超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

制作 : 日下三蔵  大森 望 
  • 東京創元社
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本棚登録 : 255
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488734022

感想・レビュー・書評

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  • 作者か読者のひとりでもSFと言い張ればSF
    とはいえ選者のSF幅の広さには前巻に続いておそれいる
    小林泰三『時空争奪』は「河川争奪」という概念に合わせてアイデア秀逸だが完成度いまいちか
    津原泰水『土の枕』は題材の料理が上手くて短編集を読んでみたいSFでないが
    藤野可織『胡蝶蘭』は選集の意義に合った良作
    岸本佐知子『分数アパート』と石川美南『眠り課』は題材SFでなく文章芸という意味での「文芸」枠で良い感じ
    小川一水は他の作家に水準作を安定して書く能力を是非写してほしい
    円城塔作品を読めない
    これをほんとうに読めているひとはどれくらいいるのだろうか
    総じて良い選集と思う
    なぜこれが載っていないのかと文句付けるほどSFに詳しくないので付けないが
    なぜこれが載ってるのかと思う率は前回より下がった感

  • 超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

  • こちらもしばらく積ん読状態だったけど、ようやく読了。
    今回も外れなしの素晴らしい編集だったと思う。

    と言いつつ、やっぱりまだ作品を読んだことのない作家さんの作品ばかり。
    ここを基点にして、広げていきたいなあと改めて思った。

    ・・・てなことを、<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4488734014" target="_blank">虚構機関</a>の読後にも思ったのだけど、読めてない。
    今度こそ。

    それにしても、やっぱ短篇は良いなあ。

  • 伊藤計劃「From the Nothing, with Love.」大英帝国女王陛下の所有物であり、スパイ(殺し屋)である007。彼の原典(オリジナル)は死の都度、他人の脳に無理矢理上書きされることとなった。まるで写本のようなもの。自分なるもの(意識)を喪失した彼。意識の介在のない彼。スパイとしての経験だけ蓄積され、彼の意識は脳にとって不要なものとなっていった。007に意識は必要なくなった。機械になった。もはや抜け殻である彼にとって意識など寄生虫のようなもの。私の意識に安らぎあれ。

  • 他の作品も読んでみたいという新しい出会いは無かったが、既知の作家の未読作が読める楽しみはあった。

  • 個人的には面白いと思う作品ばかりだった。若干ホラーテイストのものが多いかなというのが自分にとって残念なところところ。最も面白かったのは「From the Nothing, With Love.」(伊藤計劃)だ。007とアガサ・クリスティの「アクロイド殺し」を融合させてSF化したような感じがして見事でした。その次は「青い星まで飛んでいけ」(小川一水)です。「笑う闇」(堀晃)も良かったな。こう作品を挙げると、結局典型的なSFが好きなんだなと自己分析できた。これら以外でもすべての作品を面白く読めたので当たりだったと思う。

    以下、個別作品の感想。

    ◎ノックス・マシン(法月綸太郎)
    面白い話だと思う。かなり強引な設定のような気がするが、それくらいでないとタイムパラドックスは解決しないだろうから、いいと思う。むしろ、時間の流れの一方通行性とパラレルワールドを組み合わせることで、タイムパラドックスの解決と読者に対してスリル感を提供するのに成功している。

    ◎エイミーの敗北(林巧)
    背筋がちょっぴり冷たくなるお話し。ホラーのようであるが、結末は恐怖とともにほっこりした感じを味わえる。

    ◎ONE PIECES(樺山三英)
    フランケンシュタインの話。個人的にはあまり好きではない。そもそも原典のフランケンシュタインの話をよく知らないので、面白さを理解できなかった。

    ◎時空争奪(小林泰三)
    アイデアとしては面白い。だけど途中の描写が美しくない個人的にはそれが残念。

    ◎土の枕(津原泰水)
    本編はSFではないと思うが、物語として心に残る。作者によると、事実をベースにしたとのことで、芯が固いどっしりした読後感がある。

    ◎胡蝶蘭(藤野可織)
    ホラーだ。ホラー以外の何物でもない。個人的にホラーは好きではないのだが、この作品はきれいなイメージがするので読後感は悪くなかった。日本のホラーだなって感じだ。

    ◎分数アパート(岸本佐知子)
    日記調の作品。分数アパートについて触れられた下りからワクワクしながら読み進めたが、うまくかわされた感じだ。

    ◎眠り課(石川美南)
    確かに、このようなアンソロジーに収録されてないと、なかなか短歌に触れることはないなあと思いつつ読んだ。自分にはよく分からなかった。新鮮ではあったけど。

    ◎幻の絵の先生(再草葉月)
    星新一さんに関するノンフィクション。取材過程も分かって面白い。

    ◎全てはマグロのためだった(Boichi)
    昔どこかで読んだことがあるようなマンガだった。きっと読んだのだろう。ストーリーは壮大であり、絵もそこそこ上手いと思う。

    ◎アキバ忍法帖(倉田英之)
    この作品を一言で表現するなら「おバカ」だろう。決して悪い意味ではない。いい意味でのおバカだ。こういう作品は嫌いではない。続きも読みたい。

    ◎笑う闇(堀晃)
    現実的なロボットSF。いつかは芸術(エンターテインメント)業界でもロボットが活躍する時代が来るだろう。そんな未来のひとつを描いている。

    ◎青い星まで飛んでいけ(小川一水)
    恒星間を旅する未来の人類(ホモ・サピエンスの後の人種。ほぼ機械)が知的生命体とコンタクトする話。2008年に亡くなったアーサー・C・クラークを追悼する作品だ。広大な宇宙、悠久の時間の中で展開されるストーリーは、読者を夢中にさせる。面白かった。

    ◎ムーンシャイン(円城塔)
    SFと数学って相性いいなと思う。数学の目に見える数字から目に見えない多次元空間や時間軸を取っ払ったり、自由な想像ができるからだ。逆に自由過ぎるからこそ、円城塔さんが書いてしまうと常人には理解できない物語ができてしまう。この作品はまだ常人が理解できる方だと思う。正確には、理解できなくても雰囲気を味わい易いから。小説というより詩のようなものと思って、感覚で読み進めるのがいいだろう。

    ◎From the Nothing, With Love.(伊藤計劃)
    伊藤計劃さんの「ハーモニー」を彷彿とさせる物語。意識とは何ぞやを考えさせる。しかも哲学的なものではなく、見事なSFになっているのがいい。さらに、007とアガサ・クリスティの世界を感じさせる舞台設定も、両方好きな私にとって涙が出るくらいうれしい。楽しい。登場人物名で何となくトリックは想像できたのだが、怒濤のラストは伊藤計劃さんらしく当然ではあるが私の想像以上の世界を見せてくれた。やはり伊藤計劃はすごいね。

  • 『ノックス・マシン』なる軽めなSFから始まり、『土の枕』〜『眠り課』というバリエーション豊かな中盤、そして終盤はストレートなSF、と様々なタイプの作品を楽しめる1冊。前年版よりさらにおもしろかった。

  • 年に1、2冊読めると、追いつくんですけどねぇ。今のところ、2年に1冊ペースでしか読めていません。

    まあ、いろいろ入っているし、短編だしということで、初めのうちはフーンという感じで読んでいたのですが、「アキバ忍法帖」あたりから後が、メチャクチャ面白かったです。

    「アキバ忍法帖」は、つづきが読みたくてしかたない感じです。

    まあ、自分が物語とか世界観を読む人ではなくて、キャラクターを読む人だということが良くわかる。
    まだまだ、世の中には、面白いお話を書く人がいっぱいいるな。

    もしかして、元の山田 風太郎の話も、途中で終わっているの?

  • 小説は勿論、エッセイや漫画、短歌(!)まで集めたSF傑作集。
    SFは決まった作家さん以外殆ど読まないんですが、かなり楽しんでしまいました。新しい扉が開いた予感…(笑)

    私のお気に入りは「ノックス・マシン」、「土の枕」、「全てはマグロのためだった」、「笑う闇」、「青い星まで飛んでいけ」、「ムーンシャイン」、「From the Nothing, With Love」。

    この本で初めて伊藤計劃さんの小説を読みました。『虐殺器官』は絶対読んでみようと感じました。

  • 「ノックス・マシン」「全てはマグロのためだった」「笑う闇」「From the Nothing,With Love.」が好き。

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著者プロフィール

1968年、神奈川県生まれ。専修大学文学部卒。ミステリ・SF研究家、アンソロジスト、フリー編集者。日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブ各会員。著書に『日本SF全集・総解説』(早川書房)、『ミステリ交差点』(本の雑誌社)。主な編書に「日本SF全集」(全6巻、出版芸術社)、「ミステリ珍本全集」(全12巻、戎光祥出版)など。編書で『天城一の密室犯罪学教程』で第5回本格ミステリ大賞を受賞。

「2021年 『狂った機関車』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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