皆勤の徒 (創元SF文庫) (創元SF文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 209
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488757014

作品紹介・あらすじ

第2回創元SF短編賞受賞作に始まる幻惑世界全4編。卓越した造語感覚と、圧倒的なイメージ喚起力を駆使して描かれる異形の未来。現代SFの到達点にして世界水準の傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 果てしなき、あまりに果てしなき、切なさの旅路。

    第34回日本SF大賞受賞の本作、いろんなところで数々のレビューがなされていますので、今さら鴨ごときが紹介するまでもないでしょう。
    円城塔氏の文庫版帯の紹介文「人類にはまだ早い系」がものすごくしっくりくる、認識のパラダイム・シフトを前提として構築された圧倒的な世界観。「冥刺(めいし)」だの「遮断胞人(しゃだんほうじん)」だのといった言葉遣いがただのジョークじゃないの?という論評も少なからずありますが、そうしたユーモラスな言葉遣いが表現する世界の骨組みを朧げながらも読み取ると、全身に鳥肌が立つ空前絶後の言語SFでもあります。

    この余りの異形ぶりに訳が分からないまま読み進めて、読み進めてもやっぱり訳が分からないんですがヽ( ´ー`)ノ、歯を食いしばって読み進めるうちに何となく物語の背景が、どうやらこの世界に登場する異形の民は地球人類の成れの果てらしいということが薄らとわかってきます。
    この時点で、この作品の骨格の大半はまだ理解できていないのですが、それでも鴨的に強烈に感じ取れたのは、物語全体を通低音のように流れる、切々とした哀感。

    この作品世界において、現代の我々が認識できる普通の「人類」は最早登場しないのですが、それでも肌感覚で理解できる「滅びゆくもの」の切なさ。
    地球に残った人類は緩やかに死滅して行き、宇宙への潘種を目指して自らをデジタル化した人類もやがて否応なく異形の環境へと適応せざるを得なくなる・・・そして未来史の最後(この作品では最初に収録されている作品で!)において、情報から再構築された最後の人類は、新たな生命の種が地球に降り立つ様を目撃することになる。

    読み終えて本を閉じた時に感じる壮絶な虚無感、そこに至るまでの登場人物たち(その大半は人間の姿をしていないわけですがヽ( ´ー`)ノ)の愛おしさ。
    ぱっと見の印象はものすごく変態チックでものすごく読む人を選ぶ作品ではありますが、鴨はそこに優れた日本的美意識を、万物への温かい(そして厳しい)眼差しを感じます。現代日本SFが世界に誇れる、実に日本的な傑作だと思います。

    ・・・と、偉そうにレビュー書いてますけど、これも大森望氏の懇切丁寧な巻末解説があってこそ。途中で投げ出しそうになった方、大森氏の解説を読んでから再挑戦しても良いと思いますよ!

  • 読者は1頁目から全てが異質、異形な世界に放り込まれる。
    SFというか、神話の域。
    言葉遊びの妙、漢字特有の酩酊感。
    クローネンバーグに映像化して欲しい。

  • 2019/01

  • おぞましい腐肉の世界の蟹工船から一転、臓物の臭いが鮮やかに香る青春学園モノが始まった時には驚きましたね。見様によってはジュブナイル・・・?
    初っ端からこんなん読むの無理ですやん・・・てなりますけど、遠未来の物語も一応日本語らしき言語で書かれていて良かったです。慣れれば結構読めます。

  • 異形の生物が続々と登場、有機物が畝り、ぞわぞわと増殖し…。奇怪なイメージの奔流に翻弄されるだけだった表題作。
    連作を読み進めるうちに、人類文明は衰退して異形の進化をしているらしいとか、人類の記憶がデータ化されているらしいとか少しずつ分かってくるけど、解説を読まないと全部は理解できないな。
    人類社会を模している、でもグロテスクにズレている異形の生物たちの生態が面白く、背景設定がわからなくても結構楽しめます。

  • 2017/6/14
    SFを読みなれていない私。最初は造語とおどろおどろしい世界に頭が疲れる。そのうち世界に慣れてくると物語が入ってくる。面白いのは面白いのだが疲れる。想像力をフル回転させるために頭が疲れるのだ。楽しめる人に楽しんでもらえばいいやという感じなのかなー。

  • 創元SF版がタダだったのでおもわずダウンロードしてしまった.書評が絶賛で,ただなのでもったいないので頑張って読んだがちょっとグロすぎる.後書きを読んで初めて壮大な物語が構成されていたことに気付いたが,それでもグロすぎ.でもこんな言葉の使い方とか見たことない.確かにこの作者の方は天才かも.

  • 「皆勤の徒」★★★★
    「洞の街」
    「泥海の浮き城」
    「百々似隊商」

  • とても有機的に絡み合った気味の悪いSF。言葉の羅列に留まらず、ちゃんと世界が作り込まれているのが凄いと思う。言語表現の極限に挑戦しているよう。(解説を読むまで…どんな世界と時系列なのか全然わからなかった…)
    最後まで流し読むと、なんとなーくわかってきます。

    P15「…殆どが干涸びていたが、並びの右端にある閨胞だけは熟れた無花果の膨らみを保っていた。その頂に隆起した筋肉質の搾門から、従業者のやや間延びした頭が芽吹きだした。内膜に繁る繊舌に送り出され、痩せた裸身が分泌液の糸を引いて、搾門の輪からづるりと甲板上に吐き出される。」

    冒頭の、「従業者」が起きる場面。肉に溢れていて粘質で、気持ちワルイ。感覚に訴えてぞわぞわギトギトする。無機質で寒々しいSFに慣れた物語とは正反対。言葉の多くは意味不明だし、「食餌」は拳大の孕虫に、大小の蝓布、腐敗しかけた皿管(けっかんもどき)など、もはや生理的に受付けない。

    世界観が精密に作りこまれていて、どこかで聞いたような、でも全然わからないような漢字が並んでいる。時折混じる現代社会の言葉(ラザニア、湖畔など)を懐かしく感じる。

  • 初伝法。読み終わるのに一ヶ月くらいかかってしまった・・。造語ばかりで取っ付き難く、映像を上手く脳内変換が出来なかったため少しも面白くない。円城塔氏に“人類には早すぎた作品(のようなこと)”と言わしめただけはある。どうやら私にも早すぎたようだ…

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