星群艦隊 (創元SF文庫)

制作 : 鈴木 康士  赤尾 秀子 
  • 東京創元社
4.16
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本棚登録 : 87
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488758035

作品紹介・あらすじ

戦火はいよいよアソエクの星系に及ぶ。無人のはずの隣接星系に潜む謎の艦、圧倒的な力を持つ不可解な異星種族プレスジャー、そして分裂したラドチの絶対的支配者――立ちはだかる数多の難題を前に、ブレクは贖罪の決意を胸に秘めて戦いつづける。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞など驚異の全世界12冠を達成し、本格宇宙SFの歴史を塗り替えた《叛逆航路》三部作、堂々完結! ブレクの過去を描く前日譚の短編も特別収録。

感想・レビュー・書評

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  • AIがどのように考え、感じ取っているかの描写が繊細。派手なアクションは無かったものの、徐々に解き明かされる世界観が綿密に構築されていて楽しかったです。最後の短編も、なるほどねぇ〜。

  • このシリーズはテーマが、AIに感情を持たせるとどうなるか?っていうのが一つと、三人称がすべて「彼女」になったらどうなるか?っていうのが一つの、ちょっと独特の本だ。

    特に後者は最初はとまどったが、慣れてくると快感になってくる。

    要は、自分の想像力が試されるのだ。

    明らかにSEXしているカップルが出てくるのだが、男/女なのか、男/男なのか、女/女なのか、全然説明がない。しょうがないので、一応男/女で想像して読み進めてきたんだが、そのうちにどうでもよくなってきた。

    読みながら、ジェンダーレスとはどういうことか学んでいるような気がしてくる。私自身は男尊女卑とか、女性が虐げられているとか、男性の方が女性より優遇されているとか、実社会においてそれほど感じてないのだが、こうも小説を読みながらなぜ自分は登場人物が男か女かこだわるのかつきつけられると、結局自分もジェンダーレスではなかったのだなと感じて新鮮な気持ちになった。この本において、男女の別は重要ではない。

    主人公ブレクだって、男か女か、結局最後まで説明がなかった。

    ブレクはAIのインターフェースみたいなものだ。

    戦艦のAIは、奴隷や死刑囚(はたまた、罪のない市民)を改造して属躰(アンシラリー)と呼ばれる人型の筐体にし、それを何十体も作って艦船の艦長に奉仕する。

    ブレクの戦艦<トーレンの正義>本体は、暴君によって破壊された。ブレクは属躰の生き残りだ。

    ブレクの魅力は、たくさんある。戦艦のくせに、歌が好きだ。そして、とっても思いやりがある。だから、男か女か、そんなことはどうでもよくなってくる。


    そもそも、登場人物たちは人間か?足が再生してくるんだぞ?子どもは子宮をアダプターみたいにとりつけることで産むらしいし、いわゆる普通の「人間」だと思って読むと、つじつまが合わないところが出てくる。だから、この本はムカデやトカゲのような爬虫類を想像しながら読んでもよい。何を想像して読んでもいいのだ。

    ステーションにせよ、カルルの慈にせよ、AIが創造主の手を離れ、独自の力でやっていこうとするとろくなことにならないのが小説のお決まりの展開なのだが、この本は逆にAIが独立した方がうまくいく展開になっている。そこもおもしろかった。

  • 三部作完結編。派手な戦闘はないが、心理的な描写で、どきどきしながら読み進められる。一度読み始めると、心を掴んで離さない。

  • 人間と化したAIなのだから、他の艦船と同化して艦隊戦をやるとか、皇帝のリンクを妨害してただの人にするとか、そんなストーリーを期待してた。

  • 三部作の最終巻。完結編。社会学的なことに興味がありジェンダー関係について考える上で、面白い体験が出来る。そのせいで最初はひどく読みにくい。が、人間それにも慣れてくるから不思議。それならそうという景色を生きることが出来る。この時、特定のあるべき姿から逆算した皮肉めいた設定としていないところにこの作品の素晴らしさと力がある。今とは違う別の景色を体験する。順応する、という不思議な経験をすることになる。これもたしかにSFしてるんだけどこの別の景色を生きてみることは様々な差異を考える上でとても有意義な経験だと思う。話としても面白いしオススメ。

  • 3部作完結?ハッキリとした終わりではない終わり方。1巻目を読んでいたときには、よく分からない思考を持った不思議な人々だったけれど、段々と人間らしくなったのか、こちらが読みとれるようになったのか。
    次回作を楽しみにしよう。

  • 三部作完結。
    にしては、勧善懲悪も大層な悲劇もなく、血湧き肉踊る復讐活劇もない。
    自分の貧弱な語彙から見つけるに、「ヒューマンドラマ」であったのだ。
    人類、非人類拘わらず、自分と異なるものとどのように接し、関係を作る(または作らない)か、キャラクターがよく描けており、感情に共感できた。
    ジエンダー含め、その世界、文明、文化、小道具、どれも魅力的な作品だった。

    続編はないそうなので、別の次回作を大いに期待している。

  • アメリカの作家アン・レッキー、2014年発表の小説。宇宙が舞台のSF3部作の3作目、完結編です。前2作に劣らず素晴らしい作品。完璧です。

    多くの星々を従えるラドチ帝国での物語り。三千年に渡って多数のクローンとして存在していながらなおかつ一個の人格であった皇帝、その皇帝によって破壊された戦艦のAIの一断片が人間の姿をとっているのが主人公です。
    皇帝のクローンたちが分裂、内戦に陥ったラドチで、一方の側の皇帝から艦隊司令官に任命され辺境の星系の守護任務に就いた主人公のブレク、本作では敵方の皇帝の艦隊と対峙することになります。しかし本心はどちらの皇帝にもつくつもりのないブレク、様々な政治的駆け引きを駆使して星系の人々を護ろうと苦闘します。

    派手な艦隊戦やアクションシーンなどは全くない、ほとんどが心理的あるいは政治的な会話や内省的な思索でつづられる物語りなのですが、これが実に面白い。
    おまけでついている短編小説も見事です。

  • 大変面白かった。軍人なのにやたらと涙もろい彼女達。AIなのに人間的な彼女たち。ブレクの物語としてはまだ道半ば、といったところだけど叛逆への一歩を踏み出した感じか。次回作も非常に楽しみ。…しかし巻末収録の短編を読んでいると、性別をきちんとわけてあるところに逆に違和感を感じてしまったりして。

  • 宙の世界。人格のあるAI、AIのふりをする人。論理的な思考と会話の振りをしてもヒトはヒト。仲間と思えるなら信頼できる気がする。AIでも、モチロン。

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