登場した最初から退場の最後まで憎まれ役を担い続けたオーベルシュタイン。人間臭さというものを感じるエピソードがほとんどなかった彼に、唯一あるのがあの犬。
    また、彼を偲んで語り合うという構成がいい。これをロイエンタールあたりが見かけたら、なんと思ったことか。皮肉の一つでもいうのだろうけど、きっと無表情で受け流されてしまうのだろう。ヴァルハラでも、相変わらずの相容れない関係。

    「星たちの舞台」
    ちょっと入り込めなかった作品。個人的には、悪巧みに奔走するアッテンボローを見たかった。ヤンとヒュパティアの掛け合いに、何を見出すか読み取るか、が自分の中にあれば違った感想になっていたはず。
    小さなものでも、誰かにとって大事な存在であれば蔑ろにしない、というヤンの主義、というほど大上段ではないが、はこの頃から変わらないのだと嬉しくなる。それを表現できるから、同盟と共にあったのだから。

    「晴れあがる銀河」
    ルドルフ登極直後の銀河帝国。晴れあがるというタイトルとは裏腹に、作品通じて感じるのは不透明な空気。新しい時代が始まったはずなのに、新たな時代の夜明けに立ち会っているはずなのに、闇が押し寄せてくるような不安。
    その違和感を感じている少数の人間が、避難するべく選んだのが後の、という作品。
    晴れあがってゆく世界に残った微かな影。その存在は、どぎつい光で宇宙を照らそうとしたルドルフの帝国に何をもたらすのか。その影の中には、深い闇が潜んでいるとは、知るはずもないこと。おもしろい。

    ポプランを主人公にした作品がなかったのは意外。本伝後のポプランだと、宇宙海賊サーガになってしまいそうではある。
    早く2巻を読みたい。さらなる銀河の歴史のページをめくりたい。

  • 2020年10月創元SF文庫刊。書き下ろし。シリーズ1作目。やはり銀英伝と耳にすると読んで見たくなります。小川一水:竜神滝の皇帝陛下、石持浅海:士官学校生の恋、小前亮:ティエリー・ボナール最後の戦い、太田忠司:レナーテは語る、高島雄哉:星たちの舞台、藤井太洋:晴れあがる銀河、の7つの銀英伝トリビュート短編集。小川さんのがとても良く好み。太田さんのオーベルシュタインものが楽しい。藤井さんのは、新たなページ追加で、興味深い。次巻が楽しみです。

  • これは嬉しい(^^)♪もう読む前から1っていうことは2以降も続くんだよね?o(*゚∀゚*)oと気持ちが昂る♪そして登場人物達の意外な一面が続々と…あぁたまらん( *´艸`)一番衝撃的だったのはルビンスキーの頭(髪)Σ(-`Д´-;)次回はアンネローゼ様とか帝国女子の話が読みたいな~♪

  • 銀河の歴史がまた一ページ。

    公式アンソロジーというものが好きなので、有無を言わずに入手。オーベルシュタインの安楽椅子探偵などと聞いたら読むしかなかった。しかしそれ以上に女装して演劇するヤンにびっくり。しかもミス・マープルもびっくりな安楽椅子探偵がもう一人いらしたという。1となっていますが、ぜひ続けてほしい企画。

    「竜神滝の皇帝陛下」ギャグですか。ヒルダとエミールに対して一生懸命になったとき、途端に面白い超天然陛下になるラインハルト様の魅力がたっぷり。思わず吹き出してしまうくらい。

    「士官学校生の恋」名探偵オルタンス・ミルベール。未来のキャゼルヌ夫人が華麗に推理を披露する物語。相変わらずヤンに"利用されてる"キャゼルヌ先輩が拝めます。キャゼルヌ先輩推しの方にとてもオススメ。

    「ティエリー・ボナール最後の戦い」この人もなんだか伊達と酔狂で生きているような。こういう二次創作アンソロジーには珍しい感じの艦隊戦。

    「レナーテは語る」名探偵オーベルシュタイン。ハードボイルドです。多分。レナーテさんがこういうタイプの探偵に組み合わせられるワトソン役として定番のキャラクター。揺らがないオーベルシュタインのキャラクターには安心感があります。みんな大好きオーベルシュタインの犬も登場。

    「星たちの舞台」ヤン・ウェンリー、士官学校生時代の人助け。アッテンボローやキャゼルヌ先輩も活躍。ラップとジェシカももちろん登場。しかしこの話はヒュパティアを好きになれるかどうかが肝。フレデリカに思い入れがあるとちょっとショックかも。

    「晴れあがる銀河」ラストであっ!となる銀河帝国過去の話。ルドルフ大帝に対するスタンスと、相手を認める大切さ。

  • 同盟と帝国とそれぞれのアンソロジーがいい感じで、よかった。

  • やはり原作とは違うんだな

  • 銀河英雄伝説公式トリビュート作品集の一巻。
    六名の作家による六編の短編が収められている。

    それぞれに、作家が本編に出てきた一文に着想を得ていたり、好きな人物をこうだったらと掘り下げてみたり、本編には過去の史実として書かれていることがリアルに知れるシーンが描かれていたり、自由で夢がある一冊。書き手から銀河英雄伝説への愛情が伝わってくる。

    士官学校に通ってた頃のヤンが女装して舞台に立っていたり、オーベルシュタインに女性の部下がいたり、ラインハルトが良き父親として振る舞おうとしつつ釣りをしていたり・・・。
    あれだけドラマチックな物語の中にいた人たちの何気ない日常が描かれていて、読んでいて楽しかった。
    それぞれのキャラクターの個性が、ブレていない点も良かった。
    1巻だから続くだろうし、続きも猛烈に楽しみ!

  • 21/01/08読了
    とても贅沢な、二次創作集。期待以上によかったです。

  • 様々なジャンルに関する名言が読める。ラインハルトは、カッコいい。又、小説の世界でのタンクベッドなど想像力を大きくさせる面白い表現もあって楽しい。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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